2007年01月13日

ベッカム、アメリカに行く、セレブゴシップ誌がスクープ、アメリカサッカーはメジャーになれるか

隅井孝雄のメディアウオッチ No. 0701(通算138)
ベッカム、アメリカに行く、セレブゴシップ誌がスクープ、アメリカサッカーはメジャーになれるか
 01/13/07

 サッカーのスーパー・ヒーロー、デイビッド・ベッカムDavid Beckhamがアメリカロサンゼルスをフランチャイズにするプロサッカーチーム、ギャラクシーGalaxyに移籍することが明らかになった。最初に報じたのは芸能人ゴシップ誌「ピープル」Peopleであったというところが面白い。
 妻のビクトリアVictoriaは元「スパイスガールズ」Spice Girlsという世界的なセレブである。この彼女がビバリーヒルズBeverly Hillsにやってきてショッピングしているところをゴシップライターに見つけられ、不動産も物色しているのに不審を抱いたピープルの記者が、「ベッカムのアメリカ移籍」というビッグな特ダネをものにした。
 アメリカではサッカーはメジャースポーツとはいえない。NFL(アメリカンフットボール)の年間の放映料が80億ドルなのに、MLSNFL1000分の1800万ドルに過ぎない(2006)。にもかかわらずベッカムが受け取る年俸は5,000万ドル(5年契約で2,500万ドル)。これはロドリゲスの2倍、松坂大輔の6倍だ。
 アメリカのプロサッカーの歴史は新しい。1995年に男子のサッカーリーグMLSが誕生、女子サッカーは2001年からレギュラーシーズンを始めたばかりである。
しかしアメリカサッカーはヨーロッパや日本で考えられているよりずっと盛んである。小中学生のコミュニティーサッカークラブが発達しているのだ。郊外に住む母親たちは例外なく下校後のわが子をサッカーグラウンドに送り迎えするのが日常になっている。いわゆるサッカーママだ。選挙になるとサッカーママたちの心を捉えた候補が勝つというジンクスもある。その上、最近のヒスパニック系移民の急激な増大である。シーズンが来るとスペイン語チャンネルのテレビからは絶え間なくスポーツアナの絶叫が響き渡る。
 1994年のアメリカワールドカップではナショナルチームが大健闘してアメリカ中を沸かせた。1999年には女子のワールドカップがアメリカで開催され、俊足アタッカー、ミア・ハムの大活躍で優勝、アメリカ国内のサッカー熱は大いに高まった。しかし残念ながらその後のワールドカップではアメリカチームが決勝リーグに進めないまま足踏みしているため、せっかくの人気がしぼんでしまった。
 アメリカではスペイン語チャンネルをのぞいてはテレビ放送が少ない、特にネットワークがほとんど放送しない、ということが隘路になっている。アメフト、野球、バスケットなどは試合の途中でがんがんCMを入れることが出来る。NFLはテレビ局が試合の流れをコントロール、審判はCMの終わったのを確認してから笛を吹くほど。キューを出す担当がグラウンドにいるのだ。こうしたシステムがアメリカプロスポーツの巨額な広告収入を支えている。
それに比べサッカーは試合中にCM入れるところがないため、テレビ放送が成り立たない。テレビ放送権という資金的裏づけのないアメリカで、プロチームの収入源は限られているため、ルールを改正してCMを入れやすくしたいという声がくすぶり続けていた。
アメリカMLSは選手の年俸を1チームあたり上限210万ドルとするルールを決めていたが、昨年暮れ、特定指名選手についてはこのルールをはずすという新しい迂回ルール(3年間の期限付き)を決めたばかりだった。海外の有力選手を獲得したいと言う強い意欲の現れであり、新ルールは「ベッカム・ルール」と名づけられていたが、その適用第一号がまさにベッカムその人になったわけである。
ギャラクシーの親会社であるAGFのティム・ライウェケ社長は「アメリカには2000万人のサッカー・キッズがいる。またテレビとは今年2400万ドルの放送権契約を結んだから、ABCテレビ、ESPNFox SoccerUnivision(スペイン語チャンネル)でじゃんじゃん放送する。ベッカム獲得のニュースで、シーズン通しチケットの売り上げは今日中にも5000枚に達するだろう。これだけでも昨年に比べて400万ドルの増収である」と語り、ベッカム効果が大いに期待できるとの楽観的見通しを示した。
 今回ベッカムを巨額な年俸でスカウトしたのは、サッカー人気を一挙に高めてテレビ中継放送の露出を拡大したいというサッカーリーグの思惑が働いていると見ることができる。
 ベッカムとビクトリアがアメリカのサッカー人気に火をつけることが出来れば、世界のサッカーがますます面白くなると思うのだが・・・。
posted by media watcher at 17:56| Comment(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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