2020年08月03日

優位に立ったバイデン候補、トランプ大統領、郵便投票に反発、大胆な「居座り論」も登場、

2008 7.31NHK 郵便投票つぶし狙うトランプIMG_0267.jpg2008 政策革新的鋭さ増したバイデン WSJim-159288.jpg
 写真、郵便投票つぶし狙うトランプ、革新性と鋭さ増したバイデン
 トランプ大統領はブラッド・バスケール選対本部長を降格させ、副本部長のビル・スピール氏を新たな本部長とする人事を発表した(7/15)。6月20日にオクラホマ州タルサで開かれたトランプ支持集会が、前評判で数10 万人から100万人近く支持者が集まるかと予想されたが、フタを開けるとわずか6,800人。その責任者がバスケール氏だった。支持率低下に何とか歯止めかけたい、という思いからの人事ではないかとみられる。
 ちなみにタルサ市では6月下旬以降、コロナ感染者が急増している。市衛生当局は、「トランプ関連政治集会が要因となった可能性が高い」と指摘した。集会参加者のほとんどがマスクをしていなかった。
 コロナ汚染拡大と人種差別でトランプ孤立
 最近の調世論調査によると、トランプ氏の支持率は44%、それに対して民主党大統領候補の支持率は54%と10%のリードを許している(6/16~22、ピュー・リサーチ・センター)。同じ調査によるとトランプ大統領の仕事ぶり評価も支持が下がり、39%が支持、59%が不支持を表明した。また米国が目指している方向に満足していると答えたのはわずか12%、87%が不満だと回答した(ブルームバーグ7/1)。
 アメリカ経済はコロナの影響をこうむりながらも、ダウ平均は26,500ドル~26,600ドル台を維持している。しかしコロナ感染が拡大したことから、4月に失業者2000万人を超えて、失業率が14%台に跳ね上がった。市民の間でトランプのコロナ対策が著しい批判も出ている。最近までマスク不要論を唱え、注射すれば菌を封じ込められなどのとんでもない発言もあった。
支持率急落の直接の原因は今年5月25日、警官隊による黒人男性、ジョージ・フロイドさんの暴行、殺害事件だ。この経緯を物語る2分53秒の映像は、「息ができない、助けてくれ」という音声とともに全米に広がり、かつてない規模の人種差別デモが、各地に広がり、繰り返されている。
抗議デモに対し、トランプ大統領は強硬姿勢でのぞみ、軍隊派遣もありうると発言した(6/1)。抗議デモを暴動であるかのように鎮圧するという姿勢に、共和党重鎮のパウエル元国務長官(共和党)までもが不支持を表明するなど、コロナウイルス感染拡大が重なりこれまで、岩盤といわれてきたトランプ支持者からも造反者が相次ぐ事態となった。ブッシュ元大統領、ロムニー上院議員らも再選を支持しないと見られるに至った。
軍動員示唆、デモを暴徒だと敵視する発言を「有害」だとする人は65%にのぼっている(CNN6/8)。
郵便投票で次々導入進む
一方11月の米大統領選に向けて、郵便投票制度を導入する動きが、各州に広がっていることが特徴的だ。コロナ感染予防のため、投票所に足を運ばないで済むようにする思いから始まった。大量の軍隊を海外に派遣している米国ではかねてから、郵便による不在者投票を認めている州が多かったが、今回は不在投票ではなく、本投票として本人の意志によって、投票所に行くか、郵送による投票にするか、選択できる。郵便投票を実施しなかった自治体に対して「投票の権利を侵害する」という裁判がおこされこともあり、6月2日に実施された大統領選予備選ではメリーランド州など7州や首都ワシントンで、郵便投票が実施され、郵便投票の利便性、投票率の上昇などが実証された。
トランプ大統領はカリフォルニア州などでの郵便投票導入に対して反発を強めている。「大規模な不正行為につながる」と繰り返してツイッターを発信している。また、ウイリアム・バー司法長官は、「外国勢力が大量に偽造票を送り込んでくる可能性もある」と発言した(6/22)。バー長官の発言は中国を念頭に置いているとみられる。
郵便投票は低所得者、黒人、中南米系などマイノリティーの有権者の多い民主党に有利に働くといわれ、トランプはそれを警戒しているものとみられる。しかし投票所から離れたところに住んでいる人、高齢者などへの利便性は党派を問わない。
バイデン陣営トランプを追い越す
民主党ジョー・バイデン前大統領が世論調査で10%上回っているが、それでも、トランプが勝つという予想をする人が多くいる。
理由の一つはトランプの資金力だ。一時期バイデンを選挙資金で2億ドル上回っていたトランプ陣営は、1,000万ドルをテレビなどにつぎ込んで「バイデンは中国に甘いがトランプは厳しい」というイメージを全国に植え付けようとしている。そして、トランプは、自らをウイルスと戦う「戦時下の大統領」だと呼号している。
コロナ汚染が拡大を続けていても、トランプは「悪いのは中国だ」という責任逃れに期待をかけている。
バイデン陣営は6月に入り、選挙への献金を1億4,100万ドル集め、トランプ陣営の1億3,100万ドルをわずかにではあるが上回ることに成功した(7/3日経)。経済施策ではこれまで、右寄り、財界寄りと見られたが、急進派バーニーサンダー・サンダースの主張も受け入れ、学生ローンのサム帳消し、授業無償化、メディケア(医療保険制度)の改善、銀行や大企業の規制強化など、経済の革新を打ち出した。
副大統領候補に50歳台、マイノリティー目白押し
さらに、民主党は大統領候補の年齢が高い(77歳)とあって、副大統領候補選びにも慎重だ。女性、黒人、中南米、アジア系などマイノリティーを中心に選考が進んでいる。誰が選ばれても話題に事欠かない顔ぶれである。
スーザン・ライス氏、(外交専門家、黒人、55歳)、カマラ・ハリス氏(ジャマイカとインドからの移民の子、元検事、55歳)、タミー・ダックワース氏(イラク戦争で両足を失った元軍人、上院議員、52歳)、ミシェル・ルパングリシャム氏(ニューメキシコ州知事、中南米系60歳)、エリザベス・ウォーレン氏(上院議員、進歩派71歳)、ランス・ボトムス(アトランタ市長、黒人、50歳)。
負けても居座り??
7月に入って敗色を濃くしたトランプ氏だが、11月で負けても任期は2021年1月まである。7月19日のフォックスニュースで、選挙に敗れたらどうするか、と問われ、「不正が行われればやめない」と発言した。反トランプを掲げる非営利団体「スタンド・アップ」は、「負けても辞めない可能性に備えて、今から準備しよう」と訴えている。トランプは「負けても居座る」戦術を持っているのではないかとの憶測が急に広がっている。 
7月28日号の日本版ニューズウィークは次のようなシナリオを描いた。「激戦州の一部で中国が郵便投票に介入し不正があった、これは国家安全保障上の非常事態だ、として司法省が不正を調査する間、あるいは裁判に持ち込まれる間、選挙結果を確定することができない。長期にわたり現職が居座る、あわよくば選挙結果を、現職有利に書き換える可能性もある」というのだ。
まさか、そのようなことが起きるはずもない。が、トランプならやりかねない。
 民主主義にもとることがないよう、トランプの言動を見守る必要がある。
 隅井孝雄 2020年8月3日 
posted by media watcher at 16:23| Comment(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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