2013年08月07日

参議院選挙、ネット解禁の行方はどうだったのか

この記事は13年8月5日放送ののラジオ番組「おはようさんどす」(FM79.7京都三条ラジオカフェ)の放送メモを加筆した。 

期待はずれのIT業界、ネット上は自民、共産がネット選挙2強
インターネット選挙が解禁される、大いなるビジネスチャンスだと、IT業界は色めき立った。確かに候補者や政党がアドバイスを求める依頼が殺到したが、あくまでも一時的なものにとどまり、市民が活発にインターネットを活用するという状況は生まれなかった。参議院選挙のアプリのうち京都のIT企業「Alpha」 が作った「選挙!参院選、2013」は候補者のプロフィール、ホームページ、SNSなどのアイコンが表示され検索の手助けになったほか、速報、ニュース配信もこれまでよりは便利さがました。
投票率アップを期待した選挙管理委員会も裏切られた結果となったのではないか。
政党で目立ったネット利用は自民党だった。元々安倍首相がFacebookの発信で優位を維持している上(フォロワー35万人、政治家で一位)、選挙本部に広告会社、IT企業などの専門家50人を配置、有権者の書き込みなどの動向を分析しながら、選挙運動に反映させ、成果を上げた。
政党で投票と連動させたもう一つの政党は共産党だった。ホームページを一新し、「カクサン部」が有権者との接点を広げ、リツイートなどで拡散を続けた。また「追っかけたい」が志位委員長の演説を生中継、ニコニコ動画と連携した「とことん生放送」でネット上の映像インタビューを活用した。各候補もツイッターなどへの積極的投稿が目立った。しかしそれ以外の政党にはネット選挙を活用する十分な体制が組めなかったと見られる。

山本太郎、三宅洋平が果敢なネット活用果たす
個人の候補としてインターネットを有効に活用したのは俳優の山本太郎、ミュージシャンの三宅洋平だった。
山本太郎は訴えの中心を「脱原発」に絞ったことが有権者の心をとらえたといえる。 参院選で解禁されたネット選挙も追い風になった。フェイスブックやツイッターなどの交流サイトやホームページを通じてボランティアを募集すると、全国から20〜80代の約1200人が集まった。ツイッターのフォロワーは20万人。移動中の様子はすべてネットで中継し、集会の動画が10万回以上再生されたものもあった。「僕自身を余すことなく伝えた。必死さを広く多くの人に理解してもらえた」と山本氏は言う(7月22日朝日新聞電子版)。
比例区で「緑の党」から立候補した三宅洋平が17万7000票集めた原動力はインターネットだった。ネットで訴えてコンサート形式の「選挙フェス」を繰り返し開催、数万人を集める企画が何回も展開された。選挙前1万5000人だったツイッターのフォロワーは選挙中増え続け5万人を超えた。彼を支持するネットフォロワーが支持者を拡大「訴えかけた25%が投票してくれた」とは本人の弁だ(8月3日朝日新聞インタビュー)。
しかしネットには批判、中傷がふくれあがる「炎上」がつきものだ。尖閣、靖国、従軍慰安婦など、ふれると危険と思われるテーマには多くの候補者がためらいを見せた。

つぶやきの民意、一に「原発」、二に「憲法」
選挙中つぶやきの中で突出したのは原発だった。京都新聞(7/23)によると7月1日から21日までツイッターで交わされた選挙争点のつぶやきの内、「原発」は136万5313件でダントツだった.2位は憲法48万7776件、3位の外交、安全保障も39万6844件に達した。朝日新聞(7月20日)の調査でも同じ傾向が見られた。公示後の6日間の426万5000件の内、51万が原発、憲法も首相がテレビインタビューで9条改正にふれた後急激に増え20万件に達した。
「原発」のつぶやきの中には「脱原発」、「再稼働反対」、「原発ゼロ」などの言葉が並んでいることから見て、原発の危険性についての市民の強い懸念がうかがわれる。しかしネット上の民意はほとんど反映されなかった。原発批判票の一部が、脱原発を強力に主張した共産党候補と山本太郎氏に流れたにとどまったようだ。
民意と安倍政権の「ねじれ」は残ったまま、政治が動いている。

有権者のネット選挙参加未だ
ネット選挙解禁は一部政党に新しい選挙手段を提供したが、アメリカや韓国で見られたような、有権者の側の選挙参加には結びつかなかった。
日本のネット利用者は9600万人。しかし解禁は1300万人のフェイスブック、3500万人のツイッターに限定され、最も多くの利用者がいるメール送信を活用することが禁止された。つまりネット解禁は政党、候補者からの一方通行にとどまった。
今後公選法を見直し、有権者そのものが選挙に関与を広げられるよう、文書配布、話合い、メール送信などが全面的に解禁される必要があるだろう。
posted by media watcher at 23:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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