2021年12月02日

字幕付きCMの登場 テレビの効用を聴覚障がい者にも届けたい。

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 10月から全国の民放テレビで字幕付CMが放送されるようになった。
 字幕付きCMとは音声を文字化しが目に表示するCMのことだ。設定はリモコンの「字幕」ボタンを押すことにより音声を字幕で表示できる。
総務省の調べによれば聴覚障がい者は34万人(2118年厚生省)だが、「難聴」といわれる人は3400万人(2016年総務省)に達する。高齢化に伴い,今後の増えることが予想される。
  
平成22(2010)年3月にTBSテレビ系列28局で放送されたドラマ「ハンチョウ」で、パナソニック株式会社が字幕付きCMを放送したのが、初めての取り組みだった。その後、取り組みは徐々に広がっており、平成27(2015)年春改編時からは、従来の1社提供番組に加えて複数提供番組でも字幕付きCMが放送できるよう、在京テレビ5社を中心に、拡大に向け取り組んできた。今回放送されるようになったのは、地上民放99局と民放BS5局だ。

 民放連は、平成26(2014)年10月に広告主の団体である日本アドバタイザーズ協会、広告会社の団体である日本広告業協会と共同で字幕付きCM普及推進協議会を設立した。「聴覚障害者の情報アクセシビリティ向上のため、関係3団体の連携により字幕付きCMの普及を図ること」を目的に、情報共有やセミナーの開催などの活動を行っている。
 ユーチューブなどに登場する「それ行け!字じまく君」、「字幕付き5つのお話」などはキャンペーンの一環だ。

 コマーシャルにも字幕をとの声は、聴覚障がい者の間では切実だ。しかしこれまで関東地域に限られていたことから、付与率は、わずか1.05%に限られていた。せっかくリモコンについている字幕ボタンを押すだけ、という簡便な方法なのに、関東地区以外ではこれまで放送局側の設備が整っていなかった。
10代で両耳を失聴した、松村かりんさん(IAUD理事)は長年にわたって字幕CMの必要性を訴えかけてきた。消音ボタンがあっても、字幕ボタンがないことに疎外感があったような事態が解消されつつある。「このままではせっかくのCMが全く伝わらない」として長年プロジェクトを行っており、広告主にテレビスタッフに音のないCMを聞いてもらうなどの働かけを続けてきた。
 CMは短いものが多いため「前のCMが次のCMにかぶった場合でも事故扱いにはしたいなどという合意もある。
 字幕によるCMに触れる人が増えれば企業のイメージアップのつながるのは当然のことだ。加えて、病院やオンライン会議など音が出しにくい場所でもCMをみられる。そのため健常者にも、メッリットがある。
 技術的には多少複雑なので、全面的な展開は2022年10月としている。関係者は「CMも社会インフラ、全面的な展開で、情報がスムースに行き渡るよう尽力したい」といっている。

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2021年12月01日

石炭固執、不問の報道

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 石炭火力の削減か廃止かをめぐってもめ続けたCOP26は、13日夜(日本時間14日早朝)石炭火力発電を「段階的に削減する」文書、「グラスゴー気候合意を」採択、ようやく閉幕に至った。
 グラスゴーで岸田文雄首相は次のように発言した(11/2)。
「日本だけでなくアジア全体で、化石燃料と同様に水素とアンモニアを燃料としてゼロ・エミッション化を推し進める」。
石炭燃焼を燃焼する際、CO2の濃度を低めるアンモニアを混ぜて排出を抑え、火力発電から出るCO2を回収し地中に埋めて再利用する技術をしてゼロ・エミッションと称する。本格的な解決策にはならないことは明らかだ。この発言に対し「化石賞」が与えられた。
 「石炭火力全廃」を盛り込んだ当初案に対しインド、中国などが強硬に反対して合意文書は「段階的削減」となったことに日本も責任がある。日本政府は石炭火力全廃の46カ国の声明に加わらなかったどころか火力発電を維持、アジア諸国の石炭の継続使用を後押ししている。
 議長国イギリスのアロク・シャーマCOP26議長は「この展開について謝ります」と全体会議で謝罪、声を詰まらせ涙ぐんだ。この報道をBBCなど多くメディアが映像も含め取り上げ、「涙」が欧米ニュースで大きな話題となった。
 日本の報道は、政府が石炭火力の依存を進めていることをほとんど批判しなかった。
NHKニュースでは中国の石炭火力維持発言を「途上国を考慮すべき点で評価できる」(11/15)と解説。気候変動問題を扱ったNHKスペシャル「グレートリセット〜脱炭素社会 最前線を追う」(11/7日)では石油への依存、電気自動車、風力発電などは扱われているが、石炭を使用する火力の問題にはほとんど触れかった。
 日本のメディアは“子供だまし”のような岸田発言を批判しなかった。アンモニアを混ぜてもCO2が減るわけでもなく、またCO2を地中に埋める技術は確立されていない。
日本政府はCOP26の石炭火力問題で中国、インドなどの片棒を担いだと言えよう。日本のメディアもまた岸田首相の「グラスゴー」演説に対する批判を避けている。(すみいたかお、ジャーナリスト)
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アルゼンチン・タンゴ

