2016年02月17日

樹木希林、クローズアップ現代に出演(2/9), 「国谷さんに会いたいから、喜んで来た、NHKのすてきな財産だ」、退陣ま近の国谷にエール

 喜んで出演、政府の仕打ち承知の上かも知れない
 2月9日、クローズアップ現代のゲストに樹木希林が出演した。タイトルは「がんを生き切る、〜残された時間、どう選択」。希林さんは長期にわたってがんと闘病している。最近ではオフィリアのように川の流れに浮かんだキャンペーンポスター「死ぬときぐらいは好きにさせて」で評判になった。
 その彼女と国谷裕子キャスターとの間で番組の最後に以下のようなやりとりがあった。
 希林「(がんにいいことはと問われ)笑うと命の水がこみ上げて来るのよ、それからね、嬉しいことをするの。”クローズアップ現代なのですが出てくれますか”、“出ます、国谷さんに会いたいから”。わたし国谷さんはほんとに素敵な仕事ぶりだと思っているの。それでね、NHKは大変な財産をお持ちだなと思って、わたしはいつも大好きな番組です」、国谷「ありがとうございます、いつまでも御元気で」
 国谷裕子、1993.4.50、この番組の開始と同時に起用されて23年、この番組一筋で歩んできた。番組の人気は高く、ある意味ではNHKを支える存在でもあった、しかしNHKは3月一杯で契約を打ち切り、番組を模様替えし、司会者を複数の女性アナに変える。番組制作の担当者たちは国谷キャスターの続投を望んだが、明確な理由が告げられないまま、「上層部の意向」で押し切られた。背後に政治的背景がある。安倍政権によって切られたのだと言うことは衆目の一致するところだ。
 樹木希林もそれを知っていたに違いない。国谷裕子に、生放送の機会にあえてエールを送った、とわたしは思いながら感慨深く番組を見た。
 国谷キャスター降板の背景を、取材して記事にした。背後にどのようなことがあったのか、同時に姿を消す他局の古舘伊知郎(テレビ朝日報道ステーション)、岸井成格(TBSニュース23)両キャスターについてもその降板の背景を探った。詳しくは「隅井孝雄のメディアウォッチ」というブログを読んでいただきたい。

 以下は月刊誌「宣伝と組織」2016年2月号「マスコミ時評」に(機関紙協会京滋支部発行)に掲載された。

 国谷、古舘、岸井、3月末3人のキャスター揃って降板

 国谷裕子キャスターはなぜ姿を消すのか
 NHK「クローズアップ現代」国谷裕子キャスターが3月末で降板する。朝日新聞が次のように伝えた。「関係者によると、クロ現を担当する企画開発センターは続投を強く求めていたが、上層部は内容を一新するという方針を昨年末決定、国谷さんにも契約を更新しない方針を決めた」(1/8)。政治的判断であることは明らかだ。
 「クローズアップ現代」は演出手法に行き過ぎがあったことを問われた。第三者機関であるBPO報道倫理検証委員会で審議され「倫理違反があった」という報告書(11/6)が出た。
 この報告書の中で倫理委は、自民党がNHKの経営幹部を呼びつけ事情聴取したこと、総務大臣が文書でNHKに「放送法違反」として厳重注意を行ったことは「政治介入」だと批判した。
 「政府は放送の自主的な自浄力に介入すべきではない、権力の介入は” 放送法1 条2項放送の自律” によって禁止されている」というのがBPOの見解であった。あわせてBPOはキャスター国谷裕子の「視聴者の信頼を取り戻すために真摯に番組を続ける」という発言を評価した。
 政府自民党は「クローズアップ現代」の報道姿勢を快く思っていなかったと思われる。ゲストに菅義偉官房長官が出演(7/3/15)した際、集団的自衛権について鋭い質問を受けて、「約束が違う」と激怒、担当者を土下座させた(フライデー、7/19/15)という。
 ”NHKの上層部”は国谷キャスターを政府、自民党におもねって切り捨てたのだ。
  古舘降板の真実
 「報道ステーション」の古舘伊知郎キャスターが3月末で降板する。本人の意向だと伝えられるが、真実は別にある。昨年3月27日の放送でゲストコメンテーターの古賀茂明氏がI am not ABEというフリップを掲げたことがきっかけとなった。古賀氏は以前の出演で安倍首相の批判を行い、菅官房長官は番組が放送法に違反していると発言した。この事件とほぼ同時に朝日新聞編集委員のコメンテーター惠村順一郎氏が降板、また長年古舘キャスターを支えていた担当プロデューサーが解任された。
 テレビ朝日の早川洋会長は最近安倍政権よりに傾いているともいわれている。また番組審議会副委員長の見城徹氏(幻冬社社長)が政権とのパイプ役になっているという観測もある。
 「報道ステーション」は原発、慰安婦、集団的自衛権、安保法案などでリベラルなスタンスを取っていた。今回の降板には政治的な思惑が関与しているとみるべきではないか。
 TBS岸井キャスターへの偏向批判
 昨年末、私の元に一通の封書が届いた。新聞意見広告(読売新聞と産経新聞に掲載)のカラー1ページ大のコピーが同封されていた。「TBSニュース23のキャスター、岸井成格(しげただ)氏はニュース番組で、安保法廃案について声をあげるべきだと語っている。放送法違反の発言だ」という文章が記され、賛同を求めるものだった。報道の自由を制限する意見に私は賛同できない。
 1月16日付けの新聞報道によると、岸井氏は「ニュース23」、のキャスターから降板、「スペシャルコメンテーターとして4月以降、各種の報道番組に出てもらう」とTBSが発表した。新聞により、「降板」と報じた社と、「残留」と報じた社がある。
 いずれにせよ、政府に対し批判的だった3人のキャスターが3月末で一斉に姿を消すのは異常事態だ。
権力監視はマスメディアの重要な機能だ。真っ当にジャーナリストの任務を果たそうとする記者やアンカーを擁護することが、重要になっているのではないか。



posted by media watcher at 17:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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