2010年12月31日

私のテレビ評、「生と死の医療、救急医と臓器提供」 

隅井孝雄のメディア・ウオッチ No. 1011 (通算196)
 
 2010.12.31


 以下の記事は「Gyalac ( 放送批評懇談会)2011年2月号 2011年26日発行

ギャラクシー賞テレビ部門月間賞作品評として掲載された

 私のテレビ評、「生と死の医療、救急医と臓器提供」 制作 北海道テレビ 
 テレビ朝日テレメンタリー 
20101030日放送

20107月臓器移植法が改正されて、新しい仕組みが動き出した。家族が承諾することで脳死移植の道が大きく広がったのだ。新しい状況の下移植の専門医、コーディネーターたちの活動の場もまた大きく広がって4カ月。この間の動きを追う番組が目についた。「生と死の医療、救急医と臓器提供」(北海道テレビ)、「レシピエント、脳死移植医と患者の540日」(中京テレビ)、「臓器提供、家族が決断する時」(NNN読売テレビ)の三番組を見た。

脚光を浴びるのは腕の良い移植医、そして患者との間を取り持つ、コーディネーター、そして彼ら彼女らの努力や苦悩に違いない。また臓器提供者の家族の心情も注目を浴びる。多くの場合い家族は、時には医師すらが、顔を世間にさらすことをためらうが、ほとんどの番組がモザイクを乗り越えて真実を追う努力をしているようにみられる。

月間賞としてここで取り上げる「生と死の・・・」は敏腕の救急医に密着したというところに格別のユニークさがあった。とことん生を見つめ、それでも叶わぬ死がある。矛盾を超えて患者や家族と向き合い、最後の最後に家族と向き合う。その医師と家族が相克を乗り越えて臓器提供に踏み切り命を生かす過程が描かれた。家族はもとより、生きて寝ているようにしか見えない患者もカメラはあまさず正面からとらえる。

脳の機能が止まった患者を囲み、家族や友人が病室に集まった光景が、近づく死を受け入れる看取りの医療として描かれている部分は番組のハイライトだともいえる。笑い声も聞かれるその様子は、この後救急医から移植医へ命が引き継がれることを象徴的に、しかも見事に描くものであった。

医師と、家族に正面から向き合ったこの番組は、生へとことん手を尽くしたそのあとに移植があり新たな生があることを示した点を評価したい。

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