2018年05月22日

近づく米朝会談、北朝鮮経済の裏を見る

1806 国境線越えIMG_4290.JPG1806 ピョンヤン駅時計IMG_4289.JPG1806 自強力「IMG_4291.JPG1806 米人質帰国IMG_4287.JPG1806 日本非難.jpg 
写真、1.国境を越えて固い握手 報道ステーション4/27、2.南北時差解消したピョンヤン駅の時計 TBS報道特集5/5、3.自強力で賑わう公設市場(制裁前2017年撮影) NHKスペシャル4/15、4.米国人3人解放、トランプ大統領が空港で歓迎 NHKニュース7、5/10、5.拉致解決済みと日本非難 NHKニュース7、5/12

 米朝会談が6月12日、シンガポールで開催されると発表された。世界史の転換を目撃することができるのかどうか、かたずをのんで待ち受ける日がついにやって来る。
平昌五輪で、板門店で、民族融和、核廃棄
 4月27日、テレビ生中継で板門店(パンムンジョン)軍事境界線を北から超えた金正恩(キム・ジョウウン)朝鮮労働党委員長が韓国文在寅(ムン・ジェイン)大統領とにこやかに握手した光景は、世界中に感動を与えた。二人は境界線を北にまたぎもう一度南に戻ったことは、朝鮮半島の融和と統一に向かうシンボル的行為といえよう。南北の非難合戦の拡声器を双方が撤去し、北朝鮮は韓国との時差をなくした。
 板門店宣言では、完全非核化、核のない朝鮮半島の実現、離散家族の対面などの課題を決めた。また朝鮮戦争の終結を宣言し、休戦協定を平和協定に転換する、米中韓北の4者会談開催すると決めた。北朝鮮金委員長と、アメリカトランプ大統領の会談で合意されれば、世界の歴史を変える。
 金正恩、二つの異なった顔
 金正恩委員長は、世襲三代目の指導者だ。1996年スイスに留学、2000年に帰国、金日成総合大学でIT技術を専攻、金日成総合軍事大学では砲兵指揮を学んだ。そして2011年12月、父親金正日総書記の死去により若くして(おそらく27歳)後継者となった。
 その後数々の権力闘争を重ね、指導権を確立、極悪非道の独裁者と見られるに至った。さらに核実験を繰り返し、ミサイル発射を重ね、国際社会にとって放置できない存在となった。
 南北会談に臨んだ金正恩委員長のにこやかな顔はまるで別人のように高い外交能力、判断力を見せた。核兵器と、アメリカ本土に到達する長距離弾道ミサイルを手に、一挙にアメリカとの積年の確執に終止符を打つ、非核化もいとわないと言及した。
 世界は、経済制裁で疲弊する人民が置き去りになると憂慮している。ところがこの6年、金正恩は父親の時代に社会主義崩壊と自然災害で破たんした市民の生活を「自強力」の強化というスローガンで、食糧生産向上、生活改善に力を尽くしてきたため、人民の敬愛度は非常に高い。IT技術にも詳しく、その知識は市民生活に取り入れられている。
 私は2010年、ピョンヤンとその近郊を訪れた。台風、山崩れ、洪水などの自然災害がありながら、人々は物々交換、露天市場で糊口をしのいでおり、携帯電話の導入が始まり、自動車をはじめEU系の物資が流入、ピョンヤンの高層化が進んでいた。
NHKの特集「金正恩の野望」(4/15,21,22放送)では2010年に200ヵ所しかなかった庶民のための市場は2018年までに800ヵ所に倍増、露天やわいろは禁止され、一定の金額を上納すれば農業、漁業の生産者は自身の収入になる、という手法で、制裁による経済危機を乗り切ろうとしているとレポートした。
 圧力維持続ける日本安倍政権、一刻も早い対話を
 北朝鮮に拘束されていた3人のアメリカ人が解放されたが、拉致問題は何ら進展がない。安倍首相は「トランプ大統領が首脳会談で言及する約束した」と楽観的だ。また、韓国の文大統領が「日朝関係の日本の考えを伝えた。金委員長はいつでも日本に会うと述べた」と安倍首相に伝えたことも、楽観論の根拠となっている。
ところが「労働新聞」は「米韓を通じて日朝対話を依頼しながら、圧力維持を掲げ続けている。1億年たっても我々の地を踏めない」(5/6)との論評を掲載、更に朝鮮中央通信は「全世界が朝米会談を支持歓迎している時、解決済みの拉致問題を持ち出したのは愚かな醜態だ」(5/12)と非難した。
和平交渉が進めば、韓国駐留の米軍の削減もありうる。在韓米軍が沖縄など日本各地に移転することになる場合日本の対応も問われる。
日本は北朝鮮と一刻も早く交渉に入り、拉致問題、植民地支配の清算、国交正常化交渉、そして東北アジアの安定と非核化に乗り出すことが必要だが、実現しそうもない。
(月刊、宣伝と組織 6月号より)
posted by media watcher at 17:42| Comment(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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