2009年03月13日

アメリカで新聞不況深刻化「ザ・ロッキー」消える、ニューヨーク・タイムスは社屋大半を身売り

隅井孝雄のメディアウオッチ No. 0904(通算175)
2009.3.15 

アメリカで新聞不況深刻化「ザ・ロッキー」消える
       ニューヨーク・タイムスは社屋大半を身売り

 

 受難の時代に入った地方新聞

アメリカの新聞がまた一つ消えた。227日に最終号を出し、150年の歴史に幕を閉じたのはアメリカコロラド州デンバーの名門紙「ロッキー・マウンテン・ニュース」。これでデンバーは「デンバー・ポスト」一紙になる。

「ザ・ロッキー」というニックネームで知られる同紙は昨年11月売りに出されていたが、折からの金融不況が深刻化したことから、買収交渉がことごとく失敗に終わり、廃刊のやむなきに至った。同紙は2000年に446,000部あったが今年2月段階では210,00部と半減していた。

 デンバーでは二紙体制を維持することは極めて困難な状況がここ5年来続いていた。そのためライバル紙のデンバー・ポストと協議した結果、総務、経理などの事務部門を統合、また印刷工場も共同で使用し編集部門だけを独立させるなどの合理化策を実行していた。228人の編集スタッフのうち、10人だけがデンバー・ポストに移籍する。

 アメリカの新聞危機は深刻化している。昨年一年の記者のレイオフは12,000人に達した。ハースト傘下のサンフランシスコ・クロニクルは20085,000万jの損失を出し、買い手を探すか閉鎖するかの二者択一を迫られている。シアトル・ポスト、フィラデルフィア・インクワイラー、シカゴ・トリビューン、ミネソタ・スター・トリビューンなどの各紙が会社更生法を申請中である。またマイアミ・ヘラルドやサクラメント・ビーを経営するシンクラディー社は39日、従業員1,600人のレイオフを発表するなど、不況に歯止めがかからない状態が続いている。

 いずれも長年の部数低迷に加えて、最近の極端な金融不況で広告が落ち込んだことで打撃を受けた。クラシファイドアド(三行広告、求人、求職広告)の落ち込みが大きいことが経営不振に直結している。

 

 ニューヨーク・タイムス本社屋身売り、大手紙にも不況の波ひたひたと

こうした状況は地方新聞だけではない。大手紙も深刻な経営危機に見舞われている。

ロサンゼルス・タイムスやシカゴ・トリビューンを所有するトリビューン・メディアは、2007年、シカゴの不動産王サミュエル・ゼルが経営権を握って再建を図っていたが、シカゴカブスの売却など資産売却がうまくいかず、昨年128日連邦破産法の申請を行った。

ニューヨーク・タイムスの場合、キャッシュ・フローの改善と首都圏版の強化の目的で昨年メキシコの投資家から25000万jを借り入れた。しかしそれでも収支改善できず39日、本社ビルの一部を22500万jで売却した。このビルは2007年に新築したばかり、56階建ての半分を自社所有にしていたが、さらに21階分を売却したものである。ニューヨーク・タイムスは部数の落ち込みが大きく、2006年に赤字を計上、2008年は損失を5800万ドル計上している。

31日付のワシントン・ポストはアメリカ中の新聞経営者が新聞経営に没頭しているため、227日に予定されていた「アメリカ新聞編集者総会」が延期されたことを伝えたが、ワシントン・ポスト自体も昨年下四半期の売り上げが77%も下落、そのため日曜情報版を廃止、ブックワールド(出版案内と書評専門ページ)を切り離しするなどの大幅改革を行っている。

ウォールストリート・ジャーナルを2007年に買収したマードックのニュースコープはニューヨーク・ポストなど新聞部門の簿価を30億ドル切り下げた。

大手紙は今、ブログ、ポッドキャスト、オンラインチャットなどを活用して、地域ウエッブ形式で地域読者への新しいニュース供給を図っている。新聞が果たして紙という媒体のまま生き残れるのか、それとも電子媒体への転身を図ることになるのか、その行き先はまだ定まってはいない。

 
posted by media watcher at 18:27| Comment(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
Media watch.gif

隅井孝雄のメディア・ウォッチブログ