2019年05月19日

カーナビも受信料料支払い義務がある、東京地裁判決。NHKがパソコン同時送信になったら、あれゆるパソコンも対象になる?

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 カーナビにも受信料支払い義務
 東京地裁が5月15日、カーナビの受信料徴収の対象となるとの判断を示した。
 二か月前3月13日、最高裁がワンセグ付きのケータイを所持しているだけでは、NHKと受信料契約を結ぶ義務はないと主張する男性の訴えを退け、ワンセグ搭載のケータイ、スマフォの所有者も受信料支払い義務があることが確定したばかり。今度はワンセグに次いで、カーナビにも受信料が及ぶことになった。
 今回の訴えは、自宅にテレビを持たない女性。自家用車にワンセグ付きのカーナビを供えている。自宅敷地内ではワンセグ電波を受信できず、道路案内の目的でカーナビを備え付けた、テレビを見ることを目的にはしていないので受信料支払い義務はない、と主張した。これに対して東京地裁は、「自宅から移動すればNHKの電波が受信できる以上、支払い義務が発生する」との判決を下した。
カーナビに関する初めての判断だ。
 そもそもワンセグやカーナビの場合、放送波の13セグメントのうち1セグメントだけを使って放送するので、デジタル放送ではあるが受信精密度が劣る。それだけではなくビル壁、小高い丘など障害物があると受信できないというデメリットもある。しかしNHKも裁判官もそのことを斟酌せず、NHKを受信できるデジタル機器かどうかを問題にするため、ワンセグ、カーナビ利用者の不満感は大きい。
 最高裁は、2017年12月、「協会の放送を受信できる受信設備を設置するものは、協会とその放送について受信しなければならない」(64条1項)を合法とした。さらに最高裁は、受信料制度について、「国民の知る権利を充足し、財政面で特定の個人、団体、国家機関からの影響がNHKに及ばないための仕組みであり、放送を受信するか否かにかかわらず、広く公平に負担を求められる」、として、受信料の支払いを「国民の義務」と位置づけた。
 最高裁の追い風を受け、NHKの受信料は、18年度は過去最大、7122億円(前年比209億増)を記録した。
 NHKは今年度中にもインターネットの同時配信を開始する。そうなればパソコンを持っている個人、企業、公共機関、自治体のすべてが、何らかの理由で受信料支払いの義務が生じることになる。どのようにパソコン利用から受信料を徴収するのか、混乱が生じる可能性があると私は思う。
 カーナビ、ワンセグケータイ、カーナビは家庭で受信料を払っていればいいわけだ。しかし仕事場で、オフィスその他さまざまな場所で使われるデジタル機器のどこまでを個人の所有と認定するのか、事業活動で使われる企業所有のカーナビはどうなるのか、など明らかなっていない諸問題があるからだ。

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2019年05月18日

「主戦場」、慰安婦問題を新たな角度から描いたドキュメンタリー映画、アメリカ在住日本人2世監督が「ネトウヨ」文化人にインタビュー、論駁者たちも次々登場

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写真、いずれも映画予告編より
 斬新な手法で、慰安婦問題に切り込んだ日系アメリカ人の若い監督がいる。彼が作った「主戦場」見て驚きを覚え、共感を覚えた。監督の名はミキ・デザキ。自らユーチチューバーを名乗る。
 この映画の原題はThe Main Battle Ground of Comfort Women Issueと非常に長い。紛れもなく慰安婦問題に肉薄した作品だ。
 アメリカの西海岸のある都市で、韓国社会の働きかけで公園の一角に慰安婦像が建てられた。同じような像は各地に建てられようとしている。
慰安婦問題といえば韓国と日本の確執だが、国際社会の理解を得るという名分で主戦場はアメリカに移っているのかもしれないという論もある。デザキ監督は「主戦場」という言葉をメタファーとして使い、それは人々の「頭」の中にあるのかもしれないと考えながら制作し、題名とした
冒頭から、杉田水脈(自民党衆議院議員)、ケント・ギルバート(タレント、弁護士)、櫻井よしこ(ジャーナリスト)、藤岡信勝(新しい歴史教科書をつくる会)らが次々にインタビューを受け、慰安婦問題について持論を展開する。その部分だけでは「慰安婦問題はなかった」とする歴史修正主義の人々の宣伝映画受け取られかねない。
 しかし、それと対立する意見を持つ人々が登場し、反駁を開始する。吉見義明(歴史学者)、渡辺美奈(女性たちの戦争と平和祈念館)、ユン・ミヒャン(韓国挺身隊問題対策協議会)、中野晃一(政治学者)らだ。そして論点は次第に絞られる。
慰安婦数20万は誇張ではないのか、強制連行は事実あったのか。性奴隷との呼称をどう考えるべき、歴史教育のありかたについてどう考えるかなどの論争が繰りかえされながら、映画は事実、真実に次第に肉薄していく。
冒頭で元気のあった「慰安婦なかった派」は、終盤に至る過程での具体的な反駁でしりすぼみになるだけではなく、歴史の真実が次第に明らかにされていく。その過程がスリリングな展開となる。
 上村隆(元朝日新聞記者)も登場し、彼自身の報道が事実に基づいたものであることが明らかになっていく。されに娘に脅迫が及んだ非道な実態も語られる。
 慰安婦問題について世論が二分化されている中で、25人の右と左の論客たちのインタビューで、真実を真摯に追及することを目指した映画として貴重な作品だ。事実を観客に証拠立てるニュース映像も、数多く登場する。
隅井孝雄 5/19/'19
 
