10月から全国の民放テレビで字幕付CMが放送されるようになった。
字幕付きCMとは音声を文字化しが目に表示するCMのことだ。設定はリモコンの「字幕」ボタンを押すことにより音声を字幕で表示できる。
総務省の調べによれば聴覚障がい者は34万人(2118年厚生省)だが、「難聴」といわれる人は3400万人(2016年総務省)に達する。高齢化に伴い,今後の増えることが予想される。
平成22(2010)年3月にTBSテレビ系列28局で放送されたドラマ「ハンチョウ」で、パナソニック株式会社が字幕付きCMを放送したのが、初めての取り組みだった。その後、取り組みは徐々に広がっており、平成27(2015)年春改編時からは、従来の1社提供番組に加えて複数提供番組でも字幕付きCMが放送できるよう、在京テレビ5社を中心に、拡大に向け取り組んできた。今回放送されるようになったのは、地上民放99局と民放BS5局だ。
民放連は、平成26(2014)年10月に広告主の団体である日本アドバタイザーズ協会、広告会社の団体である日本広告業協会と共同で字幕付きCM普及推進協議会を設立した。「聴覚障害者の情報アクセシビリティ向上のため、関係3団体の連携により字幕付きCMの普及を図ること」を目的に、情報共有やセミナーの開催などの活動を行っている。
ユーチューブなどに登場する「それ行け!字じまく君」、「字幕付き5つのお話」などはキャンペーンの一環だ。
コマーシャルにも字幕をとの声は、聴覚障がい者の間では切実だ。しかしこれまで関東地域に限られていたことから、付与率は、わずか1.05%に限られていた。せっかくリモコンについている字幕ボタンを押すだけ、という簡便な方法なのに、関東地区以外ではこれまで放送局側の設備が整っていなかった。
10代で両耳を失聴した、松村かりんさん(IAUD理事)は長年にわたって字幕CMの必要性を訴えかけてきた。消音ボタンがあっても、字幕ボタンがないことに疎外感があったような事態が解消されつつある。「このままではせっかくのCMが全く伝わらない」として長年プロジェクトを行っており、広告主にテレビスタッフに音のないCMを聞いてもらうなどの働かけを続けてきた。
CMは短いものが多いため「前のCMが次のCMにかぶった場合でも事故扱いにはしたいなどという合意もある。
字幕によるCMに触れる人が増えれば企業のイメージアップのつながるのは当然のことだ。加えて、病院やオンライン会議など音が出しにくい場所でもCMをみられる。そのため健常者にも、メッリットがある。
技術的には多少複雑なので、全面的な展開は2022年10月としている。関係者は「CMも社会インフラ、全面的な展開で、情報がスムースに行き渡るよう尽力したい」といっている。