2012年11月18日

英BBC、2400万円で保守党大物政治家と和解、少年への性的虐待誤報を謝罪、会長辞任、信頼感大きく揺らぐ

 英BBC、2400万円で保守党大物政治家と和解、
  少年への性的虐待誤報を謝罪、会長辞任、信頼感大きく揺らぐ

 BBCは11月16日、元保守党副議長のアリスター・マクアルバイン氏との間の和解協定にサインした。11月2日の報道番組「ニュースナイト」で、1980年代にウエールズでの児童保護施設での性的虐待事件が明るみに出た、と放送した。その際、被害者の元少年の証言をから保守党の大物政治家が関与していると報道。名指しはしなかったがネットサイトなどではサッチャー政権で財務相をつとめた、マクアルバイン氏だと特定する記事が流れ、BBCは大物政治家の関与は誤りだったと訂正した。
 マクアルバイン氏は名誉毀損だとしてBBCに抗議していた。和解金は18万5000ポンド(およそ2400万円)。
 この誤報事件に先立って、BBCには名物司会者が関わった別の少年性虐待事件も浮上していた。そのため11月10日BBCの会長(Director General)ジョージ・エントウイスル氏が責任をとって辞職した。前任者のマーク・トンプソン氏がニューヨークタイムズ紙のCEOに転出した後わずか54日の在任だった。BBCラジオ出身のティム・デイヴィー氏が会長代行となったがテレビ番組の制作などの経験が一切ないため、その采配を危ぶむ声が早くも浮上している。
 二つの児童性虐待に関わる異常なスキャンダルで存立の危機にBBCがさらされたというのは全く異例の事態だ。
 もう一つの事件とは昨年死去した子ども番組などの人気司会者ジミー・サビル氏が、楽屋などで出演した少女への性的暴行を長年にわたり行っていたというもの。しかも最近表沙汰になった後計画された「ニュースナイト」の検証番組が、上層部の指示でお蔵入りしたことも明らかになった。辞任したエントウイスル前会長は、「ニュースナイト」なども含むテレビ部門の責任者だったため、不祥事そのものへの関与も疑われている。
 BBCは2003年、当時の会長グレッグ・ダイク氏が辞任し、存続の危機に立ったことがある。イラク戦争開戦時、「大量破壊兵器をイラクが保持していることについての政府の発表が誇張されたものだ」と報道した。政府は全面否定、この報道の情報源とされたデイビッド・ケリー氏(国防省顧問)が自殺、さらに報道の真偽の解明にあたった調査委員会が報道内容に問題があったとしたため、会長が責任をとった。しかしこのときは48%が報告書は信頼できないとし、56%がBBCへの非難には根拠がないと答えるなど、国民はBBCのイラク戦争の報道姿勢を高く評価していた。
 しかし今回の二つの事件ではずさんな取材、倫理感、指導力の欠如、隠蔽体質などBBCの不手際が国民の信頼感を大きく損ねていると思われる。BBCの監督機関でもあるオフコム(情報通信庁)は「ジャーナリズムの基準に照らして番組を評価、点検する機能がBBCに欠如している」としている。
 国際的には最も信頼されてきた放送局であり、イギリスの顔でもあるBBCの今回の不祥事は一般市民のメディアへの不信感をさらに増幅することにつながるであろう。
posted by media watcher at 23:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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