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2019年05月16日

天皇の退位と即位のメディア報道を私はどう見たか神話強調は戦前への逆コース、女系天皇認めねば天皇家消滅の恐れ  

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写真説明
1.天皇の即位の言葉(テレ朝M5/5)、2.伊勢神宮参拝時にNHK(4/18)が「天皇の祖先天照大神」と説明、神話との混同を謝罪。3.天皇位継承の際、三種の神器多用(テレ朝5/5)、4. 「賢所」で祖先の神に退位告げる上皇、5.「つくる会歴史教科書」神話を歴史教育に使う(MBS教育と愛国、2017.7.30)、6.海外でも多かった報道(ニューヨーク・タイムズ4/30)、7.男子皇族3名のみ(サンデーM)、8.2005年、右翼組織総動員の武道館集会、女系天皇阻止叫ぶ(NHK日本人と天皇4/30)
 即位と退位
 4月30日、明仁天皇は国民への最後の「お言葉」を述べられた。「象徴としての私を受け入れてくれた国民に心から感謝します。新しい令和の時代が平和な時代であることを願い、我が国と世界の人々の安寧と幸せを祈ります。」
 翌日即位の式に臨んだ新天皇のお言葉は、「常に国民を思い国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓い、国民の幸せと、世界の平和を希望します」だった。
 「象徴」、「憲法」、「平和」、「国民に寄り添う」の4つのキーワードが込められている。安倍首相の「憲法変える」、「国民、国会軽視」はその真逆を言っているのではないか。
国民は、新元号を歓迎(73.7% 5/1共同通信)、上皇の象徴としての努力に感謝し、新天皇に期待感を抱いている。象徴天皇制賛成は74%に達した(5/3毎日新聞)。
 神話報道に違和感
 私は一連のニュース報道に違和感を覚えた。天皇は「皇室の祖先天照大神が祀られている」伊勢神宮の内宮を参拝したとNHKが報じた(4/18)。三種の神器のうち剣と勾玉を侍従が捧げての参拝であった。退位の儀式の際は天照大神を祀る宮中の「賢所」で「お告文を読み上げた」とのアナウンスが添えられた(4/30)。即位の際の「剣璽等承継の儀」(5/1)では「歴代天皇に伝わる三種の神器のうちの剣と勾玉などを受けとられた」と伝えた。
私は小学校4年の時第二次大戦が終わった。国史(今の日本史)の神話の部分を全て墨塗するか、半紙で糊付けよう教師に言われたことは今も忘れない。
NHKは後に批判を受けて「皇室の祖先とされる天照大神」とすべきだった、と記者会見した(上田良一会長、5/9毎日新聞)。しかし「神話」を歴史として教える「自由社」や「育鵬社」の歴史教科書が強い批判を受けていることかんがみ、神話にまつわる儀式をそのまま伝えることは、「国家神道」への道、逆コースを行くものだ。
 世界から祝電次々、中国ネット中継
 5月1日に即位した天皇に関する世界の関心は高い。米CNN英BBCなども詳しく報道、中国ではインターネットが儀式を同時中継した。過去の大戦の惨禍を招いた事実に向き合い、社会的弱者や、災害被害者に手を差し伸べ、環境改善や、平和を望む天皇家に対して世界の人々も首脳も、次々に祝意を表したのだ。
 現天皇は海外留学の経験があり、皇后は元外交官であったことから、上皇とは違った親しみを持って諸外国に接するとみられる。また水運を学んだことから、環境に深い理解を持つ。
 天皇家消滅の危機
ニューヨーク・タイムズは即位の日の紙面で(時差で一日のヅレ4/30)、「皇位につけるのはわずか3人、女性天皇を認めないために消滅の可能性がある」と書き、女系天皇の否定と女性の地位の低さに疑問を投げかけた。
 2005年、小泉内閣時、皇室典範を改正する動きがあった。孫が愛子内親王しかいないという事態があったからだ。しかし「日本会議」などの右翼団体が日本武道館に総結集、女系天皇を頂くことは、日本の歴史と伝統に反すると批判を繰り広げた。翌2006年男児である悠仁内親王が誕生したため、女系天皇の問題はうやむやとなった。
 しかしできるだけ早い機会に「直系の長子が皇位を継ぐ」と改定しなければ、皇室そのものが消滅するおそれがあることを右翼団体は認識すべきだろう。

