見直し始まった「コピーワンス」-------「不便なデジタル放送」は果たして解消されるのか
7/30/06
私にとってシャクの種といえばデジタル放送のコピーワンスだ。
視聴者にとって不便極まりない「一回限りの録画」というコピーガードに対して、政府がようやく重い腰を上げることになった。
報道によると総務省情報通信審議会が明後日8月1日に出す答申案で制限緩和の具体策を検討し、年内にも見直しの内容を決めることになったという。総務省はそのために放送局、電機メーカー、著作権権利者、消費者で構成する研究会を設置し具体的内容、時期、条件などを詰めるという。総務省だけではなく、規制改革・民間開放推進会議という首相直轄の審議会でも明日7月31日に発表する中間答申で現行のコピーワンスの見直しを提言するという。
コピーワンスというのは、デジタル放送で録画したものをハードディスクからDVDに一回限りコピーできるが、元のハードディスク上の記録は消滅するというもの。DVDからDVD、VTRへのコピーも編集も出来ない仕組み。コンテンツの複製を事実上禁止して海賊版に歯止めを加えることが目的だとして採用されたシステムだ。
政府の計画ではすべてのテレビ放送は2011年にデジタル放送に移行する。それを円滑に進めるためにはコピーワンスをはずすなど、視聴者の利便性を向上させたいという狙いがあると見られている。
放送局や著作権権利者の抵抗も予想されるが、デジタル化へのスムースな移行という大義名分がある上、使い便利の良いデジタル機器を望む利用者の声などから考えるとコピーワンスは遅かれ早かれ消え行く運命にあると思われる。
大学の授業にビデオが使えない!!!
たとえば私の場合、大学でマスコミ文化、報道ジャーナリズムを教えているため、授業では映像素材をたくさん使っている。一昨年私が契約しているケーブル局ミヤビジョンがデジタル放送を始めたのをきっかけに、我が家にデジタル放送を導入した。ところが困ったことに授業で学生に見せるために、ニュースや番組の一部を編集しようと思っても、編集は「二度目のコピー」ということになるため一切出来なくなってしまった。
新聞、雑誌、書籍などのコピーを授業で使うのは、「教育目的」とみなされ自由にコピーしてクラスで配布できる。ところが学生の理解を深める最良の手段であるテレビだけがコピーできなくなってしまったのだ。テレビの前で「これは教育目的だ」と怒鳴ったところで録画機は反応するわけもない。
結局私は3ヶ月もしないうちにケーブル会社のデジタル送信の解約を申し出て、元のアナログに切り替えた。そして昔ながらのアナログVHSテープでせっせと録画しては授業のテーマの即した時事問題のニュースなどを編集し、教室で見せている始末だ。
デジタルセットトップボックスに交換したときに1万5,000円を支払ったが、それを解約して再びアナログのケーブルボックスに変えたらまた9,000円とられた。痛い出費だった。
どこへ行った「私的複製権」
録画した映画を居間と寝室で別々に見ようと思ってもコピーワンスがかかっているとそうは行かない。おばあちゃんふるさとがテレビに写った。親戚の人も写っている、コピーしたのを実家に送ってあげよう、と思っても、送ってしまえば自分の手元に残らない。印象に残った番組の話で盛りあがったら、見損なった友人が見たいと言った。以前なら気軽にダビングして渡せたのにそれが出来ない・・・。日常生活の中ではさまざまな機会にテレビをコピーし、ビデオをダビングして、家族、友人の間に見せ合う、記録としてとっておくと言うことがよくある。これまではそのような行為を「私的複製権」として許容されてきた。その利便性がゆえに、ソニーの前身である東京通信機工業が開発したビデオテープレコーダーというものが世界中に普及したのではなかったか。
ハードディスクからDVDにダビングしたがディスクが不調でうまくダビングできなかった、しかしもとの映像は消去されてしまったということも頻繁に起きる。ケイタイなどのためのメモリーカードに番組を移しても元の映像は消え去るため、多面的な利用もままならない。
海賊業者の複製に「コピーワンス」は役立たず
デジタル映像は劣化しないため、一度複製で出回ったら歯止めが利かない、というのがコピーワンスの理由になっている。しかし、商売でテレビ放送や映画の海賊版を作ろうとするヤカラには実はコピーワンスは何の歯止めにもなっていない。
コピーワンスを解除するには「ビデオスタビライザー」を通すという方法がある。これは映像信号を補正する装置として今までも放送業界ビデオ業界などの現場で日常的に使われているため、家電量販店のAVアクセサリーやセレクター売り場などでも買うことが出来る。アングラでもカタログが出回っていて、通信販売で簡単に買うことができる。
もちろんコピーガードのキャンセラーとして販売、購入すると違法だが、信号補正が目的のスタビライザーとしては違法でも何でもない。私の手元にあるカタログでも2万円から4万円で通信販売していた。インターネット上ではスタビライザーつきの衛星受信機(メイドインチャイナ)を手に入れることも出来るという。
またパソコンなどではキャプチャーカードのコピーガード検知機能をオフにできるものもあり、ダビングし、高画質のまま複製することはいとも簡単だといわれている。
専門の海賊業者にとってコピーワンスはなんの役にも立っていないというわけだ、
困っているのは家庭内で今までのようにちょっと録画する、研究用や教育用のダビング編集をしたいという巷の一般人や学校の教師である。
よこしまな目的のわずかな人のために、まっとうな目的の人が不便を強いられるなんて。
でも、中国の裏通りをあるくと、違法コピーのNHKの衛星放送や映画もDVDが堂々といられているから仕方がないのかな?なんて思ったり。
どうなんでしょ。
コピーワンス見直し(コピー10)の件。
みてくださいよこれ。ひどい話です。
テレビ録画界の“憲法改正”!? 「コピー10」で録画ライフはこう変わる
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070829/280649/?P=1&ST=ittrend
HDDを介さずにDVDなどの光メディアに直接録画した場合はコピー9+1回可能にはなりません。HDDの付いていない単体のデジタルチューナーや、テレビのチューナーの外部出力、ケーブルTVのセットトップボックスにレコーダーを外付けした場合は、緩和施行後も従来のコピーワンスになり、コピー9+1回が可能にはなりません」(田胡氏)