2017年03月03日

トランプ米大統領の下、日本と世界はどうなるのか、地球規模の危機に直面する可能性を考える。

 1702会談前 安倍トランプ握手IMG_3202.JPG1702 トランプ反マドンナIMG_3206.JPG1702 トランプWDC女性集会IMG_3207.JPG1702 トランプ支持率低IMG_3208.JPG1702 トランプ終末時計IMG_3169.JPG1702 核兵器IMG_3176.JPG
 以下の記事は月刊「組織と宣伝」(機関紙協会京滋発行)3月1号に掲載されたものに加筆、修正した
 
 波長の合った二人、安倍首相のへつらい
 安倍首相は2月10日、トランプ大統領との会談の後、フロリダに移動、ゴルフ会談を楽しみ、意気投合した。選挙中に「駐留費を2200億円全額負担させる」、「日本の自動車に38%関税をかける」など厳しい発言をしていたが、今回の会談では全く言及されなかったことで、政府は安堵している。トランプが大統領になれば日米関係が変化するという観測があったが、日本がアメリカに従属する構造は今まで以上に強まったといえる。
 安倍首相が金のゴルフクラブを送っただけではない。メキシコの自動車工場を作ることでトランプに批判されたトヨタ自動車はケンタッキー州にカムリ製造工場を作るなど、向こう5年間に100億ドル(1兆1300億円)の投資を行うことを全米自動車ショーの会場で発表した。トヨタの発表は安倍首相と相談のうえで、トランプの機嫌をとったものだ。
 アメリカがTPPを廃棄したことで安倍首相は国会審議で「説得する」と言っていたが、一切話題に出なかった。今後日米2国間の経済、貿易交渉が予定されるが、アメリカファーストを掲げるトランプ政権がどのような難題を出してくるだろうか。
 CNN、NBCなどアメリカメディアは安倍トランプ記者会見を中継したものの、会談には関心を示さず、入国禁止令の質問に終始した様子が映し出された。また新聞各紙は「へつらいだ(flattery)」(タイム電子版2/11)、「両者は波長が合った(good chemistry)」(ワシントンポスト2/13)、「摩擦を後ろに置き、トランプは安倍をハグした(hugged to put behind any friction)」(ニューヨークタイムス2/10) など批判的な報道だった。
 深刻な米国の分断
 アメリカではトランプ大統領就任直後から、相次ぐ大統領令によって激しい分断状況が起きている。特に世界的な批判と国内での大混乱が起きたのは1月27日に発した入国禁止令だ。対象はシリア、イラク、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンの7か国。当日アメリカの空港で拘束されたのは、109人、世界各地から米国行きの航空機に搭乗できなかったのは173人だった。世界の民主主義に対する重大な挑戦であり、難民救援を阻む行為として許しがたいことから、全米各地で大規模な抗議運動、難民救援運動が起き、2月3日にはニューヨーク連邦裁判所が、2月9日にはサンフランシスコ高等裁判所があい次いで入国禁止命令を差し止める決定を下した。
 厳しい移民制限、米入国制限に対しては、英、仏、中東、南米、などで抗議の声が上がっている。しかしそれに加えてGoogle, Apple, Face Book, Microsoft, Adobeなど97のIT企業が批判する意見書を発表したほか、スターバックスが向こう5年間、移民1万人を雇用すると発表した。
 最低の支持率、50万人の反トランプ集会
 トランプ大統領に対しては就任直後から、非常に低い支持率で推移している。離任直前のオバマ前大統領が72%の支持率(ピュー研究所16年11月)だったのに対して、トランプ大統領はわずか40%(1月18日CNN)と史上最低の支持率にとどまった。大統領就任式には60人以上の民主党議員が欠席し、国論の分裂をあらわにした。就任式の翌日1月21日には首都ワシントンで50万人の「女性大行進」が行われた。行進では女性差別だけではなく、核兵器廃絶、労働者、LPGTの権利擁護を訴えた。これに呼応したデモが、シドニー、ロンドン、ヨーロッパ主要都市、メキシコ市、ナイロビなど世界各地で一斉に展開された。
 大富豪と将軍の政権
 トランプ政権の布陣がようやく固まりつつある。「ボストン・グローブ」紙によると閣僚の資産は総額131億ドル(1兆5300億円)に達する。白人労働者層を救うという選挙中の名分はどこかに吹っ飛んでしまった。教育長官のベッツィ・デイボス(アムウエイ創業者の嫁)、51億ドル(5700億円)、商務長官のウィルバー・ロス(ウォール街出身)25億ドル(2800億円)。金持ちに対する減税、免税が一層進むに違いない。
 将軍、軍人を抜擢したことも特徴だ。国防長官、ジェームス・マチス(元海兵大将、中央軍司令官)、国家安全保障長官ジョン・ケリー氏(海兵隊退役大将)などである。いったん局地的な戦争でも起きれば、オバマのような抑制を見せることなく、軍を投入するだろう。中東での米軍投入も予想される。火薬庫といっていいほど世界にとって危険な存在だ。安倍との接点となった、安全保障担当補佐官、マイケル・フリン元陸軍中将はロシアとの関係で深入りし首になった。後任の安全保障担当補佐官にはH.R.マクスター陸軍中将を起用した。
地球死滅の引き金、温暖化と、核兵器
 トランプ大統領は選挙期間中「地球温暖化は中国がアメリカの力をそぐためのでっち上げだ」と語り、世界各国が共同して作り上げた「温暖化対策」をぶち壊そうとしている。そして就任後、環境保護庁の長官に、環境反対派のスコット・ブルイット氏を据えた。今後石炭、石油など化石燃料を掘り出し、そのために労働者を大量に雇用する計画を立てている。気候変動枠組み条約から離脱すると発言したが、パリ協定は4年間離脱できない。一方国連への温暖化対策基金の支払い停止は時間の問題だ(日米欧先進3か国90億ドル、うち30億ドルがアメリカ)。
 核兵器はオバマ政権によって削減の方向に向かっていただけではなく、将来的には廃絶することが約束されていた。ところがトランプ大統領は、選挙運動中、「核兵器の能力を強化する必要がある」とツイッターした(16年12月22日)。それに力を得てアメリカは「核兵器近代化」を進め、小型戦術核爆弾B61の爆撃機への配備を急いでいる。1月27日、トランプ大統領は「米軍再建」の大統領令に署名したが、同じ日、アメリカの科学雑誌「アトミックサイエンチスツ」は「終末時計」の針を30秒進めて残り2分30秒とした。
 さらに2月23日には、ロイターとのインタビューで「米国が核兵器能力で、他国に劣ることはない」として、核兵器の備蓄増強を表明、核兵器削減の新START条約改定、廃棄を示唆した。
 トランプは人類死滅の引き金を握っている。
posted by media watcher at 12:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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