2014年04月20日

テレビ評、「報道の自由と巨大メディア企業」2014年4月2日深夜NHKBS1、アメリカメディアはなぜイラク戦争を見抜けず愛国の旗を振ったのだろうか、果たして日本は?

テレビ評、「報道の自由と巨大メディア企業」2014年4月2日深夜、NHKBS1世界のドキュメンタリーで放送
隅井孝雄
イギリスのプロダクション「Docfactory」が2012年に制作した。普段取り上げられることのない巨大メディアの構造や政治システムとの関連についての鋭いレポートだ。メディア監視の市民組織のコメントもふんだんに折り込まれている。
独立系メディア「デモクラシー・ナウ」のエイミー・グッドマンは、9.11の際「巨大メディアでは世界の動きを把握出来ない」と知り、真実をアメリカ市民に伝えようと心を砕いた。ウイキリークスの創始者ジュリアン・アサンジは「メディアと諜報機関が重なり合い、イラク戦争を見抜けなかった」として機密文書を全世界に公開した。
番組はアメリカ建国の父たちが報道の自由を保障する基本的権利を市民に与えたにも関わらず、それがどのように営利優先の巨大メディアに変質していったかをたどる。
私がテレビに入った頃は、ウォーターゲート事件、ベトナム報道などアメリカの「報道の自由」が手本だった。ところがニューヨーク勤務を始めた1986年が重要な転換点となった。防衛産業のGEがNBCネットワークの経営権を握ったこの年、レーガン大統領は公正原則の削除、メディア所有規制が撤廃などの政策を次々に実施した。新聞や放送が巨大企業化、と営利企業化が進んだ。ニュースの娯楽化が進行し、スキャンダルや犯罪がニュースの花形になっていく原点もこの時代だった。
行き着く先は世界のメディア王と言われるルーパート・マードックの進出だった。映画、テレビ、新聞などのメディアを無制限に所有し、彼のFoxニュースは2003年イラク戦争で愛国主義に先頭に立った。流れに抗したジャーナリストもいたが、巨大メディアは「イラクが大量破壊兵器を持っている」という偽情報を見抜けず、"ブッシュの戦争”を後押した。
番組を見て思うのは、日本も同じ状況にあるということだ。巨大な発行部数を誇る新聞は、テレビネットワークと一体化し、公然と政権に寄り添う社もある。テレビは視聴率優先に走り、ニュース報道は片隅に追いやられている。NHKはテレビ4波、ラジオ3波、国際放送という世界でも有数な巨大放送局。受信料による公共放送局にもかかわらず、会長、経営委員の人事が政府に握られていることが昨今明白となった。報道の矛先が鈍る懸念がひろがっている。 
戦争する国を目指す首相のもとにある日本は、アメリカの教訓を学んでメディアが歯止めの役割を果たすことができるかが問われる。

この記事は4月15日付け「赤旗しんぶん」テレビラジオ欄に掲載された。
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