2016年12月06日

米大統領選、メディアの敗北、ロサンゼルスタイムスだけが正確な報道だった

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 以下の記事は月刊新聞「ジャーナリスト」(日本ジャーナリスト会議)JCJ時評、2016.11.25、に掲載された隅井孝雄
 「メディアの敗北」、米大統領選
 「アメリカの理念が揺らぎ、差別と排除の思想がまかり通っている。8年前とは全く違った“チェンジ”が叫ばれている」、「雇用は3分の1、中間層は消滅した」「バーニー・サンダースを取り囲んだ数万、数十万の若者は、クリントンに向かわなかった。トランプか第三の候補にも流れたが、多くが投票しない」、「人々はグローバル化の中に置き去りにされ、怒りにかられ、エリート支配に反発している」、「大きなうねりは資本主義や多様な移民社会という価値観を揺さぶっている」。
 このレポートは選挙後のものではない。選挙3日前(11/5午後9時放送、米時間4日前)のNHKスペシャル「揺らぐアメリカはどこへ、混迷の大統領選」から抜粋したものである。出色の取材とレポートだった。
メディアは、トランプ候補の奇矯な言動に焦点を当てた。テレビ討論も泥仕合だと酷評された。その背後では両陣営の支持者たちが、アメリカの行方をめぐり、生存をかけた争いを展開していた。私は、「メディアの敗北」といいたい。
 アメリカの新聞の多くは支持する候補を明らかにする。支持表明の84紙の中には「アリゾナ・レパブリック」など、共和党候補支持から転換した14紙が含まれていた。また創刊以来一貫して中立を標榜してきたUSAトゥデイは今までになかった社説を出した。「(トランプ候補は)気質、知識、安定性、誠実さを欠き、不適切だ。彼に投票すべきではない」。トランプ支持を打ち出したのは「ニューヨーク・オブザーバー」など4紙にとどまった。
 「ニューヨークタイムズ」は開票直前80%としていたクリントン当選率を、開票後、50%に下げたが、及ばなかった。
 テレビ討論では、メディアは、発言に偽りや不正確さがあった場合、直ちにそれをただす態勢(ファクト・チェック)を取った。そのためトランプは奔放な発言を封じられた。メディアは3回ともクリントンが優勢だった、と報じた。
 「隠れトランプ」の存在がささやかれたが、真実は不明のまま投票が始まった
 メディアの中で唯一トランプが3%〜5%で優位を保ち続けていると報道したのは「ロサンゼルス・タイムズ」一紙であった。電話調査に頼らず、インターネットのサンプル調査に力を入れ、没落の一途をたどる白人労働者層がトランプに望みを託したことが票に反映したと分析する。その結果、オハイオ、フロリダなど激戦4州を制したばかりが、従来民主党の青い牙城だったラストベルト(錆びついた地帯)もトランプが奪った。移民も生存をかけた戦いを挑んだが及ばず、今激しい差別にさらされている。
 ビジネスマン出身の大統領は、今後一握りの特権層を解体し、職のない労働者や若者の生活に光を与えことがない限り、反乱は起きる。共和党大統領、共和党議会は皮肉にも自ら時限爆弾を抱え込んだ。
トランプの影響は日本にも及ぶ。我々は多くの点でNO!を突き付けなければならないことは、予想に難くない。安倍政権にそれができないときの準備が必要だ。
posted by media watcher at 17:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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