2018年08月09日

見捨てられた船員たち、高知地裁敗訴、早急な支援を、市民運動とメディア連関の重要性。(原水禁大会分科会の報告その2)

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 2018年原水爆禁止世界大会 2018年8月5日〜6日
8月6日は広島に原爆が投下されて73年目の記念日、慰霊式典が開かれた。その前日の8月5日、広島で非核、反核をテーマにした様々な世界大会分科会が開催された。私も「核兵器のない世界へ、ジャーナリストと草の根運動の役割」という会合で講演、参加者との質疑応答をした。以下に私の講演の草稿その2を掲載する。 隅井孝雄
 写真 1. 放射能浴びたX年後「汚名」死去した父の汚名をそそぐ、2. 第五福竜丸、3. 汚染知らずにマーシャル諸島でマグロ追う漁船
 その2、見捨てられた被爆船員たち、ビキニ実験後65年、高知地裁被爆船員裁判
 1954年3月、第五福竜丸がビキニ環礁でのアメリカの水爆実験によって被ばくし、原爆、水爆を禁止しようという署名運動が盛り上がり、1953年8月広島で第1回原水爆禁止世界大会が開かれた、今に引き継がれていることは皆さんがよくご存じだと思う。
しかし1954年、ビキニ環礁で被爆したのは福竜丸だけではない。当時周辺のマーシャル諸島に多数の漁船が操業していたことは公にはならなかった。(992隻ともいわれる)。
 高知県45人の元船員、放射能被害を訴えるも敗訴
 高知県の元船員や家族45人が国に6500万円の損害賠償を求めた裁判の判決が7月20日、高知地裁であり、訴えを棄却されたことはあまり知られていない。
 判決では「損害賠償の請求権が消滅する20年の除斥期間が過ぎている。国に賠償責任がない」と述べている。
しかし裁判の中では、国が1955年、米国側から200万ドル(当時の7億5000万円)の第五福竜丸への見舞金を受け取り、米国の責任を不問にし、第五福竜丸以外の船の資料を2014年まで開示しなかった。そのため、ビキニに多数の漁船がいたこと、船員たちに被爆した可能性があるかは明らかにならないまま今日に至ったことが明らかになった。
 また判決は漁船員の被爆の可能性を,一人を除いて認めて、「司法的救済は困難だが、漁船員の救済の必要性は立法や行政が改めて検討する必要がある」とも述べている。
  なぜ今になって裁判になったのか。
裁判が始まったのは2013年6月、3.11(2011)による放射能被爆が大きく取り上げられたことが背景にある。高知県のある高校教師と生徒が県内の元船員たちの被爆の状況を調べたところ、福竜丸以外に多くの被爆者がいることが分かった。この事実を愛媛県の南海放送(日テレ系)記者が知り、繰り返し報道した。それをまとめて2012年以来2016年にかけてNNNドキュメント(日本テレビ系)で4回にわたり特集を組み、地方の時代グランプリ、民放連賞を取った。さらにこのドキュメンタリーをもとにした同じタイトルの映画も作られた。
NNNドキュメントシリーズ放射能浴びたX年後の副題はいかのようなタイトルだ。
2012年1月、「ビキニ水爆実験、そして」、2014年8月「降り注いだ雨は今」2014年11月、「捨てられた被爆者」、2016年6月「汚名」)、 
 映画2015年11月上映開始
 992隻の漁船がマーシャル諸島海域で被爆した
 NNNドキュメントによるとビキニ近辺の漁民は992隻、1万人が何らかの形で放射能を浴びた。報道番組によって、事実が明らかになり、被害船員たちを助けようという運動が広がり、政府も国会での追及を受けれ、裁判が起こされ、2014年、秘匿されていた膨大な文書が開示、された。被害者はみな高齢だ、一刻も早く救済されるべきだ。
一人の高校教師が疑問を感じて調べ始め、それが報道される、ドキュメンタリーが繰り返し放送され、映画化されることで運動が広がるという循環が生まれた。
 空母ロナルド・レーガン、福島原発の「放射性プルーム」包まれ被爆
 3.11で被爆した「トモダチ作戦」で福島沖を航行中、アメリカの空母ロナルド・レーガンの乗組員たちは福島原発から放出された「原発プルーム」に包まれ、被爆した。重い放射能障害を負っており、死者もいる。8人の乗組員らが救済基金の設立を求めて、東電を相手にロサンゼルス地裁で係争中だ。この特集番組もNNNドキュメンタリーで放送(2011.10月)、小泉元首相が船員たちを激励し、原子力発電の全面停止を求めるきっかけを生んだ。
 ジャーナリズムの調査報道がいかに大切かを知ることができる。
 高知漁船員裁判支援、被爆米兵支援を広げる活動が、活発化することが望まれる。

posted by media watcher at 13:33| Comment(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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