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コミュニティラジオ(ラジオカフェ)の音楽番組、今回放送したのは「タンゴ」です
タンゴは18世紀、スペインやポルトガルのあるヨーロッパの西突端、イベリア半島でうまれたといわれる音楽です。のちのスペインが南米大陸に進出、それとともに労働力として南米に入った移民によって、首都ブエノスアイレスの繁華街、ボカ地区に持ち込まれ、人々はタンゴを体に密着させて踊るようになりました。
 
 1.奥様、お手をどうぞ アルフレッド・ハウゼ 
 タンゴで踊るとき、男性は女性の前に膝づき、手をさしのべます。そのような光景が目の前に浮かびます。
 コロナで一時期、タンゴも踊れなくなりましたが、それでもアルゼンチンの人々はタンゴを踊るのをやめないでしょう。
 
 タンゴは黒人のリズム、ヨーロッパの音楽、インディオ系の人々の音楽が混ざり合っています。
 2.真珠とりのタンゴ  リカルド・サントス
 原曲はクラッシック音楽で、ビゼーの曲です。南アメリカの現地人の真珠を愛用していたとコロンブスが書き残しています。

 3.ラ・クンパルシータ アルフレッド・ハウゼ
 小さな仮装行列という意味です。カーニバルの行進曲として作曲されました。

 4.ママ、恋人がほしいのよ。クァルテート・ロス・ポルニテートス
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2021年11月07日

米ツイッター・トランプ・フェイスブック混沌の渦の中

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写真 上院でフェイスブックが児童の安全を犠牲にしていると証言する元社員(10/5)

 アメリカでSNSが混乱している。 ツイッターが右寄り論調に偏り、フェイスブックがベトナム政府の言論統制を受け入れ、その隙を縫って前大統領トランプが新たなソーシャルメディアを立ち上げようとしている。
 ツイッター、右寄り?
 「ツイッター」社は自社の研究で、アルゴリズム(問題解決手法)が「右寄りの政党や報道機関のツイートをより増幅しがちだと分かった」ことをあきらかにした(10/21)。
ツイッターが調査したのはカナダ、フランス、ドイツ、日本、スペイン、イギリス、アメリカの7カ国。政党のツイートやユーザーが共有するニュース・メディアコンテンツについて、2020年4月1日〜8月15日の間のツイートを、アルゴリズムに則って表示されるフィードと、時系列順に表示されるフィードを比較してどちらのフィードが増幅されるか調べた。
 その結果調査チームの責任者ルマン・チャウダリー氏は次のような現象がツイッター上で起きていることが明らかになったと述べた。
「7カ国のうちで、政治的に右寄りのツイートが、左寄りの政治家のものより増幅されていたと分かった。原因については改めて調査するが、右寄りの政治家やニュースメディアのほうが増幅の度合いが高かった。ユーザーにアプローチする際の『戦略の度合い』の違いが 増幅作用を強めていることが見られる」と説明している。
 
 トランプの新ソーシャルメディア近く発足!!
トランプ前大統領が、新しいソーシャルメディアを立ち上げると発表したことがアメリカで話題になっている(10/20)。
新しいSNSは「ツゥルース(真実)・ソーシャル」と名付けられ11月に招待者を対象にした試験運用をしたのち、22年第一四半期に全国展開を予定している。今年1月、トランプ支持者らによる連邦議会襲撃の後、トランプ氏のツイッターやフェイスブックなど凍結されたままとなっている。
 トランプ氏の新会社Trump Media and Technology Group(TMTG)を通じて「タリバンがツイッターで存在感を見せているのに、あなたの大好きな大統領が口を封じられているのに我慢ならない」との声明を出した。
 中間選挙に備えての行動とみられる。
  
