2020年06月18日

コロナ報道で検閲行為 海外メディアにも及ぶ NHKワールドなど政府コロナ要請放送受け入れ

2006 1.岡田IMG_0203.jpg2006 2.玉川IMG_0201.jpg2006 3.NHK Worddownload.jpg

 写真、1. 岡田晴恵白鷗大教授、2. テレ朝モーニングショーの玉川徹キャスター、3.世界160国、地域に流れるNHKワールド

週刊ポストの最近の報道(6/5,6/12)によると、政府の内閣広報室の数人の人の係官が、テレビの報道番組、コロナ報道などをモニターし、問題発言を書き起こして政府に報告しているという。

テレビ報道をチェックし訂正求める

 そういえば「羽鳥慎一モーニングショー」(テレ朝月〜金8:00) で安倍首相のコロナ対策後手に回っていること、医療機関へのマスクを重点的に配備すべきだとの発言を、厚生労働省が番組出演者を名指ししてツイッターで攻撃した(3/4)ことがある。

 内閣広報室のメディアチェックは、明らかな憲法21条違反の検閲と言わざるを得ない。

週刊ポストが入手した情報公開資料によると、2月初旬から3月上旬までの40日ほどで、A41000枚近くに及んでいるという。特に目立つのはテレ朝の朝ワイドに出演している玉川徹キャスターやゲストの岡田晴恵白鷗大教授、更には「ダイヤモンドプリンセス号」に乗り込んで、政府の対応を批判した、岩田健太郎神戸大教授の発言などだ。報道番組やワイドショーが中心だが、情報番組の「アッコにおまかせ」(TBS、日曜11:45)での和田アツ子とIKKOとのやり取りも含まれていた。

諸外国メディアに多い安倍批判

諸外国の多くは安倍政権のコロナ政策に批判的だ。「日本はPCRの検査の少ない。日本のやり方は症状の軽い感染者を特定し、追跡することを困難にしている」(英紙ガーディアン5/4)と指摘した。4/23に外務省が海外メディア向けに開いた記者会見では、「もっと多くの市中感染があるのではないか」などの質問が1時間にわたって続いた。また韓国の「ハンギョレ新聞」(4/30)も「日本政府は韓国の防疫の成功を無視し、軽んじている」と批判した。(朝日新聞5/8の記事より)。安部首相の感染対策としてマスク2枚配布の発表(4/1)は、国内の批判に加え、海外メディアからも「アベノマスクはエイプリルフールか」(Fox News4/1)など嘲笑、揶揄が乱れ飛んだ。

海外報道にも及ぶ検閲

 今国会で成立の予算の中に、“批判をチェックし、正しい情報流すために”との予算24億円を外務省が組んだ。主要20か国のなどのSNSAI(人工知能)も活用して海外メディアの報道チェック、“正しい情報を発信する”という。

厚生労働省も国内海外に向けて「ネガティブ情報の払しょく」、「正しい情報の発信」を行う予算35億円が組まれた。

 外務省、厚生労働省、内閣広報室、内閣官房インフルエンザ等特別対策室は一体となって国内、海外の政府批判阻止の動きを強めているのが現状だ。

 特措法でNHKは指定公共機関

 「改正新型インフルエンザ対策特別措置法」では日銀、赤十字などと並んでNHKが指定公共機関とされた。従来から政権寄りのNHKは、政府のコロナ対策への協力にアクセルがかかっている。国境なき記者団(本部パリ4/8)、日本ジャーナリスト会議(4/11)、などが独立した報道を阻害するとして反対声明を出し、NHKを指定から外すよう要求している。

NHKの海外放送で政府の要請放送

160の国地域へテレビ国際放送(NHKワールド)や、ラジオ国際放送(短波)、インターネットニュースサイト(Japan On Line17ヵ国多言語)など、NHKの海外向けの情報発信では、在留日本人の生命、身体にかかわる事項、国の重要政策などで政府の要請があれば、それを受け入れることになっている。41日に総務省が発表した2020に年の要請放送の項目には「新型コロナウイルス感染症に関する国内の最新状況に特に留意すること」が付け加えられた。

 このままではNHKは政府広報機関に陥ることになる。

NHKを指定公共機関から外すよう求めるとともに政府の要請報道に応じないようNHKに求める必要がある。(すみいたかお)




 


写真、1.テレビ朝出演中の岡田晴恵教授、2.テレ朝モーニン
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2020年06月13日

 700万ツイッターが政治を変えた。「検察庁法案」廃案になる

2007 1.ツイートpost_157960_02.jpg2007 2.黒川IMG_0189.jpg2007 3.森法相IMG_0188.jpg2007 4.堀田IMG_0191.jpg2007 5.1人デモIMG_0190.jpg2007 7. 小泉tousupo 04da829ed56f54df0af7df3e85d59c4e-1-350x450.jpg2007 4.5.10 Gendaia27c1d8d5a357a0828f4302aa809aa1e20200513113213047.jpg

 写真、1.発端となったツイート、(5/13 毎日新聞)2.検事総長に抜擢されたかと思いきや賭けマージャンで辞職した黒川弘務元東京高検検事長、(5/16TBS報道特集)3.異常な国会答弁続けた森雅子法相、(5/16TBS報道特集)4.かつてロッキード事件手がけた辣腕元検事堀田力氏も検察庁法案に反対、(5/16TBS報道特集)5.外出制限の中で1人デモ以外できなかった、(5/16TBS報道特集)6.検察庁法案に反対を続けた多くの芸能人の1人、小泉今日子、(毎日新聞 6/3)

