2019年09月16日

 増悪と偏見あおる嫌韓報道を自戒せよ

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写真、1.日韓ナショナリズムぶつかり合い続く 9/8 サンデーモーニング
    2.ソウルでフリーハグする桑原さん 9/11 羽鳥慎一モーニングショー
    3.ゴゴスマ嫌韓発言を報じるネットニュース 8/31 ハフ ィントンポスト
    4.書店から引き揚げられた週刊ポスト 9/2発売
    5.週刊ポストの嫌韓記事 週刊ポスト 9/13号
 ソウル、反日集会の真っただ中で一人の日本人男性が、目隠し姿で韓国の市民と次々にハグを繰り返す姿があった。足元には、次のように記したハングル文字が置かれていた。「日本には日韓友好を願う多くの市民がいます。韓国にも日韓友好を望む多くの方がいると思っています。皆さんも私を信じてくれるならハグをしてください」。
 メディアは嫌韓、市民はフリーハグ
男性の名は桑原功一さん(38)。世界に広がる「フリーハグ」(抱き合うことで愛や平和を確かめ合う運動)をソウルで実践したのだった。韓国メディアで大きく報道され、ネットでの再生回数は35万回に達した。番組では日本でも「フリーハグ」活動する韓国人女性いると伝えた。(9/11羽鳥慎一モーニングショー)
 8月後半に入って民放系のワイドショーは韓国政権を批判的に報じる場面が急増した。8/22韓国が日韓軍事包括保護協定(GSOMIA)の終了を決定したことが要因となった。加えてムン大統領側近のチョ・グク氏の不正疑惑と法相起用とが二重写しになり、ワイドショーの格好のテーマとなった。
 8月27日の「ゴゴスマ」(CBC制作、関西地区では放送していない)のコメンテーター、武田邦彦中部大教授は、日本人女性が韓国人の男から暴行を受けた事件をうけて「日本人男性も韓国女性が入ってきたら暴行せにゃいかんのだけどね」と発言。ひどい嫌韓発言だとの抗議が殺到。30日同じ番組の冒頭でアナウンサーが謝罪した。武田氏はヘイト常習と言われ、ネットのヘイトニュース「真相深入り、虎ノ門ニュース」でもレギュラー出演者だ。
週刊ポストが減韓、断韓特集
9月2日発売の「週刊ポスト」(9/13日号)が「減韓、断韓を考える」を特集したのは驚かされた。大手紙にも「韓国なんて要らない」とのポストの広告が掲載された。記事の中には韓国人の半数以上が“憤怒調節に困難を感じており、10人に1人は治療が必要なほどの高危険群である”という記述もあった。
「週刊ポスト」にエッセイを連載中だった作家の深沢潮さんは「差別扇動は見過ごせない、今後執筆しない」と宣言、また思想家の内田樹(たつる)さんは、今後小学館では仕事をしない、国論の分断に加担するのは、マスメディアを名乗る資格がないと断罪した。
週刊ポストの編集部は「誤解を広めかねず、配慮に欠けておりました」とのお詫びをウェブサイトに発表(9/2)、雑誌を書店から引き揚げた。
 政治的熱狂の行方
 マスメディアの本来の役割は真実を伝えることによって、政治的熱狂が国際的摩擦を拡大し、世論を押し流そうとするときに、それを抑えて友好を保つことを第一義に考えなければならないはずだ。
 この間、日韓の間には慰安婦問題をめぐる歴史認識に食い違いが起き、更には戦時中「徴用工問題」で韓国最高裁が日本企業に賠償を命じた。日本は朝鮮を植民地化35年間の責任はぬぐえない。日本が輸出優遇対象国から韓国を除外したことに対し、韓国が日韓軍事包括協定(GSOMIA)を破棄するなど、政府間の対立になっている。
 マスメディアは自戒を
 9月6日新聞労連が「他国への憎悪や差別をあおる報道をやめよう」という声明を発した。「国益」が幅を利かせた戦前の過ちを指摘し、排外的言説や偏狭なナショナリズムを食い止めることが報道機関の責任だと「嫌韓」報道との決別を呼びかけた。
 この声明を受けた、TBS報道特集の金平キャスターは「憎しみをあおって視聴率や売り上げを上げるのは恥ずべき行為だと自戒している」と番組で述べた。
 すべてのメディアに同じことを呼びかけたい。

 「宣伝と組織」19年10月号
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消えゆくAMラジオ、見過ごしていいのか

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 総務省有識者会議は8月30日、民放ラジオ局がAM放送を打ち切ってFM放送へと転換する新たな制度改正を承認した。これにより多くの民放ラジオ局が早いところで2023年以降AM放送を打ち切り、FM放送に転換すると思われる。(NHKはAMラジオを継続する)。
 東日本大震災の際、ラジオ電波がテレビより、ネットより災害に強いことが実証された。そのため難聴地域対策、災害の補完対策として、2014年からAMラジオが同じ番組をFMで同時放送する「ワイドFM」(FM補完放送)が始まった。今年中には民放ラジオ全局がワイドFMを実施する。
 民放ラジオ局の多くはアンテナの更新時期が来ている。AMアンテナには広い敷地、50m~150mの高層アンテナなど多額の設備費が必要だ。それに比べFMアンテナは4〜5メートルの簡便な設備で足りるが山間部、遠隔地に届きにくい。しかしリスナーのラジオ離れや広告収入減から、経営悪化が進んで民放各局にはアンテナ更新や、AM,FM2波を送り出す2重の負担は難しい。簡便アンテナで、番組送出にも費用が少なくて済むFMに一本化することを望む局が多いのだという。
 北海道は例外としてAMが残るといわれている。広大な地域をカバーしているため、到達エリアの狭いFMでカバーするのは逆に困難だからだ。(AM波の到達範囲は7〜800km、夜間は海外にも届く。FM波は数10kmから最大100km)
 問題はラジオ文化にもある。AM局の主力は「ニュースとトークラジオ」だ。そもそも民放AMラジオは1951年、戦時中のNHK大本営発表の反省から、生まれ、民放第一号は新日本放送(現毎日放送)と名乗った。初期にはニュース報道で他のメディアを圧倒、トランジスタラジオという技術革新の助けもあり、テレビとも互角に勝負した。「子供電話相談室」、「オールナイトニッポン」、「パックインミュージック」で子供や若者に支持され、また45年の長期にわたった「秋山ちえ子の談話室」、「誰かとどこかで」(永六輔)などが中高年齢層とのつながりを広げた。
  ワイドFM受像機が普及していないという問題もある。アナログ放送が終了した後の一部の周波数(90.1MHz~94.9MHz)を転用している。そのためAM/FM兼用の古いラジオ(76MHz~90MHz)ではワイドFMの周波数が入らない。買い替えが必要だ。
 70年に近い歴史を持つAMラジオ文化を消してしまっていいのか、私は疑問を持つ。
年配層では枕元にラジオをおいている人が多い。AMラジオというコミュニケーション手段、文化の伝達手段を奪いさっていいのか。防災情報から断ち切られてよいのか。強い疑問を持つ。民放連と政府の再考を促したい。

JCJ時評 19年9月25日号
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