2007年07月31日

イギリスBBCでやらせスキャンダル次々発覚。女王にも謝罪、果たして自浄は可能か

隅井孝雄のメディアウオッチ No. 0718(通算155) イギリスBBCでやらせスキャンダル次々発覚。女王にも謝罪、果たして自浄は可能か 

女王怒る

日本では模範のように言われているイギリスのテレビ局BBCでスキ ャンダルが相次いでいる。

まずエリザベス女王をめぐって事件が起き712BBCが女王と世間に向けて謝罪した。BBCは秋の新番組「女王との一年」を制作し、その前宣伝を大々的に行ったのだがそれが躓きの原因となった。プロモビデオの中に、5月に女王を撮影にやってきたアメリカのセレブ写真家アニー・リーボヴィッツの撮影風景があった。リーボヴィッツは何枚かの写真を撮ったあと、女王に王冠がないほうがくだけた感じでいいですね、と王冠を取るよう頼み込んだ。

 BBCが内輪の記者懇談で見せた予告編ではそのあと女王が憤然としてその場を立ち去るように見える映し出され、「ドレッシーじゃないって。それどういうこと、何も変えないわよ、もうたくさんです」という女王の言葉が入る。「女王、アメリカ人写真家に怒る」という見出しでその日の夕刊タブロイド紙がいっせいに書きたてたのは言うまでもない。

しかし実は怒って立ち去ったのではなく、リーボヴィッツとの撮影に向かうシーンを編集で撮影後のシーンのようにつないだものだったのだ。女王の発言は撮影の段取りやスケジュールに変更はないという意味だったらしい。

リーボヴィッツ撮影の写真はすでにヴァニティー・フェアーに掲載済みだが、その中には王冠をつけているものと、王冠なしの写真が両方掲載されている。

BBCが大慌てで王室に謝罪したのは言うまでもない。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/entertainment/6294472.stm

 

電話クイズやらせまたまた続々

電話クイズでやらせがあったことがわかって世論の指弾を受けたばかりのBBCにまた問題が起きた。今度の問題は子供番組、チルドレン・イン・ニードという双方向クイズで2005年からいんちきがあったという。たとえば、「優勝者は10歳のゲリー・ナイト君です、おめでとう」と司会者が紹介するのだが、当選者は架空の子供だった。このほかコミック・リリーフという番組では視聴者参加のふれこみだったが、実際に優勝したのは番組プロダクションのスタッフだった。KMIという子供番組でも視聴者が優勝したことになっていたが、実際には番組スタッフだった。

BBCは一連の不祥事が明るみに出たあと719日からテレビラジオの視聴者参加電話クイズのすべてを中止した。またすべての番組スタッフに対して再教育プログラムを強制適用した。BBCトラスト(経営委員会)は一連の不祥事について全面的な調査を開始、BBC会長のマーク・トムソン氏は不正を厳しく取り締まると表明した。

BBCで問題になっているのは5番組、民放の7番組も同じような調査の対象になっている。

なぜBBCで相次いでスキャンダラスな事件が起きるのだろうか。イラク戦争でブレアー政権と対立したが、結局は権力闘争に敗れ前会長か辞任させられるという結果になったことが、BBCの士気を著しく低下させたのではないか。それにプラスして、民放との競争が激化、娯楽番組が視聴率競争に巻き込まれていると思われる。さらに、双方向電話クイズというイギリスのテレビ界と電話業界が開発したビジネスモデルがあまりにもおいしい商売になりすぎていることも原因になっているのだと思う。

世界のテレビ界のモデルとも見られていたBBCのこの体たらくは信じがたいほどだ。日本でも同じようなスキャンダルや不正があったが、このままでは「テレビとはそんなものだ」というテレビ不信が世界的に拡大するだろう。果たしてBBCの自浄と立ち直りを見ることが出来るかどうか、他人事ではない思いだ。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/entertainment/6904516.stm

 
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