2014年03月25日

世界各地で権力のツイッター妨害、市民は次々に新技術で対抗

隅井孝雄(ジャーナリスト)、 3月24日
世界各地で権力のツイッター妨害、市民は次々に新技術で対抗

トルコ首相、ツイッター全面禁止、
トルコ政府は21日、ツイッターを全面遮断した。レジェップ・タイイップ・エルドアン首相は「盗聴、リークを繰り返しているソーシャル・メディアを根絶する必要がある。彼らは選挙(3月30日一斉地方選)を前にして政府の評価を傷つけている」と発言している。遮断はこの発言を受けて実施された。
しかしソーシャル・メディアの利用者たちは、直ちに抜け穴を見つけ出し、インターネット上で反撃を開始。事態は流動的な要素を見せている。
トルコのツイッター上では、このところ首相や閣僚の汚職や彼らの子息の収賄などの情報があふれていた。特に首相が、息子に巨額な資金を隠匿するように指示したとされる電話音声が投稿されていたほか、汚職のデーター、首相側近の音声などが次々に流れていた。
与党AKP(公正発展党)は「選挙妨害ともいえる攻撃がネット上で展開されている」とツイッター禁止を歓迎した。政府はツイッターだけではなく、FacebookやYouTubeにも禁止措置を広げ意向を見せている。
トルコはでは今年2月、議会がインターネットの書き込みを監視、検閲し、閲覧を禁止できる権限を政府に与えるという法案を可決した。これに反発する若者などのデモが、全土で拡大した。イスタンブールでは、タクシム広場での抗議行動を警官隊が催涙弾、高圧放水で鎮圧するなどの衝突で数十人の逮捕者が出る、という事態となった。

迂回してツイッター回復、民衆の反撃次々
ツイッター禁止令の後、英語圏のツイッターにエルドアン首相が禁止令を出したことを知らせるハッシュタグ(#をつけた英語文字の一覧がたやすく検索、閲覧できる)が、各種出現した。市民の活発な英語発信で、今回の事態は国際的な関心を集めている。また他のネット規制の厳しい国と同様、トルコでもProxy Server(代理サーバー)経由でDNS(IPアドレス検索システム)、VPN(仮想プライベイトネットワーク)などを使ってツイッターへのアクセスを回復していると言う。これらの迂回ネットワークを活用しているのはどうやら一般民衆だけではないようだ。規制を批判して、政府高官もツイッターへのアクセスを行っていることが明らかになっている。
BBCによるとアブドゥラー・ギュル大統領が、迂回ツイッターで「ソーシャル・メディアの閉鎖は認められない」と投稿、またブレント・アリック副首相も「ツイッター禁止命令を無視する」と投稿しているという。
トルコのソーシャル・メディア規制強化は、新たな政治変動のきっかけになるかも知れない。

ベネゼラでもソーシャル・メディア遮断
一方2月初旬から反政府デモが続く南米ベネズエラでは、政府がツイッターなどのソーシャル・メディアを全面遮断して、若者の街頭行動の抑制を図っている。
3月20日、ニコラス・マドゥロ大統領は、カラカスの中心部のボリバル広場に軍隊を動員、反政府デモの排除に乗り出した。しかしツイッターのアクセスが途絶えたことが、返って多くの市民の憤激を買ったとみられる。カラカスはじめ各都市でデモに参加する市民、学生は、ツイッターに変わる新しいシステム、デジタル映像ポケベルとでも言うべきアプリで交信を行っているとみられる。デモの波は今や全国各都市に拡大している。

インターネット新アプリで情報手段確保する市民
エジプト、シリア、トルコ、ブラジル、ベネズエラ・・・・
最近の相次ぐ騒乱の中でソーシャル・メディアは活発だ。ウクライナの旧政権崩壊の際も、市民はより慎重に新しい技術の活用をはかり、市民側の抵抗手段を拡大したとみられる。
アメリカ公共テレビ(PBS)、ニュースアワー(3月13日)が、専門家ウイリアム・ドブソン氏のインタビューで、これらソーシャル・メディア活用の最新の動きを伝えた。
 ソーシャル・メディアは権力の市民監視の武器でもある。ウクライナでは、キエフの広場の行動に参加した全員に、治安当局から退去を呼びかける一斉メールが送られた。「お前が抗議行動に参加していることは見通しだ」というわけだ。しかし民衆が集まってしまった後の脅しはあまり効果がなかったとみられる。
 市民はもはや、Facebook, Twitterだけに頼るわけにはいかないことをよく知っている。そのため、安全で、確実で、時には暗号での交信も可能な新しい技術の活用が図られている。
 例えばトルコやベネズエラでの反政府抗議デモで、盛んに使われているのがZelloというアプリだ。デジタル・ウォーキー・トーキーとでも言おうか、数十人あるいは数百人に限定した交信チャンネルなのだ。ウクライナではキエフの広場で、治安部隊がどの方向に集中しているか、どの方向から攻め込もうとしているか、参加者同士で効果的に情報交換が行われた。
 最近Facebookの傘下に入ったWickrというアプリがある。Text文字を暗号化するのだが、インタビュー、行動の予定、時間など、秘匿が必要な情報交換に使われる。Snapchatというアプリは、受信して読み取った後、自動消去される。電話やメールの盗聴に対抗する手段だ。
 政治権力、それに抗議する市民との、ソーシャル・メディアを巡る角逐は果てしなく続く
posted by media watcher at 12:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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