2018年04月24日

放送の自由を破壊する“改革”は認めない、安倍政権、放送法4条撤廃、民放事実上解体、フェイクニュース、党派的ニュース野放しに

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 写真1.放送規制緩和語る安倍首相 2/6/18 予算委員会、北日本放送3/28 写真2.閣内で放送法4条なくすと公序良俗害する番組、事実にも地図カナイ報道が増加する可能性と語る野田聖子総務相, 3/22/18総務委員会
 放送制度改革を検討中の安倍政権が、政治的公正をうたう第4条の撤廃など、放送における各種の規制を全面緩和し、ネットと放送との一体化を推進するという方針案が明るみに出た。NHKは現状のまま温存するが、民放はネット上の動画配信サービスと同列に扱うという考えも盛り込まれている。
 党派的報道導入。
 政府文書によると放送法にある、番組基準策定、番組審議会の設置、報道、教養、娯楽の番組編成の調和などの義務を外し、特定企業によるマスメディア複数所有や外国資本の参入制限も解除するという。
また安倍首相は「ネットテレビと地上波テレビの垣根をなくし、電波の有効利用図る必要がある」とも語っている(2/6衆院予算委員会)。民放の周波数を取り上げ転用することも考えているようだ。
政権の意向の具体化は、「規制改革推進会議」(議長、太田弘子政策研究大学院教授)に委ねられている。5月中に答申をまとめ、秋の臨時国会に法案を提出して2020年以降に施行に持ち込みたいとの目論見だ。
2020年は東京五輪の年。政府は新しい4K, 8K放送も実施する計画だから、テレビが技術的にも制度的にも、ネット連動の新型テレビに移行、買い替えも必要になる。
「安倍改革」が実行されれば、「公序良俗」、「政治的公平」、「事実を曲げない」、「多角的報道」などの適用を受けない、過激な番組、フェイク(偽)ニュース、党派的ニュースが横行することにもなる。また放送の制作部門と放送設備部門の分離もうたわれ、災害時の緊急報道にも障害が起きると予想される。日本では民放と新聞が一体化している。放送制度改革は新聞をも牽制する意図が透けて見える。
アメリカ「公正原則廃止」で世論の分裂拡大
日本の放送法第4条の規定は、制定の際(1950年)、アメリカの放送に適用されていた公正原則(Fairness Doctrine)を参考にした。公正報道や反論権などを盛り込んだこの原則は、「言論の多様性の障害になる」という理由で1997年にレーガン政権によって廃止された。
アメリカではその前年認可を得た右翼的Fox Newsや一連の右派系トークラジオが輩出、ブッシュ統領支持を打ちだす地方局グループ「シンクレア系列」が大型買収を重ねて(2017年〜)発言力を増した。
このメディア状況が、アメリカ世論の分裂を拡大し、トランプ政権誕生につながったと分析されている。現在、新聞ではニューヨークタイムズ、ワシントンポストなど大手紙がトランプ政権と激しく対立、放送メディアでもNBC、CNN、など基幹局が大手新聞と共同歩調をとっている。これら各社は、公正報道を旨とする編集倫理綱領を掲げ、「ジャーナリスト規範委員会」(Society of Professional Journalists)という真実の報道、自主的報道のための横断的組織を持っている。ベトナム機密保護法、ウオーターゲイトなどで確立した公正報道、政権監視、調査報道が今も脈々と生きている。
放送の自由崩壊の恐れ
今回の放送規制改革案に対して民放各社は一斉に反発している。民放連の井上弘会長(TBS名誉会長)は、「民放は健全な世論形成に貢献してきた」として、放送法4条撤廃などの政府改革案に反対する意向を示した。日本テレビ大久保好男社長(次期民放連会長)は「民放事業者が不要だと言っているのに等しく、容認できない」(4/3「民間放送」)と発言している。また野田聖子総務相も「(放送法4条を撤廃すれば)公序良俗を害する番組、事実に基づかない報道が増加する」(4/3総務委員会)と慎重な姿勢だ。
政府の今回の放送制度改革は極めて危険内容をはらんでいる。放送の自主自律、報道の自由を守り通すという観点から、認めるわけにいかない。
4月16日「規制改革推進会議」に出席した安倍首相は、持論だった放送法4条撤廃案には言及しなかった。世論や新聞、放送などメディアの強い批判に配慮したものと思われる。しかし「放送と通信の融合」、「電波の有効活用に向けた制度の在り方」などを検討するという基本方向には変化がない。折あらば、メディアの公共的役割を否定し、干渉、介入を強め、御用メディアを育成したいとする政権の意向に対し、警戒心を持って向きあっていく必要がある。(JCJ代表委員 隅井孝雄)

JCJ機関紙「ジャーナリスト」721 号に掲載、28年4月25日


posted by media watcher at 16:23| Comment(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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