2018年07月22日

平和と未来への光を、シリア「コバニ」で大学生がFMラジオ局開設、NHKBSで放送

1807 ポケットFM発信機.JPG1807 主人公ディバロン・キコIMG_4384.JPG1897 クルド司令官インタビュー.jpg1807 監督ラベー・ドスキーIMG_4385.JPG
写真、紛争地で活躍する小型送信機、ラジオコバニのマイクの前、ディバロン・キコ、クルド市民軍司令官インタビュー、「ラジオ・コバニ」の制作者、監督ラベー・ドスキー
 NHK世界ドキュメント(BS1)で6月19日深夜に放送されたドキュメンタリー「ラジオコバニ」はシリアの現状を的確にとらえたすぐれた作品であり、感動を覚えた。
シリア北部、トルコと国境を接する町「コバニ」は、2014年9月「イスラム国」に占拠された。大部分の市民は町を脱出たが、一部市民は踏みとどまり、クルド人民軍と共にISと戦い、連合軍の空爆の援護もあって2015年1月奪還に成功した。
 瓦礫と化した町に市民が次々に戻ってきた。この作品の主人公20歳の大学生ディバロン・キコは、人々に町の状況を知らせ、復興の手がかりを見つける必要があると考え、手作りでラジオ放送を始めた。「ラジオコバニ」(FM103.50)である。
 瓦礫の下にうずもれた死体を運び出し、手投げ弾の処理にあたるなど、街の再建にあたる人々の上に「おはようございます、ラジオコバニです」というキコの声が流れる。手投げ弾をもって建物に潜むISの残党との戦闘も散発的に続く。家族を殺された母親、ISに立ち向かった市民兵、音楽家として活動再開を模索する男性、難民キャンプで子供を抱えて暮らす母親などのインタビューも流れる。過酷な状況の中、キコは未来への希望の光をともし続ける。
 この番組はオランダの制作会社が制作した。監督のラベー・ドスキー自身はクルド出身。1998にオランダに移住、映画アカデミーで映画作りを学んだ。2015年から2016年にかけて戦闘を越え、地雷を越えてコバニに入り、このドキュメンタリーを制作した。
 私が見たのは50分のテレビ版(短縮版)だが、劇場上映の映画版は69分、5月から各地のミニ映画館で上映されていた。
 小出力FMラジオに、国際支援
 「ラジオコバニ」は小出力のコミュニティーラジオだ。私自身京都のコミュニティーFMに関与して番組にも出演しているので、このドキュメンタリーに一層の関心を抱いた。
調べるうちにシリアで市民を支援するため小型FM発信機をおくるNPO「Pocket Radio Project」の存在を知った。私の推測だが、ラジオコバニもNPO「ポケットラジオ」の支援を受けて開設したのではないかとみられる。
 NPO「Pocket Radio Project」の本拠はベルリンにある。シリアの政府軍と反体制派、あるいはISと多国籍軍との戦闘が激化に伴い、市民に正確な情報を届けたいと小型発信機の提供を始めた。BBCニュースによると、この送信機はバックパックに入れて持ち運び出来るもので、2016年にはシリア国内に23台、アレッポ、コバニなど北部クルド地域や、難民キャンプなどでも使われている。ISの崩壊後はさらに利用地域が増えているものとみられる。到達距離は半径6〜8kmだが、衛星ラジオの電波も中継する機能があり、停電に備えて太陽光発電も利用できるという。
 アムダやアレッポでも独立系FMラジオ発信
 シリア東北部、イラク国境に近い都市、アムダ(Amudah)、アル・マリキア(Al-Malikiah)にもArta FMと名乗るコミュニティーラジオが2013年以来活発に活動しているとの報道もある。また政府軍と反政府勢力が激烈な戦闘を繰りひろげた、北部最大の都市「アレッポ(Aleppo)」でも独立系コミュニティーFMがいまだに放送を続けているようだ。言語は、シリア語、クルド語、アラブ語の3か国語。オンラインでも流されている。
 シリアの市民にとってラジオは欠かせない情報源だ。
 「リベラル21」7/26に掲載
posted by media watcher at 21:49| Comment(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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