2017年03月16日

番組評 「青い目の人形の涙〜子供たちとあの戦争」(NNNドキュメント16年11月28日放送)、米英撃滅の思想教育、竹やりで突く

1612 青い目タイトルIMG_3311.JPG1612 青い目の人形記事IMG_3313.JPG1612 青い目焼いたIMG_3316.JPG1612 青い目生き残りIMG_3314.JPG1612 青い目服着せたIMG_3315.JPG1612 青い目日本人形IMG_3312.JPG
 以下の記事は2016年12月5日、報道ワイド「おはようさんどす」(FM79.7京都3条ラジオカフェ)で放送された原稿に加筆した。 隅井孝雄、(掲載遅れお詫びします)。
 11月28日、「青い目の人形の涙〜子供たちとあの戦争」(NNNドキュメント、静岡第一テレビ)を見た。青い目の人形のたどった運命にまつわる話はしばしば聞いたが、今回の番組では、教育の場で、米英撃滅の思想教育に使われた、アメリカ生まれの人形が槍で突かれ、火で焼かれ、海や川に放られた悲惨な話が紹介され、敵愾心をかき立てる思想教育の行き着く先を見せたことが語られた。だが同時に、「青い目の人形を」を守った人々もいたこともこの番組の中で明らかにされた。
 「青い目の人形」は、日米児童の親善を願う、米宣教師シドニー・ギューリック師が募金を集めて1927年(昭和2年)に12,739体を日本に送った。人形はアメリカ各地の港から12隻の船に分乗し、同年1月から2月にかけて、横浜港や神戸港に到着、3月3日のひな祭りに、日本青年館や大阪中央公会堂で歓迎式典が開かれた後、全校各地の小学校に送られた。当時の小学校、幼稚園は26,000校以上あったため、受け取ることができない学校も多くあったようだ。そして答礼として同年11月に日本国際児童親善協会(会長、渋沢栄一)が56体の日本人形をアメリカに送った。
 16年2月17日、静岡に日本人形富士山三保子が里帰り。展覧会には、生き残った青い目と合わせて展示された。
 1943年(昭和18年)2月19日の毎日新聞全国版に、戦時中の青い目の人形の運命を知ることができる次のような記事がある。
 「青い目をした人形、にくい敵だ、許さんぞ、童心に聞くその処分」、15年前、日米親善の触れ込みで米国から我が国の各小学校へ一体ずつ寄贈になった“青い目の人形“は今にして思えば恐ろしい仮面の親善使であった。ある学校で人形の措置について生徒に意見を聞いたところ、憎い敵アメリカからの贈り物である以上、叩き壊せという答えが大部分だった。破壊、49名、焼いてしまえ133名、送り返せ44名、毎日いじめる31名、海に捨てろ33名、白旗を掲げて飾っておく、5名、米国のスパイと思って気をつけよ1名。
 なお郡の教育部では人形を一か所に集め、児童に敵愾心を植え付ける方法をとりことにした。文部省国民教育局では人形をできるだけ速やかに処置することを望んでいる」。
 また1943年3月9日読売報知遠州版(静岡)には次のような記事がある。
「焼けよ、仮面の親善人形」、今から15年前日米親善使節の触れ込みで全国各小学校へ寄贈された青い目の人形は、今にして思えば恐ろしい仮面の親善使節であった。静岡県掛川国民学校で5年以上のヨイコから答案をとったところ、大部分が“口に正義人道を唱えながら天人ともに許さざる鬼畜行為を敢えてなす憎い敵国アメリカからの贈り物である以上焼き捨てろ”、と勝ち抜く一億国民の敵愾心が童心にも強く反映している。同校では10日の陸軍記念日に、佐藤校長から人形の由来を説明したのち全校児童の目の前で、憎い親善使節を焼き捨て、敵愾心の高揚に務めることになった。その他の国民学校でも、この際、叩き潰すかあるいは焼き捨てることになった。
 当時小学生に聞くと、「川に捨てよといわれた、校庭に藁の家を作り、火を放って放り入れた。燃える人形を見るため、全校生徒が集められた」と語ってくれた。
しかし、当時あえて、人形を守ろうとした人々がいたことも明らかになった。学校の用務員がヤギ小屋に隠した、という証言もある。校長先生が、隠しのだろうか、校舎建て替えの時校長室の棚の奥から出てきた人形もある、番組は良心を捨てなかった人がいたことを明らかにした。
 
付記、隅井のメモ
京都には262体が送られた。16年8月、立命館平和ミュージアムが残った8体を展示した。また最新は今年4月、右京区の民家の押し入れから二体が発見された。一体は亡くなった母親の太秦小教師が学区から持ち帰って隠したと思われる。一体は他の学校の教師から託されたようだ。
 中京の高倉小にもメリーさんが1体ある。旧本能小に寄贈されたものだ。教師がこっそり持ち帰って保管していたが、なぜか衣服がなく裸だったので、衣服を着せで飾ったという。送り主であるシドニー・ギューリックさんの孫、ギューリック3世が昨年3月、日本を訪問した際、高倉小で再会した。全国には青い目の人形は330体が残っている。
 
posted by media watcher at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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