2012年07月06日

消費税増税をテレビはどう報じたか

消費税増税をテレビはどう報じたか
消費税増税法案が衆議院を通過した26日にかけて、テレビは多くの時間を割いてこの問題を報じた。その内容は民主党から何票の反対票が出るのか、小沢新党はあるかないか、という点に終始。離党54人いう基準が設定され、それを超える、超えないという空疎な分析が繰り返された。国会と同時進行で町行く人に聞いた結果321対151、大差の否決だった(TBS「ひるおび」26日)。その庶民感覚は反映していない。
一部のキャスターたちは「民主党の動向きよりも、暮らしはどうなるのかが大事」(「報道特集」23日)として、庶民の負担増に焦点を当てたレポートが多く見られた。「報道ステーション」(朝日26日)は家庭の税負担増を詳細に調査。年収500万円の4人家族で消費税16.7万円増、年金などの負担増込みで32.9万円増と計算した。こうした調査報道を今後も期待したい。
番組に出演する経済アナリストはおおむね消費税増税は必要という持論の持ち主だった。「新報道2001」(フジテレビ24日)では、榊原英資氏(青山学院大学教授)が今回の増税反対の論陣を張ったが、長中期的に消費税を上げることには異論はないと述べた。
一連の報道で問題となるのは、消費税反対の共産党、社民党、みんなの党などの政策が報道の対象に全くなっていなかったことだ。特に共産党は累進課税の強化、証券優遇税制の見直しなど興味深い政策提案を行っている。
6月19日メキシコで開かれたG20では緊縮財政一本槍ではなく、雇用拡大による「バランスのとれた成長をはかる」と軌道修正した。ウォール街占拠に端を発した99%庶民の動きがヨーロッパに広がり、緊縮推進のサルコジ大統領が敗北、ギリシャでは賃下げ、増税に反対する市民の声が躍進した。アメリカではオバマ大統領が棚上げにしていた富裕税増税を再び政策課題に掲げた。
経済再建について新しい動きが世界の流れになり始めている。だが日本経済の今後について大きな視野で解説しようという報道がなかったのはジャーナリズムの怠慢だといえよう。(隅井孝雄、ジャーナリスト) 

この記事は2012年7月2日、しんぶん「赤旗」ラジオテレビ面のコラム「波動」に掲載されたものです。

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