 1本のツイッターが拡散、政治を動かすに至った。ハッシュタグをつけた「検察庁法改正案に抗議します」への賛同が最初に投稿されたのは、58日、連鎖の輪が急速に広がり短期間で700万人を超え、内閣委での採決が見送られ(5/15)、安部晋三首相は国会での成立断念を表明した(5/18)。民意が政治の動向を決めた稀有な例だといえる。

 検察官定年、安倍政権が一方的延長

 「検察庁法改正案」は一般の国家公務員の定年年齢を60歳から65歳に段階的に引き上げる改正案とセットで第201国会に提出された。検察官の定年も63歳から65歳に引き上げる(検事総長は現行65)。次長検事、検事長、検事正ら幹部は63歳でポストを退く。幹部が63(検事総長は65)を迎えても、内閣や法相の判断で、特例として最長3年間は、そのポストにとどめることができる、というものであった。

 三権分立揺らぐ

法案は311日に国会に上程され、野党がこぞって反対する中、58かから衆院内閣委員会で審議が始まった。同じ日ツイッター上で「笛美」と名乗る30代の女性名でハッシュタグ付きの投稿が出現した。そして9日以降このツイートへの賛同者が急速に増えた。

 日本弁護士連合会の見解は明快だ(5/11会長声明)。内閣または法相が、裁量のみで63歳の役職定年の延長、65歳以上の勤務延長を行うなど、検察官人事に介入できることになる。不偏不党を貫く職務遂行が必要な検察の独立性、中立性が侵されれば、憲法の三権分立を揺らぐことになる。ロッキード事件のような政治犯罪が裁かれることはない。

 黒川検事長定年問題、賭けマージャンで幕

 この問題の発端は元東京高等検察庁検事長だった黒川弘務氏の定年問題にある。本来であれば202027日に退官するはずだった。ところが131日の閣議で定年を延長し引き続き半年間勤務させる、との決定が行われた。現在の検事総長である稲田伸夫氏の定年が7月末であることから、黒川氏を後任にしたいとの安倍首相の人事構想の一環ではないかと、野党は一斉に反発した。黒川氏と検察当局は森友、加計問題で安倍政権を優遇する態度を取り続けてきた。

 そのさなかの「検察庁法改正案」による検事の定年延長は、まさに安倍首相による黒川氏の定年延長を事後追認するものであり、三権分立を侵す。 一連の安倍政権の行為に対し元検事総長松尾邦弘氏、ロッキード事件を手掛けた堀田力氏ら14名の検察OBが連名で批判の声明を提出した(5/16)

 その直後、週刊文春がウエブサイトで黒川氏の「賭けマージャン問題」を告発(5/20)、黒川氏は安倍首相あてに辞職願を提出(5/21)、異常な国会答弁を続けていた森雅子法相は受理し、閣議はこれを承認した(5/22)。誰の目にも安倍首相事態の失態は明らかだった。

セレブ次々

 アメリカなど海外で有名人が政治に発言することは日常化している。その同じ現象が今回日本でも起きた。フライデーやYahooによると、小泉今日子(俳優)、浅野忠信(俳優)、井浦新(俳優)、秋元才加(AKB)、ラサール石井(タレント)、大久保佳代子(オアシズ)、城田優(歌手)Chara(ミュージシャン)、西郷輝彦(歌手)、大谷ノブ彦(ダイノジ)、緒方恵美(声優)、高田延彦(タレント)、水野良樹(いきものがたり)、日高光啓(AAA)、末吉秀太(AAA)、岩佐真悠子(ITタレント)、本田圭佑(サッカー)、宮本亜門(演出家)などだ(順不同)

 俳優であり、デザイナーでもある井浦新(あらた)は「もうこれ以上、保身のために、都合よく法律も政治もねじ曲げないでください。この国を壊さないでください。」と投稿した。

ミュージカルなど舞台演出家、宮本亜門は次のように語った。「コロナ禍の混乱の中、集中すべきは人の命。どう見ても民主主義とはかけ離れた法案を、強引に決めることは、日本にとって悲劇です」(6/3毎日新聞より)。

 外出禁止でデモなし、政権のコロナ施策に反感

 有名人が政治の批判に発言することは日本にとって初めてのことではない。

 2015年の安全保障法制の反対運動の際、石田純一、笑福亭鶴瓶、坂本龍一、渡辺健らが国会周辺デモなどに参加し、あるいは注目される発言を繰り返したことが記録されている。

 しかし今回は、市民がSNSという新たな武器を手に、短期間に大きな力を結集することに成功した。運動形態の新鮮味が感じられる。

欧米ではSNSによる意見表明に加えて、SNSの呼びかけで数十万人から数百万人の街頭デモも並行しておこなわれる。ところが今回はコロナ禍による外出制限が行われていたさなかであったことから、街頭デモは行われなかった。

新型コロナ対策への安倍政権批判が、SNSのあっという間の巨大抗議の原因になっているとみられる。政権の目立った対策はマスク二枚のみ、PCR検査の実施は遅々として進まない、感染数の発表は実態より低いのではないか、中小企業への持続給付金は200万円が上限、国民に支給するという10万円もいつまで待たされるかわからないなど、問題が多くの国民に意識されていた。「桜を見る会」問題も「森加計」問題も一向に政権の責任が明らかにならない。

外出禁止は芸能人、芸術文化関係者にも多大な影響を与えた。彼らは舞台の仕事、演奏の仕事、映画の仕事、そしてテレビの仕事さえ失いつつある。

小泉今日子は、テレビ番組「報道特集」(TBS5/16)のインタビューで「政治に無関心でいた私たちに、現実を突きつけた。改めてこの国で生きていくということを考えるきっかけになった」と語った(TBS報道特集5/16)


この国で生きていくため政治を絶えず見つめ、政治を変えていく必要があるだろう。

(隅井孝雄)           

機関紙協会京滋 宣伝と組織 20207月号 

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