フェイスブック、ベトナム政府の検閲受け入れ
 米有力紙ワシントン・ポスト紙は、IT最大手のフェイスブックがベトナム政府の要請で、政府に批判的な投稿の検閲の強化を受け入れた、と報道した。これは25日、ワシントン・ポスト紙が匿名を条件に取材した3人の関係者の取材で得た情報による。
 フェイスブックは36億人の利用者を持っているが、これまでにも、差別、暴力、検閲に十分には対応してこなかった、と指摘されている。ワシントン・ポストはフェイスブックが日本円でおよそ1100億円を超えるとみられるベトナムのSNS市場を重視し、検閲を受け入れたとみられる。

 FBが児童への悪影響を放置
「フェイスブック」の元社員フランシス・ホーゲンが米上院商業委員会で証言を求められた(10/5)。彼女はフェイスブックの内部調査で「フェイスブックやインスタグラム上での児童保護などに関しての若いユーザー、児童などSNS上で、ネガティブな情報を受けっとっている」という事態を、放置しており、安全を犠牲にし、対応したヘイトスピーチは3%〜5%に過ぎない。自社の利益を優先していたと批判した
 米CBSテレビ「60ミニッツ」の報道では「フェイスブックが投資家に虚偽の説明をし、さらに重要情報の開示を回避した」と批判する番組を報道した。
 
バイデン政権、SNS規制新段階に入る
 一連のハイテク企業に対しバイデン政権は監視を強化している。15日、米独占禁止当局である連邦取引委員会(FCT)委員長に指名したコロンビア大学准教授リナ・カーン氏
は、反トラスト法の強化を唱える学者。米グーグルなど「GAFA」といわれる巨大IT企業の監視を強めるものとみられる。上院では民主、共和両党が賛同し賛成多数で承認を得た。
 今後バイデン政権は「プライバシーの保護」などを中心にして、IT大企業への規制を一層強化するものとみられる。
 これまでも巨大IT企業はコロナ禍のもとでデジタル化の恩恵を受け、成長を遂げてきたが、成長を持続させることが難しい局面にはいった。特に批判的報道の波を直接受けているフェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは、「仮想空間事業(メタバース)の充実」で乗り越えようとしている。
 しかし新たな投資で21年度の営業利益が約100億ドル(1.1兆円)減るとみられている。
 これまで、快進撃を続け、世界中の政府を困惑させてきた一連の巨大IT 企業に転機が訪れたようだ。
 
 補遺:フェイスブックは10/28日付けで社名を「メタバース」と変更することを発表した。傘下にインスタグラム、ウオッツアップなどを持っている。
 
 写真 上院でフェイスブックが児童の安全を犠牲にしていると証言する元社員(10/5)

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2021年11月06日

ファド(ポルトガル音楽)の女王、アマリア・ロドリゲス

2110 Amaria Rodgires IYR5244.jpg  ミュージック・ナウ 10月27日放送 アマリア・ロドリゲス

コミュニティラジオの音楽番組、今回の歌手はポルトガルの歌手アマリア・ロドレゲスです。ポルトガルには「ファド」という音楽があることをご存じですか。言ってみれば日本の演歌、あるいはフランスのシャンソンにも例えられる、民族歌謡です。「ファド」とは運命、あるいは宿命を意味しますが、1820年代に大衆歌謡として、首都リスボンで生まれました。アマリア・ロドリゲスはファドの女王として知られる歌手です。
彼女の名前を検索すれば歌が聴けます。

 最初の曲は
1. 楽しい居酒屋 
古くからのリスボンの居酒屋が舞台。芸術家、歌手が集う様子を歌った。ファドはこのような雰囲気の中で生まれ、歌い継がれてきた。

ポルトガルはイベリア半島にある小国。15世紀〜16世紀の大航海時代にはスペインと並ぶ大帝国だった。繁栄の源泉は黒人奴隷を使って、マディラ諸島のサトウキビを独占したことだ。日本とも交易を結び、鉄砲とキリスト教を持ち込んだ。

2. あなたを想って 
私は、歌ったり歩き回ったりする喜びを持っている/でも夜だけはあなたを想って思いっきり一人で泣く。
日本語に残るポルトガル語、おんぶ、オルガン、カッパ、カボチャ、キリシタン、コップ、シャボン、てんぷら、パン、ベランダ、ポント(先端)

3. 誰も知らぬ明日の運命
誰だって自分の定めからは逃れられない/でも神様のおかげでちっぽけに生まれたのに/大きなファドを全うする人もいる・・・・

4. あなたと別れて 
posted by media watcher at 22:17| Comment(0) | 隅井孝雄のメディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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