2017年02月26日

TVドキュメンタリー批評 「沖縄 さまよう木霊(こだま)〜基地反対運動の素顔」(毎日放送) 1月29日放送

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 沖縄での基地反対闘争に異変が起きている。毎日放送がその兆候を追い、長期取材した。映像17「沖縄 さまよう木霊(こだま)〜基地反対運動の素顔」(1月29日放送)だ。
 オスプレイのヘリパッド6か所に取り囲まれる東村高江地区。騒音被害、事故の危険性、やんばるの自然破壊に抗議、長年にわたって座り込みが続いていた。
 工事を急いだ政府は昨年来、他府県の機動隊を大量投入。その頃から座り込みが「過激で暴力的だ」、「県外からの活動家が多い」などの風説がネット上に飛び交うようになった。そして10月、県外からの機動隊員による「このボケ、土人」という発言が飛び出した。差別発言だと批判が広がったが、いつの間にか「混乱のもとは反対派の過激な言動」とすり替わった。
 番組では流布されている「言説」を一つ一つ洗い出した。普天間で介護士をしているYさんは、ネット上では「成田闘争(1970年代)の過激派」とされている。勤務する病院あてに脅迫状も来た。「彼らはプロ市民、座り込みに日当2万円がでる」という話も流れた。
 極め付きは救急車の走行が妨害されたというネット動画だ。前部がへこんだ救急車が映り、反対派が取り囲んだという説明が流れる。高江地区の消防では事実はなかったと確認できた。発信した人物をつきとめ、電話を掛けた。「聞いた話で、軽はずみだった」と謝罪、写真の救急車は他県のものだが「イメージで使った」という釈明だった。折から東京の地上波テレビで同じように抗議行動を「テロリストみたい」と主張する番組まで現れた。
 「機動隊を守るデモ」を呼びかけた地方議員は、インタビューの中で「左がかった抗議行動をこれからは“テロ準備罪”などで規制していくことになる」とネット上の一連の風説を擁護して解説する。
 事実でないことをネット上で拡散する「フェイク(偽)ニュース」の手法は、アメリカでも、大統領選以来、大きな問題になっている。人々の興味をそそるよう工夫を凝らした偽物が「ポスト真実(脱真実)」などという言葉と共に意図的に流布され、真実を押し流したのだ。
 偽ニュースに踊らされないためにも、この番組が見せた「真実に迫る」努力は貴重だと私は高く評価したい。(すみいたかお、ジャーナリスト)
 この記事は赤旗ラジオテレビ欄のコラム「波動」欄に掲載された(2/6)
posted by media watcher at 13:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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