2012年08月27日

隅井孝雄のテレビ評 戦争検証、有料BSでも

ノンフィクションW 「幻のニュースフィルムが伝える太平洋戦争」(WOWOW)

敗戦67年の夏、オリンピックの興奮と重なりながらも、テレビ各局で力こもった戦争の記憶を再現、検証、する番組が数多く放送され、私はそのうちの14本を視聴した。その中で太平洋戦末期インドネシアでの「プロパガンダ映画」制作を描いた「幻のニュースフィルムが伝える太平洋戦争」(WOWOW)が私の心を打った。
ジャカルタ市内にある「インドネシア国立映画制作所」。ここは第二次大戦中の「日本映画社」のスタジオだった。この作品はその地で映画を作った制作者の一人伊勢長之助の足跡をたどるものだ。彼の息子の伊勢真一(映画監督)が取材した。
本土では映画制作がほとんど中断された時期だったが、ジャカルタに送り込まれた日本の映画人は、日本軍部や情報局の意図に沿い、インドネシアの戦争への「精神動員」を図る映画の制作、上映を続けた。フィルムは戦後オランダが接収して持ち帰り、今は「オランダ視聴覚アーカイブ」に保管されていることがわかった。
一連のニュースフィルムには東京に向かって皇居遙拝をする「トナリグミ」の人々が出てくるかと思うと、小学生が日本語弁論大会で「苦しくても我慢してアメリカ、イギリス、オランダの敵に負けないように闘う」と演説している様子も映し出された。400万人が日本軍の後方支援、補給に送られた勤労動員、そして少年義勇軍の募集。戦場に向かう少年たちが歩調を揃えての行進を描いた宣伝ニュースもある。ここでも帰らぬ多くの人がいた。
番組最後の街頭インタビューで年配の婦人が「戦争のことは知っているけど、語りたくない」と答えた。今では比較的親日的と見られるインドネシアでもその心の内に負の記憶が根強く残っているといえよう。
この番組はBSの有料放送WOWOWで放送された。BSは従来の民放、NHKに加え、BS11、TwellVなどの無料放送が登場、昨年の全面地デジ化の後、WOWOW、などの有料放送を加えると21チャンネルに達する。番組も見応えのあるものが時折みられるようになり、テレビの変化が実感される。(隅井孝雄、ジャーナリスト)

この記事は8月27日のしんぶん赤旗テレビ、ラジオ欄のコラム「波動」に掲載された。
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