2017年08月08日

世界各地ででは原発廃炉盛ん、アメリカ、フランスも原発削減、脱原発の潮流強まる、逆行する日本の原発再稼働

1708 ベルギー原発Brussels-Doel-Tihange20160322.jpg1708 韓国原発o0500048212777212141.jpg1708 仏原発BS1F2IMG_3710.JPG
 BSのワールド・ニュースを見ていたら、F2(フランスのテレビチャンネル)で、「(フランスは)2015年までに原発17基を閉鎖することを検討している」とのニュース(7/11)に接した。これまで私は、フランスは原発大国だという認識しかなかったが、それが覆された。
 私はそこで、改めて日本の原発再稼働や、フランスを含む世界の原発の状況を調べてみた。以下そのレポートである。

 日本、再稼働続々、高浜原発3号、4号が運転開始
 日本では九州電力の川内原発1号機、2号機が2015年8月と9月に再稼働して以来、四国電力伊方原発3号機が2016年8月に再稼働して、原発の再稼働運転がジワリと進み始めた。
大津地裁の仮処分で止まり、大阪高裁で承認をえた関西電力高浜原発3号機が2017年6月7日、4号機が6月16日、相次いで営業運転を開始した。これで営業運転は、川内1,2号機、伊方3号機と合わせ、5基となる。さらに2017年7月現在、関西電力5基、九州電力2基に再稼働許可が出ており、審査中の原発は14基もある。日本は再び原発大国への道を歩むことになる。高浜は私の住む京都府の至近原発であり、事故があれば琵琶湖を含む京都府内の広範囲な放射能汚染の可能性も否定できない。

 関電、安全対策に巨額の費用
 関西電力は今回の高浜3号機、4号機の稼働で、料金を引き下げるといっているが、実は未稼働原発の維持や、再稼働のために巨額な費用が必要だ。関電全11基の安全対策分析委託費、廃棄物処理費などどの維持費は2015年度だけで2996億円だったという。高浜3,4号機の安全対策費には2300億円かけた。この費用は電気料金に含まれているため、世帯当たり年間7000円負担したことになる(朝日新聞6/17の試算)。
 朝日新聞の報道によると、今秋には大飯3,4号機の運転が計画され、以降も5基を動かすことが想定されている。これら安全対策にかかる費用は8300億円と見込まれているがこれに加えて、飛行機突入などの「特定重大事故対策施設費」(特重費)が必要とされるため、加えれば1兆円を超えると試算されている。

 韓国、脱原発政権誕生
 韓国には現在25基が稼働中、5基が工事中、4基が建設準備中だ。ところが脱検発を公約したムン・ジェイン(文在寅)大統領が誕生、大きく状況が変わった。すでに「韓国水力原子力社」が建設準備中の2基の設計を中止、6月18日には最古の古里原発1号機が運転中止した。さらに建設から30年経過した月城1号機の稼働停止を求めた住民訴訟に対し、ソウル行政裁判所は稼働延長を取り消す決定を下している(2/8)。現在ソウル高裁で審理中だが、まもなく決定が出るとみられる。ソウル発の共同通信によれば、6月19日、停止した古里原発を訪れた大統領は「新規の原発計画は全面的に白紙にする」と脱原発宣言した。

 台湾国会で脱原発可決、ベトナムは日本原発発注を中止
 台湾では3か所6基の原発(その内2基が停止中、1基が点検中)があるが、蔡英文政権が提案した脱原発の電気事業改正法が今年1月11日に立法院で可決成立、2025年までに原発の運転をすべて中止、再生エネルギーを普及拡大することが決まった。
 ベトナムでは、ロシアと日本にそれぞれ2基の原発を発注していたが、財政事情の悪化と市民の環境意識の高まりから、2016年11月、日本およびロシアへの発注を両方とも取りやめることを決めた。
日本の安倍政権はベトナムで成功すれば、アジアにおける原発輸出のモデルと勢い込んでいたが、思惑倒れに終わった。

 スリーマイル原発廃炉決まる、原発閉鎖次々、採算見込めず
 アメリカではコスト面から原発閉鎖の方向が見えてきた。5月30日、米電力大手、エクセロン社が、スリーマイル島原子力発電所(ペンシルバニア州)を2019年に閉鎖すると発表した。1979年に2号機が炉心溶融事故を起こした、あの原発である。2034年までの運転認可を持ち、事故後も1号機が稼働していたが、シェールガス、石油などの価格の下落で競争力を失った。採算に合わないとして閉鎖が決まった。
 アメリカでは2013年から16年にかけて、6基が閉鎖した。稼働中の原発は57事業所99基あるが、2021年にはニューヨーク市近郊のインデアンポイント原発が閉鎖することが決まっている。スリーマイル原発を含め今後5年間で5基が廃炉となる。

 ベルギーで老朽原発閉鎖求め、5万人の人間の鎖
 ドイツで2011年7月、福島原発事故の直後、当時17基稼働していた原発原子力発電を2022年末までに全廃することを決めたことはよく知られている。そのドイツと接するベルギーでティアンジュ、ドール二基の老朽原発の停止を求めて6月25日、ヨーロッパ化各地からの5万人が参加する「人間の鎖」行動が行われた。
 ロイターの報道によれば、ティアンジュ原発のある、ベルギー東部のユイからリエージュを経由、オランダのマーストリヒト、ドイツのアーヘンを結んで90キロにわたった。
 両原発は2015年に廃炉となるはずだった老朽原発だが、ベルギー政府が25年まで延長を認可したことで、周辺国のオランダ、ドイツでも不安が広がっていた。

 フランス、原発17基閉鎖か?
 原発の全廃を決めたドイツの隣国のフランスは、原発大国として知られる。しかしエマニュエルマクロン内閣の閣僚となった、二コラ・ユロ、エコロジー相が7月10日、「2005年までに原発17基を閉鎖するつもりだ」と発言したことが、衝撃を呼んでいる。フランスには現在58基の原発があり、電力の77%を供給している。
 エネルギー相の発言は、2025年までに原発依存を50%にするためには17基〜20基の原発を廃止する必要がある、との会計検査院の勧告を受けたものだと「フランス2テレビ」は伝えている。フランスは前オランド大統領の政権下で、原子力依存度の削減を打ちだしていたが、マクロン新大統領の政権は、それを一歩前へ進めるのかもしれない。
 フランスの原発依存度は全エネルギーの77%に達しているが、政府は50%まで引き下げることを当面の目標としており、再生エネルギーを大幅に増やすことを計画している。
フランス新政権の原発削減の方針に、フランス原子力公社は反発しているため直ちに17基削減は実現しないという見方もある。

(本稿は2016年6月12日に京都コミュニティーラジオFM79.7の放送原稿に、その後8月初旬にかけて加筆、修正を行った)
posted by media watcher at 16:58| Comment(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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