2013年06月03日

慰安婦必要、橋下発言に欧米メディアが反発


「銃弾の中で命をかけている集団には慰安婦は必要だ」、「なぜ、日本の従軍慰安婦だけが世界に取り上げられるのか」、「当時慰安婦制度は世界各国の軍隊が持っていた」、「沖縄の海兵隊司令官に、もっと風俗業を活用してほしいと言った」。橋下徹大阪市長が5月13日、記者団とのやりとりの中での一連の発言だ。
 ★慰安婦発言批判、メディア足並み揃えて
 新聞各紙やテレビニュースはこれを大きく報道、それに対し橋下市長はツイッター上で自らの発言を擁護する「つぶやき」を13日14日の二日だけでも100本以上連発した。
 一連の発言については、朝日、毎日、共同通信、京都新聞他地方紙などが一斉に大きく報道した。維新に好意的と見られていた読売も、「慰安婦は必要」発言を報道、また「女性の人格を踏みにじる」という識者のコメントも掲載した。主要メディアが足並みを揃えた報道となり、世論調査でも、発言に批判的な意見は70%を超えた。これは維新の会の存立にも関わり、橋下市長自体の政治生命も危うくするものと言う見方や、参院選への影響が大きいと指摘する報道が多く見られる。だが「政局」との関連で報道する日本のメディアの姿勢には問題がある。

 ★"右翼”政治家が、歴史歪曲、ニューヨークタイムス
 橋下慰安婦発言はその日のうちに海外の主要メディアでも大きく取り上げられた。
 5月15日の「ニューヨークタイムス」の論評記事は、日本のメディアにはない内容を含んでいる。「日本での二番目の大都市の市長であるミスター橋下が戦時下のレイプや性奴隷を認知した」と言うのが冒頭のリード。慰安婦(Comfort Girl) という言葉は日本語の曖昧表現であり、性の奴隷と表現すべきだと解説を加えている
当時「中国、韓国、フィリピン、インドネシアなどアジア全域からおよそ20万人の女性が日本軍に徴用された」ことが記述されている。ここで述べられている歴史的事実は世界的の常識だ。
 日本でも「河野談話」( ’93)、「村山談話」( ’95)で確認されている。にも関わらず、それを否定する橋下発言に海外メディアは驚きを表明しているのだ。ニューヨークタイムスは、橋下市長を「挑発的、右翼的言動で知られる」としている。そして現在の安倍首相をはじめとする、「極右政治家(Ultranationalists)たちは過去の歴史を歪曲し、かつてアジアの人々に謝罪し、慰安婦問題に謝罪した政府声明を取り消そうとしている」、と論評した。しかし記事の最後でその安倍首相に変化の兆しもあるとも付け加えた。

 ★安倍政権のアジア政策、会見政策、転換を迫るべき
 今回の発言はひとり橋下市長の問題ではなく、安倍首相をはじめとする日本の保守政治勢力全体の問題だといえる。従軍慰安婦を強制した証拠がない、侵略の定義は定まっていない、(アジアの人々に謝罪した)村山談話を見直したい、などとして、第二次大戦中の日本の侵略行為を書き換えよう、そして憲法を変えようとしている安倍首相と自民党の政策こそが大きな争点だ。ひとり橋下徹大阪市長を断罪すればいいということではなく、政府のアジアに対する姿勢の転換を迫っていく必要のあること世界の報道は示しているのだと思う。

ニューヨークタイムズ、大阪橋下市長、慰安婦は必要だった 5月15日電子版
http://mobile.nytimes.com/blogs/takingnote/2013/05/15/did-japan-need-comfort-women/
posted by media watcher at 14:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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