2019年09月16日

消えゆくAMラジオ、見過ごしていいのか

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 総務省有識者会議は8月30日、民放ラジオ局がAM放送を打ち切ってFM放送へと転換する新たな制度改正を承認した。これにより多くの民放ラジオ局が早いところで2023年以降AM放送を打ち切り、FM放送に転換すると思われる。(NHKはAMラジオを継続する)。
 東日本大震災の際、ラジオ電波がテレビより、ネットより災害に強いことが実証された。そのため難聴地域対策、災害の補完対策として、2014年からAMラジオが同じ番組をFMで同時放送する「ワイドFM」(FM補完放送)が始まった。今年中には民放ラジオ全局がワイドFMを実施する。
 民放ラジオ局の多くはアンテナの更新時期が来ている。AMアンテナには広い敷地、50m~150mの高層アンテナなど多額の設備費が必要だ。それに比べFMアンテナは4〜5メートルの簡便な設備で足りるが山間部、遠隔地に届きにくい。しかしリスナーのラジオ離れや広告収入減から、経営悪化が進んで民放各局にはアンテナ更新や、AM,FM2波を送り出す2重の負担は難しい。簡便アンテナで、番組送出にも費用が少なくて済むFMに一本化することを望む局が多いのだという。
 北海道は例外としてAMが残るといわれている。広大な地域をカバーしているため、到達エリアの狭いFMでカバーするのは逆に困難だからだ。(AM波の到達範囲は7〜800km、夜間は海外にも届く。FM波は数10kmから最大100km)
 問題はラジオ文化にもある。AM局の主力は「ニュースとトークラジオ」だ。そもそも民放AMラジオは1951年、戦時中のNHK大本営発表の反省から、生まれ、民放第一号は新日本放送(現毎日放送)と名乗った。初期にはニュース報道で他のメディアを圧倒、トランジスタラジオという技術革新の助けもあり、テレビとも互角に勝負した。「子供電話相談室」、「オールナイトニッポン」、「パックインミュージック」で子供や若者に支持され、また45年の長期にわたった「秋山ちえ子の談話室」、「誰かとどこかで」(永六輔)などが中高年齢層とのつながりを広げた。
  ワイドFM受像機が普及していないという問題もある。アナログ放送が終了した後の一部の周波数(90.1MHz~94.9MHz)を転用している。そのためAM/FM兼用の古いラジオ(76MHz~90MHz)ではワイドFMの周波数が入らない。買い替えが必要だ。
 70年に近い歴史を持つAMラジオ文化を消してしまっていいのか、私は疑問を持つ。
年配層では枕元にラジオをおいている人が多い。AMラジオというコミュニケーション手段、文化の伝達手段を奪いさっていいのか。防災情報から断ち切られてよいのか。強い疑問を持つ。民放連と政府の再考を促したい。

JCJ時評 19年9月25日号
posted by media watcher at 16:14| Comment(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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