2012年11月02日

今でも「原発は未来を照らす」? 巨額電力広報予算880億円、関電はテレビ11局から提供番組6本

 大飯で原発安全宣伝
 今年8月中旬、私は福井県大飯町を訪ねた。主な目的はこの町にある水上勉の若州一滴文庫で竹人形の「放れ瞽女おりん」を鑑賞するためだったが、その前に大飯原子力発電所の近くに関西電力が設置しているバーチャル映像シアター「エルガイアおおい」に立ち寄った。無料で入館できるというので大型映像での「大飯原発の内部見学」を見に入ったのだ。巨大な原発内部の炉心、原子炉本体、タービン建屋などを全く実物と同じように見学できる。子どもたちが沢山来ていた。
 この施設は「エネルギーと地球との未来を考える」と謳っているが、実際には「原子力は重要なエネルギーであり、地球の未来を明るく照らししている」という説明だ。「原子力の内部には二重三重に安全策がとられている、放射能がもれだすことはない」という解説を黙って聞く羽目になった。
 福島原発で大事故が起きて、ほとんどの原発が稼働を停止しているときにも、国の交付金による施設で原子力の安全性の宣伝が続いている。

 880億円の広報宣伝費が
 原子力の安全広報活動、世論対策は福島原発事故の後も休むことがない。東京電力の広告宣伝費は事故の前年2010年では270億円。日本の大企業の上から10番目(パナソニック、花王、トヨタ、ドコモ、…)だった。しかしこれに全国各地の電力会社と電気事業連合会を加えた電力全体の広告宣伝費は一挙に880億円。第一位パナソニック773億円を追い越してトップとなる。巨額な資金を駆使して新聞テレビの広告を打ち、番組を買い切り、その威力でメディア報道を押さえ込んできた歴史が続いてきた。2012年の電力会社の広報予算も同額か、むしろ増額していると見られる。
 関西電力の場合、季刊広報誌「躍」の2012年6月号は「原子力発電を考える」という特集だった。大飯原発発をはじめとする若狭湾一帯での広報イベントも毎日のように数多く開かれている。またテレビでは直接的な原発安全広報はさすがにないが、「住人十色」(毎日放送)、「雨上がり色楽部」(関西テレビ)、「エクボ通信」(福井放送)など関西圏と福井11局7番組の提供は続き、節電のお願い、安全対策の進捗状況などの形で膨大な関電のテレビCMが流されている。

 批判的報道を「つぶす」?
 瓦礫処理、除染の広報として政府の予算がつぎ込まれていることも明らかになった。朝日新聞によると博報堂9億6千万円、電通30億円の契約が結ばれた。「報道論調の把握を行い、誤認報道、ネガティブ報道、好意的報道などに分類、ディレクターや主筆に接触して誤認をつぶす作業を実施した」と報告書に記載されている。新聞記事やテレビ番組についてのレポートは環境政務官らに毎朝メールで送られているという。
今でも世論とメディアに対する監視の目を光らせているのだ。
posted by media watcher at 16:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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