2014年04月09日

南極捕鯨禁止命令、国際司法裁判所が。厳しい国際世論が包囲。

国際司法裁判所が日本の南極捕鯨を禁止する判決を出した。日本は調査捕鯨で合法だと言っていたが、判決では事実上の商業捕鯨であり認められないとした。捕獲頭数が1400頭(南極は900頭)であり、捕獲した鯨の肉を食用に販売していることから、「鯨の保護を図る調査だ」と言う言い分は認められなかった。日本政府や主要メディアが「予想外に厳しい判決だ」と言っているが、国際的に日本が孤立していることが明白になったといえる。国内でも鯨肉の流通は1960年代の50分の1,年5000トンを下回っている。食習慣としても消滅寸前の状態だ。日本近海の捕鯨については捕獲量も少なく、禁止の対象にはなっていない。

3月31日国際司法裁判所(ハーグ)が南極海においての日本の調査捕鯨は事実上商業捕鯨であり、国際捕鯨委員会IWCが1982年の禁止規定に違反するという判決を出した。南極に向かっていた日新丸など捕鯨船団3隻は3月5日、下関に帰港、日本政府も今年度の南極捕鯨は中止すると発表した。
日本が南極海での商業捕鯨を中止し、その代わり、クジラの生態を研究するためという理由で調査捕鯨を開始したのは1987年。94年には北大西洋でも調査捕鯨を行うようになった。日本は捕獲頭数枠を当初の300〜400頭としていた当初の捕獲枠を徐々に拡大、現在では1415頭としている。そのうち南極での捕獲は900頭に達している。
日本の調査捕鯨に関しては国際的な批判が強く、2005年からは実力行使で捕鯨を中止させようとする強硬派のシーシェパードが妨害行動を開始、2010年にはオーストラリア政府が調査捕鯨中止を求めて国際司法裁判所に提訴、2012年にはニュージーランドも提訴に加わった。こうした事情から調査捕鯨の捕獲数も2005年の1200頭(うち南極900頭)をピークに、それ以降下がり続け2012年には400頭(うち南極100頭以下)にとどまった。
日本のメディアは朝日新聞が「日本捕鯨まさかの完敗」と見出しを立てたのをはじめ、全面禁止は予想外としているが、国際世論は2005年以降日本に厳しいものがあり、今回の禁止判決は国際世論を反映したものだと見られる。

今回の国際司法研究所の調査捕鯨禁止は、南極海に限定され、北西大西洋の捕鯨中止は求めていないが、調査捕鯨そのものが否定されており、事実上中止に追い込まれる可能性がある。判決では「北大西洋での条約上の義務は明らかであり、日本が判決を考慮するよう期待する」と述べた。また北太平洋など日本の近海での捕鯨には適用されないが、国際的な世論の圧力が強まることが予想される。

調査捕鯨はクジラの生態の研究という理由で、財団法人日本鯨類研究所が実施している。2007年クジラ肉を販売していた大手3社、マルハ、極洋、日本水産が、国際世論の圧力でクジラの捕獲、加工、販売を停止した後、鯨類研究所が独占販売している。2008年64億円、2009年54億円、2010年45億円と年々減少しているとはいえ、大きな金額であるが、最近ではシー・シェパードの妨害などにより妨害対策費、船舶修繕費がかさみ2011年の時点での債務超過が8億7400万円に上っていた。
政府は赤字補填も含めて毎年5億円から10億円を補助しているが、2011年震災復興費から23億円を補填、現在は債務がない。これについては震災とは関連のない流用だとの批判が出ている。

日本は調査捕鯨についてクジラの生態研究と共に、伝統漁業である捕鯨を保存する、クジラの食文化を維持するなどの目的をあげている。鯨類研究所は捕獲したクジラは解体後魚類の流通経路で店頭販売され、また鯨料理専門に下ろされている。また小学校の給食に供給されている。
しかし消費量はピークの1962年23万3000トンから、2011年には5000トンと50分の1に減少している。AP通信の調査によると流通が減少しているため、現在冷凍貯蔵されている鯨はミンククジラに換算して2300頭分、4600トンにのぼるという。
AP通信は国際世論とは別に、日本国内での流通はほとんどないため、いずれ鯨の肉の食習慣は消滅に近いとレポートている。
posted by media watcher at 22:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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