2016年05月06日

コミュニティーラジオ、災害ラジオの現状,熊本での活躍、増える地域メディアとしてのラジオ

 コミュニティーラジオ、災害ラジオの現状、熊本での活躍、増える地域メディアとしてのラジオ

 (この記事は5月2日、FM79.9京都三条ラジオカフェの情報番組「おはようさんどす」(朝10:30~11:40)で放送された私のコメントに加筆しました)。

 熊本災害で活躍するコミュニティ災害ラジオ
 4月14日、16日に熊本地方を震度7という大きな地震が二回、余震を入れれば100回を越える長期の地震が襲った。人々の要望に応えて急遽電波を出したのは緊急災害放送とコミュニティーラジオだった。主な被災地は熊本市中心部、益城町(ましきまち)、甲佐町、御船町,さらには阿蘇郡阿蘇村など広範囲にわたっている。
 熊本市の中心部には熊本シティーFMがある。この局は1996年以来のいわばベテラン局。地震発生直後14日早速災害緊急放送に切り替えて放送をはじめた。16日未明一時無停電装置が故障、自家発電で放送機器を再起動して回復、全力で放送を継続した。
 このラジオ局の電波は市内の7割に届く。メールの数が昼夜を問わず400〜500、風呂に入りたい、コインランドリー教えて、炊き出ししたいので精米所を教えて、などの情報問い合わせが続々、小学校の校歌を流したところ、避難所のみんなで合唱になったという。
 4月23甲佐町(益代郡甲佐町役場)、4月25日御船町(益城郡御船町役場)、4月27日益城郡益城町(保健福祉センター)で放送が始まった。益城町では連日9時、12時、15時、18時4回放送で被害情報、避難情報を放送している。機材は通信局の手持ちのものを急遽運び込んだという。すべて緊急災害FM放送として認可を受けた。
なお熊本シティーFMは、益城、甲佐、三船の3町の災害放送にも情報を供給した。今日現在も熊本地域ではNHK、民放に並んで地域災害FMが大活躍している。
 一方、熊本災害の報道に接した和歌山県(中央構造線断層帯の東端)では4月26日、災害FMを即刻立ち上げることが出来るように、技術ボランティアの募集の開始など、県情報化プランを発表した。東日本地震では三県28市町、30局が開局した経験を学んだのだ。

 地元ラジオ局、アンテナ破損、停電による送信中断にめげず全国発信
 民放連の新聞「民間放送」(4/23)によると、熊本放送ラジオの蘇陽北中継局のアンテナが破損16日1時25分から18日15時45分にかけて停波した。また民放テレビ4局の親局も16日1時57分から2時30分の33分間中断、手動で発電機を起動した。また4局共同の砥用中継局(益城郡美里町)でも16日朝2時間25分停波した。そうした状況の下で14日から16日にかけて、民放各局は被災の激しい地域に記者、カメラマンを派遣、全国に情報を発信し続けた。また自社のサイトを使ってライフライン情報を伝えた。

 コミュニティFMラジオ新規開設次々、300局越える
 熊本災害のさなか、4月18日には京都府の北部舞鶴で「まいづるマリーンステーション」というコミュニティFMが誕生し,注目された。情報トーク番組を午前8時、正午、3時の3回放送するほか、「まいづる赤煉瓦情報」、「まいづる高校性情報」多彩な番組を企画している。一般公募で10人の市民パーソナリティーが誕生、また市の職員も番組企画や出演で「お手伝いする」のだという。京都市内の三条ラジオカフェも番組をネッとするなど全面的な支援体制をとっている。また京都市北部でも大学と連携するコミュニティFMが開設準備中だ。この地域では佛教大、京都産業大、立命館大など大学密集地域で、学生の放送参加が期待できる。新しいスタイルの局になると予想されている。
 このところ各地で,地域に根ざしたコミュニティーラジオの開局が相次ぎ、全国で303局となった。富士吉田2/1、FM越谷3/25,渋谷ラジオ4/1,鹿児島曽於市4/29などだ。更に今後大牟田、有明ネット、宇都宮ミヤラジなどが続く。
 4月1日本放送開始した「渋谷のラジオ」はクリエーティブディレクターとして箭内道彦が中心となり、福山雅彦も出資していることから,注目されている。またラジオと並行して配信サイトHuluが箭内道彦のトーク番組を映像化して全国配信している。(配信は5月6日から隔週金曜日)。新しい試みといえるだろう。

 東北災害ラジオは6局に減少、一部はコミュニティーラジオに移行
東北三県の災害FM各局は一時期30局に達したが、もともとのコミュニティ放送に戻ったところ,放送を休止した局などあり、現在でも放送を続けているのは,私の調べた限りりんごラジオ(山元町)、気仙沼、釜石、南相馬、富岡、鹿島市などに止まっている。
また10局がもともとのコミュニティFMに復帰、宮古、大船渡、名取で新たにコミュニティFMとして開局した。
 先日先日この番組にゲスト出演したFMあおぞら(亘理災害FM) は、放送は打ち切ったがいずれ再出発したいと、努力を続けている。年間1600万円の予算、国の支援もあったが,町の予算が見直され、たちゆかない。9358人の署名を集めコミュニティFM局としての再開を模索している。
 放送の最後の日、3月11日には町の死者全員306名の名を1時間かけて読んだ。
 女川災害FMは3月27日閉局した。しかし東北放送ラジオの週一回の枠を町が買い取って放送、他にニコニコ生放送、SNSで発信が続く。小学校のトレーラーハウスで災害の直後2011年4月21日から5年間放送、NHKのドラマにもなった。インターネットでも配信して視聴者が2万人いたと伝えられている。寄付でまかなったが,それも減り、自治体も復興したと援助を打ち切った。
 山元町のりんごラジオは、あと1年は継続するという。

 コミュニティーラジオ元祖、FMわぃわぃはネットラジオに移行
 注目される動きは,コミュニティーラジオの火付け役とも言われ阪神大震災で生まれた老舗のFMわぃわぃだ。この局が放送免許は返上して4月1日からインターネット放送に移行した。1995年開局。神戸市長田区。多言語、多文化共生、韓国、ベトナム、ポルトガル。機材、バックアップに財力がいる。ネット放送に移行。10年ラジオを続けて来た。
 放送法が改訂されバックアップ電源、送信システムの確保などが重荷になったというのが理由だ。災害が起きれば放送機能を発揮する協定を神戸市と結んでいる。

 コミュニティーラジオの総数は5月1日現在303局に達した。
 北海道 29、東北28局、関東59局、信越20局、北陸13局 東海33局、近畿40局、中国22局、四国9局、九州沖縄60局 299局+4局=303局
 コミュニティ放送の役割はますます増大、政府も出力20ではなくもっと大きくするとともに、財政援助を改めて真剣に検討して欲しい。
 民間の非営利組織が、手軽に電波が出せるようにする必要があるだろう。
posted by media watcher at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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