2013年03月06日

3月3日耳の日に終日字幕放送。日本テレビ、2017年全面実施めざす。

3月3日はひな祭り。いえいえ、耳の日でもある。というわけで、日本テレビが、終日全番組で、字幕放送を、実施した。テレビのバリアフリーとしては大きな前進といえるだろう。
 欧米などアルファベット国では、以前からテレビに字幕がつくのは当たり前、しかし日本語の場合、漢字転換の複雑さ、同じ発音の語彙が多いという特殊時事情もあって、普及が遅れている。 しかし聴力障がいの人々の切望もだし難く、字幕への取り組みがじわじわ広がっている。
 そんな中で日本テレビは、2008年からテレビを障がい者バリアフリーにしようと字幕放送に取り組み始めた。2017年にすべての番組に字幕をつけることを目標に、今年3月3日に終日字幕放送を実施することになったものだ。日テレはNHKよりも積極的だ。
  3月3日は早朝5時40分の「日テレアップDate」から深夜1時20分に終わる「NNNドキュメント」まで。収録番組すべてはもちろんだが、生放送の 「Going Sports & News」なども含め全番組に字幕を付けた。ただし通販と手話放送に限っては除外された。
 CM では花王が積極的で、昨年10月、TBS, フジ、テレ東の提供番組の中で、CMにすべて字幕をいれたことがある。いずれの場合にも聴力障がいの人に大好評だ。

 日テレ、視覚障がい者向け解説放送も充実、健常者も楽しめる
  ちなみに日本テレビでは視覚に障がいのある人々方をサポートする解説放送も、「遠くへ行きたい」と「笑点」のレギュラーで実施している。3月1日放送の金 曜ロードSHOW!「特別ドラマ企画 チープ・フライト」でも聴力障がい者向け解説報道が組み込まれた。副音声のボタンを押せば聞ける。洗練された解説なので、健常者でも、別なことをしてい て、あるいは台所でお料理するなど画面に集中していなくても楽しめる。また「笑点」では落語家たちのやりとりが解説放送でも大変楽しめるように制作されて いる。日本テレビでは普通のテレビ視聴者にも体験してもらいたいと呼びかけている。

 字幕放送は全体ではまだ30-40%台、全面字幕の欧米に遅れとる。
 総務省によるとテレビ局の字幕実施は2012年度、NHK45.5%, キー5局46.1%,大阪4局41.7%,名古屋4局41.3%,ローカル局101社32.9%。まだまだ100%には程遠い。
  字幕放送の場合、事前数録されたものは編集の際字幕を付加するため、ドラマなど多くの番組に字幕がつけられているが、トーク番組、バラエティー、生放送 は、音声を耳で聞きながらキーボードで文字をいれる方法と、音声認識での自動転換の方式が併存している。キーボードでは通常のコンピュータータイプもある が、速記キーボードを使う場合がある。いずれにしても欧米のアルファベットとことなり漢字転換の問題が大きい。
 TBS, テレ朝などはJISカナ配列などの一般的なキーボードを採用しているため、入力者の養成が短期間で済むと言っている。スピードワープロ、ステンチュラなど 速記ワープロは早さの点でまさるが、オペレーターの養成には早くても3ー4年かかるようだ。入力と校正の2人組のオペレーターが組む場合が多い。

 音声認識の進化で可能性高まる
  音声認識による文字放送は2000年に開発されてから放送各局で少しずつ使われるようになった。ここでも漢字転換、地名転換、人名転換という隘路は残るた め、正確な転換に思わぬ時間がかかり、その間字幕画面が停止する現象につながる。音声認識では、アナウンサーなど発音、発声の専門家が声をなぞることで正 確な音声認識に近づけるという努力もなされている。紅白歌合戦やスポーツ中継の生放送でも、こうした手法が併用されたと聞いた。
 生放送の場合音 声認識、文字入力ともに、データの重畳による数秒の遅れは避けられない。さらに多人数が同時にしゃべると、聞き取りでも入力でもお手あげになる。また民放 で番組の中にCMや提供クレジットが挿入される場合や、CMあけで番組に移ったとき、文字放送が中断されることがある。
 事前収録でも放送までの時間が短ければ、生対応で文字をいれるので、数秒の時間差が出る。そのため字幕視聴者からもどかしいと苦情が出ることが多い。発言者の人名などは可能な限り表示されているようだ。

 アメリカでは1980年代から、現在スポーツ、ニュースもすべて字幕付
 アメリカでは早くからすべてのテレビ放送とホームビデオにテレビキャプションという字幕画面がついていた。
  1970年代から1980年代にかけて、障がい者組織の運動が盛んだったことは言うまでもないが、英語が母国語ではない多くのアメリカ市民に対する情報の 全面アクセスを保障する必要があるとの認識が高まったことも、字幕放送を促進した。アメリカ連邦通信委員会は80年代初期から、研究、開発、普及の積極政 策をとった。そのため、ハリウッド映画のホームビデオや、ケーブルが流す映画番組には、早くから文字多重方式によるキャプションが付けられるようになっ た。
 リアルタイム入力は1982年に開発され、1988年にボストンの公共局WGBHが60分のニュースで使ったのが始めてだった。その後1996年アトランタオリンピックを全面生字幕付きで放送された。
 テレビが全面デジタル化するまでは、走査線ライン21を使ったクローズドキャプション方式で完全普及していたたが、2009年のデジタル化に当たってはMPEG2が採用され、字幕専用データ領域Picture User Data Extensionに移行した。
 放送での文字入力はステノタイプライターが使われるが、これは特定のキーの組み合わせで頻度の高い単語をワンストロークで入力できる。入力者は1分間に250文字以上を打ち込む能力が必要とされる。当初法廷速記者からの転職が多かったようだ。

posted by media watcher at 13:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
Media watch.gif

隅井孝雄のメディア・ウォッチブログ