2011年07月26日

テレビは原発論議の火種となれるか?「NHK徹底討論どうする原発」、「日テレ安全神話はなぜ崩れたか」、「MBS映像11その日のあと、フクシマ、チェルノブイリの今」などを見て思う

テレビは原発論議の火種となれるか?

原発事故から4ヶ月、現状レポートからさらに踏み込んで原発の危険なサイクルをどう食い止め、断ち切っていくかを考える番組が少しずつ増えてきた。「遅すぎる」という声も聞こえるが、私はテレビがこれからの市民全体の原発論議の火種なってくれればと最近の番組の流れを評価したい。
NHKの「徹底討論、どうする原発」(7/9)の第二部では脱原発に踏み切ったドイツを詳しくレポート、また原発推進に立ちはだかるアメリカの市民の動きも紹介した。「双方向解説、どうする原発、エネルギー政策」(7/23)はNHKの知能とも思える解説委員がそろって出演、正面からの論議を展開したのは好感が持てる。また日本テレビのNNNドキュメント「原発爆発、安全神話はなぜ崩れたか」(6/19)では竜巻で機能停止になったアメリの原発を取材、日本では安全規制が全く機能していないことが明らかした。テレビ朝日の「ドキュメンタリ宣言」(6/17,24)では、二回にわたり六ヶ所村核燃料再処理施設や高速増殖炉もんじゅ事故を取材、原発政策全体が破産している実態を体当たり取材で伝えた。TBSはドキュメンタリでは遅れをとっているものの、「報道特集」(毎土曜)や「サンデーモーニング」(毎日曜)の考・震災などの特集の中で原発立地に肉薄してレポートし、あるいは核平和利用推進の時代にさかのぼって問題を考えようとしている。

数々の番組の中で私が注目したのは毎日放送「映像’11」の「その日のあと、フクシマ、チェルノブイリの今」(6/26)だった。毎日放送では2008年にも「なぜ警告を続けるか」で、当時は異端と見られていた科学者たちの活動を紹介し、原発の危険性を警告した。それが現実のものとなった今、改めて原発事故のもたらしたものを取材したこの番組の中で、25年後のチェルノブイリも克明な取材も行われた。無人の「緑の荒野」と化した汚染地区で、日本の支援団体の援助によりセシュウムなどを吸収する菜の花の栽培が行われている。菜種は油を絞ってバイオディーゼル燃料として使う。日本の水田でも汚染された泥を取り除き、菜種を植えれば同じことができる。必要な支援はするという、ウクライナの農業研究者の発言が重く響いた。

ここに上げた番組はNHKを除く多くが深夜、あるいは地域限定の放送だった。人々の目に触れる範囲は限られている。一般のニュースやワイド番組では、記者会見での発表ものを元にしたレポートが大きな比重を占める。政府、省庁、電力会社の「世論誘導」の余地は未だに大きい。私は、特に民放各局に原発関連番組の編成を見直し、原発問題を可能な限り中心的な課題として組み入れることを求めたい。
視聴者の関心は、原発とどう向き合うかに焦点が絞られていることは明らかだ、と私は思う。原発報道では過去にもいくつかの優れた番組も制作されたが、そのために配置転換の憂き目に遭った制作者もいた。テレビはあふれるほど電力会社のCMを流し、安全神話の担い手の一つになったことは歴史的事実である。今回の原発報道でテレビが試される時が来たといえるだろう。(隅井孝雄)

上記の記事は7/25/2011の「しんぶん赤旗」ラジオテレビ版のコラム「波動」に加筆したものである。
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