中国はじめアジア太平洋諸国、諸地域、オランダなどを旅した明仁上皇夫妻は、「歴史修正主義」とは異なる態度で、惨禍合と向かいあった現地の人たちと接し、歓迎を受けた。このような天皇家の行動が今後も続くことを望みたい。もちろん沖縄にも天皇は寄り添い続けるだろう。
機関紙協会京滋、宣伝と組織 6月号 隅井孝雄
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2019年05月10日

50年代、ジャズを貫いたカーメン・マクレエが師とも仰ぐビリー・ホリデーの曲を歌う

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 カーメン・マクレエ
 5月8日 コミュニティ・ラジオの音楽番組「ミュージック・ナウ」、今日の主役はジャズ歌手のカーメン。マクレイです。たまたま私のレコードの棚で見つけた「カーメン・マクレイエ、ビリーを歌う」という珍しいレコードを発見しました。ビリーというのはビリー・ホリデーのことです。この二人7歳の違いですが、姉、妹のように仲良し。カーメンはビリーにジャズの神髄を教えられて育ちました。ビリーは40代でこの世を去ったため彼女を偲んで、ビリー名曲ヒット曲を1973年に録音したLPです。
 カーメン・マクレエ1922年ニューヨーク、ハーレムで生まれました。ジャマイカからの移民が両親です。若い頃はピアノを弾いていましたが50年代半ば以降ビリー・ホリデーに心酔、彼女の教えを受けて歌手に転じました。同じ年代の歌手、サラ・ヴォーンやエラ・フィッツゲラルドラがポップスに移っていったにもかかわらず、カーメンはビリーの教えを守り、純粋にジャズの道を歩み続けたことで知られています。
1. Yesterdays,
 楽しい良い日々だった、ロマンと愛があふれていた、私も若かった、その日々を想う。ビートルズの「イエスタデイ」とは全く違う曲です。
2. Strange Fruits ,
人種差別が横行した時代、凄惨な光景を、大胆に歌にした。1930年に作曲され、ビリーがクラブでしばしばうたったがたが、レコーディングは1939年。瞬く間に大ヒットした。
3. Miss Brown to you,
愛らしいお嬢さんエミリーブラウンが町にやって来る。あなた、きっと捕まえなさい。だけど焦ってはだめよ。
4. I Cried for You,
私、あなたのために泣き暮らしたわ。でも、今度はあなたが私ためになく番ですよ。物事はそんなふうに入れ替わることがあるのよ。

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2019年04月25日

AMラジオ、廃止を問う

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 写真 1.1953、新日本放送(現MBS) 設立計画書より、2期待集めた民放ラジオ、3.ワイドFMとは、4.トランジスターラジオ、5.ラジカセ
 日本民間放送連盟(民放連)がAMをやめてワイドFM放送に一本化を選ぶことができるよう制度の改正を総務省に求めた(3/27)。
民放連の説明によれば民放ラジオの営業収入はピーク時から60%以上の落ち込みとなって2年前800億円をわった。国に支払う2波分の電波使用料が値上げとなる。老朽化が進むAMラジオ送信施設の更新はFMに比べて巨費がかかるため、厳しい経営環境の下でAMを維持することは難しくなっている。
 AMラジオはビル高層化による都市型難聴、山地など地形型難聴、外国電波塔の混信などの解消のため、2014年以降FM波による補完放送(ワイドFM)が認められてきた。現在大多数の民放ラジオが従来のAM放送に加えて、ワイドFMを実施、来年度中には全局に拡大する。
コンクリートで囲まれたマンションの屋内ではAMラジオが聞こえにくくなるなどの問題も発生、聴取者数も減少が続いている。
しかしAMに比べてFMは電波が遠くまで伝わらないため、北海道や離島の一部ではAMを継続せざるを得ない。そこで大部分のAMラジオ局はワイドFMに移行するにしても、AM選択の可能性も残せるようにしたいとのことだ。移行は2023年から28年にかけて順次行う。NHKはAMラジオを維持する。
 民放のAMラジオが登場したのは1951年9月。名古屋のCBCと大阪のMBSが最初だった。第二次大戦中NHKラジオが軍部に全面協力した轍を踏まず、平和日本と言論の自由に貢献することをうたい、50年代から60年代にかけてニュース報道で華々しい活躍を見せた。コマーシャルの導入で初めての無料メディアだったことも魅力の一つ。トランジスターラジオ、ラジカセがラジオ人気を後押し。子供電話相談室、赤胴鈴之助、電話リクエスト、深夜放送、など子供や若者もラジオにくぎ付けになったものだ。
 いまだにラジオを枕元に置いてラジオしか聞かない人も多い。そのラジオから民放が聞けなくなる。ワイドFMの受信機はまだ普及が進んでいない。70年近い歴史を刻んできたラジオ文化を消去してしまうことの是非が問われる。(すみいたかお、ジャーナリスト)

赤旗ラジオテレビ欄 コラム「波動」2019年4月22日掲載
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