2015年06月19日

国際放送NHKワールド」をめぐって、政府、自民盛んに動く、できれば国策放送にしたい・・・?

 この記事は「ジャーナリスト」(日本ジャーナリスト会議発行)のJCJ時評 2015年6月25日付けに掲載された 隅井孝雄

 国際放送「NHKワールド」の国策放送化の動き急ピッチ

 NHKが海外への国際放送を始めて今年6月1日で80年経った。その国際放送を国策宣伝に利用したいと、政府自民党がめまぐるしい動きを見せている。
 日本の海外放送は1935年(昭和10年)6月1日、ハワイ向けに日本語と英語で短波放送を始めたのが最初だ。その後ヨーロッパ、南米、東南アジアに放送区域を広げ、そして太平洋戦争が始まると名称を「ラジオトウキョウ」と改めた。最大24言語、日本の植民地、占領地向けの放送や、太平洋戦線の米軍兵士向け謀略放送もしきりに行われた。
 戦後、「ラジオ日本」として再出発。さらに1995年「NHKワールド」と言う名で英語ニュース主体のテレビ国際放送が始まった。140の国、地域で放送されているが、CNNやBBCと比べきわめてマイナーで視聴者は少ない。(ワシントンDCでの認知度はBBC80.6% ,NHK10.8%)。

 「NHKワールド」が一躍世界の耳目を集める事件があった。今年1月17日、中東訪問した安倍首相がカイロで行った「ISIL(イスラム国)と戦う国を支援するため2億ドルを援助する」とのスピーチを「NHKワールド」が放送したことだ。日本国内では扱われていなかったこの報道にISILが飛びつき、日本人人質に2億ドルの身代金を支払うよう要求し、世界中でニュースとなった。

 自民党政府は「NHKワールド」を有効活用したいと昨年来「有識者による検討委員会」が論議している。国際放送への交付金は27年度226億円。それを次年度330 億円に引きあげることが提案されている。見返りに「国の重要な政策」を指定してNHKに放送させる「要請放送」を領土問題、歴史認識などに拡大する意向だ。”英語放送では「従軍慰安婦」、「性奴隷」などという用語を使用しない”との圧力も加えている。有識者委の報告書には「中韓による間違った歴史が反日工作として世界に喧伝されていることに有効な反論ができていない」という記述も見られる。

 一方NHKが公正な報道を行う放送法上の義務を持っていることに飽き足りない自民党は、昨年3月から今年4月にかけて「国際情報検討委員会」を開催、「NHKとは別の新たな国際放送で国策宣伝をすることを検討する」とした。現実には新しい国際放送は巨額の資金がかかる。NHKの国際放送を意に沿うものにするためのプレッシャーだと見られる。
 一連の動きはNHK国際放送を世界への日本プロパガンダ放送に変質させるものだ。だが「NHKワールド」が国策化すれば、世界の人々は、日本からの発信を相手にしない、見ないということになる。そのことに安倍政権は気がついているのだろうか。
posted by media watcher at 16:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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