2008.12.16
アメリカ大統領選挙とテレビコマーシャル
激戦区中心大量のテレビCMが勝敗わける
オバマ陣営はおよそ7億jの選挙資金を集めた。一方のマケイン陣営はその半分3.5億ドルだが、両方合わせて10億を超える資金は史上空前。そのほぼ30%、3億ドル近くがテレビCMに投じられた。
コマーシャルでは資金量豊富なオバマ陣営が突出したということができる。予備選初戦で善戦したオバマはその余勢を駆って、30秒一本270万ドルするといわれるスーパーボウルの中継の中でCMを放送した。予備選のスーパーチュースデイ直前のことである。
スーパーチュースデイの時点では民主共和両党とも多数の候補が林立していたがすでに1億7000万jがCMに投じられていた。本数でいえば15万本だったとABCテレビは報じている。
このため激戦区にあるローカルテレビ局の営業利益はうなぎ上りとなった。ペンシルバニアでは予備選を前にした4月、若者に強いとして知られる地元局、Fox23にオバマ、クリントン両陣営からスポットCMが持ち込まれた、金額にして5万4000ドル。同局の営業利益は25%増を記録したが、そのあおりで地元のGMなどカーディーラーがCMを流そうにも枠がない、という事態になった。
深夜の電話
3月4日の民主党予備選ではクリントン候補が起死回生をかけて、私こそ大統領にふさわしいとばかりに「深夜の電話」と題するテレビCMを打った。午前3時ホワイトハウスに危機を告げる一本の電話が入る。安らかな子供の寝顔のカットを入れながら、「だれがその電話に出るのか、あなたの一票が決める」とクリントンの大写しでしめる。このCM一本で、危機に強い大統領という印象を演出したクリントンはかろうじて予備選に踏みとどまることができた。ちなみにオバマ陣営やこれに対抗するため、同じ「深夜の電話」と題するCMを作成、イラク戦開始に反対した数少ない議員の一人であることをアピールした。
セレブCMにパリス・ヒルトン怒る
選挙本番、オバマ、マケインの一騎打ちになった後、7月末から8月にかけて、話題になったのはマケイン陣営が激戦区11州で放送した「セレブCM」 である。ベルリンで群衆の歓呼にこたえるオバマを映し出し「オバマは有名だ、しかしセレブのオバマは果たして国を率いる準備があるのか」というコメントが入る。 このCMに呼応して、マケイン候補はは、セレブは中身がないのに傲慢で大衆を見下ろしている、とオバマ批判とも受け取れるキャンペーンを展開した。
http://www.youtube.com/watchv=oHXYsw_ZDXg
http://www.youtube.com/watch?v=GSJCnBz7cTg
このCMにはパリス・ヒルトンやブリトニー・スピアーズがちらりと出てくる。パリス・ヒルトンはマケインのセレブCMに対抗して、「私も大統領選に出て、ホワイトハウスをピンクにする」というジョークのCMを制作、インターネット上に流したことも話題になった。間接的な表現だが、あのパリス・ヒルトンがマケイン批判を行ったのだ。
選挙関係者や広告関係者には不評のマケインのセレブCMだったが、オバマ陣営にとってはボディー・ブロウのような効果を挙げたと見られる。一般の有権者がオバマ人気を見直すきっかけを与えたようだ。じりじりと支持率が下がり、そしてサラ・ペイリン副大統領候補の登場で、両候補の支持率は一時期横並びとなった。
その後ペイリン人気の凋落、金融危機という新しい大問題が浮上する中、選挙戦が最大にヒートアップした9月中旬の1週間だけでもオバマ陣営4200万j(激戦17州)、マケイン陣営1000万j(激戦14州)がテレビのCMに使われた。
大統領選挙には中傷広告(ネガティブ・キャンペーン)がつきものだが、今回オバマ陣営は、マケイン候補がブッシュの政策を引き継いでいるとしきりに攻撃した以外は、CMで自らのイラクや経済に関する政策を訴えることに重点を置き、ネガティブADは流さなかった。
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