2021年03月30日

戦いの前線に立つフェイスブック(ミャンマー)、苛烈なデモ規制、メディア規制の国軍    

2103 スマホ撮りで逮捕2.27朝日写真IMG_0603.jpg2103 ミャンマー5社東京MG_0599.jpg
 写真
 スマホ撮り青年逮捕される。 2.25(朝日デジタル)、
 ミャンマー国軍独立系5社の新聞発刊を禁止に抗議するデモ隊 3.09(東京新聞)
 ミャンマー国軍VSフェイスブック
 ミャンマーでフェイスブックが国軍を相手に果敢に戦っている。
 フェイスブックは2月21日、国軍の運営するページを「暴力行為を扇動している」という理由で閉鎖した(2/21AFP)。
 続いて27日には国軍が支配するメディアなどによる利用、国軍系企業による広告出稿も禁じた。削除対象には「軍高官や軍に関連するネットTVミヤワディなど20の個人、組織なども削除した」ことを明らかにした(/27ロイター)。
 ミャンマーでは、クーデターの直後インターネットが不通になったが、今は深夜と早朝を除き利用できる。
フェイスブックなどSNSは国軍が使用できないような措置をとった。しかし市民の多くはVPN(仮想プライベートネットワーク)を経由してフェイ   スブックその他のSNSに復帰している。
 断トツ高いフェイスブック普及率
 ミャンマーでは、2011年の民政移管以来、スマートフォンを多くの市民が手にするようになった。スマホの普及は人口(5700万)の半数以上、およそ2900万台に達しているとみられている。ツイッター、インスタグラムなどを含むSNS全体の中でフェイスブックは断突のシェア率は94%だ。
 抗議活動もZ世代の若者たちが、フェイスブックで連携している。2月22日のゼネストも若者のネット経由の呼びかけで、ミャンマー全土で展開された。参加した市民は100万人に上る。ニューズウイーク(日本版3/16)が伝えるところによると「治安部隊の発砲で頻発する死亡事故に際しても、現場で、担架で運ばれる負傷者の姿や、銃撃を受けて倒れる市民を捉えた映像が次々にフェイスブックなどネット映像で拡散している」と伝えている。
 TikTokが国軍支持者の発信元
 ミャンマー国軍は2月22日、2万3000人の服役者を釈放した。抵抗をやめない市民に恐怖感を植え付ける手法だ。1988年のクーデターの際にも同じ手法を軍はとったのだと伝えられる。そのあと放火、略奪、誘拐など事件が次々に起きたことの繰り返えしが予想される。
それに加えて今回はスマホの自撮りで「今夜俺はパトロールに出る、アウンサンスー・チーを支援する奴ら(マザーファッカー)は撃ちぬいて殺してやる」( ニューズウイーク日本版3/16)という、などという脅迫まがいの映像も流れた。
これら軍協力者や軍関係者の発信源はTikTokだというのも意味深だ。軍関係者が中国の支援を受けている証拠になるというわけではないが、フェイスブックの使えない軍や軍支持者らが中国発のアプリに親和感を持っていることはありうる。
 FB批判挽回図る?
 2018年、イスラム系少数民族ロヒンギャ虐殺事件が起きた際、フェイスブックは「憎悪拡散に十分な対応をとっていない、むしろ都合の良いプラットフォームになっている」との批判を、国連ロヒンギャ問題調査団から受けた。今回はその批判からの名誉挽回をフェイスブックは試みているものとみられる。
 ニューズウイークはミャンマーのある市民の声を伝えている。「私たちはこの瞬間にも、隠れながらスマホで撮影し、フェイスブックに投稿を続けている。軍が私たちの分断を画策しているが、市民は結束してフェイスブック武器に連帯を示す」。
 ジャーナリスト迫害、独立5社閉鎖
 ミャンマーの独立系インターネット有力メディア「イラワジ」はクーデター以来、一貫して国軍批判の報道を続けてきた。ところが3月12日「社会の不安をあおっている」として軍事政権から告発をうけた。記者個人への迫害は多くみられたが、メディアが組織として告発されるのは初めてのことだった。
 これに前後して国軍は15日までに39人のジャーナリストを逮捕、解放の条件としてデモを報道ないという誓約書への署名を強制しているという。
 また17日までに「スタンダードタイムス」、「ビルマの民主の声」など5紙の新聞発行が停止された。「ミャンマーナウ」の編集長(新聞とネットの両方を出している)は「報道を継続すれば投獄や殺害の危険があるが、国軍の非道な犯罪を取材し続ける」と表明した。「ミャンマーナウ」は今後インターネットを通じて報道する。
 臆することなくデモする若者たち
 3/29の時点で、ミャンマー市民デモの死者は423人に達した。世界の批判を浴びながら、ミャンマー国軍は弾圧拡大し続けている。一方市民の側は犠牲者を出しながら、抗議デモは止まらずに続いている。
ミャンマーの平和の回復を祈るほかはない。
2021.3.30
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2021年03月22日

安部、菅政権とメディア、記者会見、NHK、東北新社汚職、通信放送認可の第三者委員会の設立を

2103 1菅首相IMG_0596.jpg2103 2武田アナIMG_0597.jpg2103 3ザ・シネマ4KIMG_0602.jpg
 写真1、3/17菅首相、写真2、クロ現降板を語る武田アナ、写真3、終了伝えられる「ザ・シネマ4K」
 アメリカ大統領がトランプからバイデンに変わった。
バイデン政権が就任早々の1月20日、真っ先に取り組んだのは「言論の自由」だった。
1月20日、新大統領の仕事ぶりに接しようと集まった記者団の前に現れたのは新任のジェン・サキ報道官。「私は独立した報道に深い敬意を持っている。米国民に正確な情報を提供する目標は共有している」、「(大統領も私も)透明性と真実に重きを置く」と語った。
前のトランプ政権とは大きな違いだ。
 日本の記者会見
 日本は他国のことを高み見物してはいられない。
 菅首相は8年の長きにわたり官房長官として政治をとりしきってきたが、その間に様々なネガティブルールを作り上げてきた。例えばコロナが再拡大後初めての1月4日の総理記者会見は6人の記者が質問しただけで打ち切られた。「幹事社以外は一人1問、再質問は認めない」、「会見出席は一社一人に限る」というのが、彼が設定したルールだ。
官邸会見室は120席あったのがコロナを理由に29席に減らされた。そのうち内閣記者会外加盟社が19席を占める。残りの10席を専門記者会、雑誌協会、ネット協会、外国メディア、フリー記者が抽選で分け合う。(ちなみに、内閣記者会の正会員社は103社、365人)。
2月28日に、大阪など6府県の緊急事態を解除した際には、首相会見も開かず、26日にぶらさがり(立ち話)で記者たちの質問に答えるにとどまった。菅首相が首相広報担当にした、汚職問題が発生した山田真貴子広報官を擁護するためであったとみられる。3月1日山田広報官は辞職した。
 官邸記者クラブの一問一答を聞いていても民主主義からは程遠い、切って捨てるような返答か政府から帰ってくるだけだ。「透明性」と「真実」を回復したアメリカのメディアと政治の関係はうらやましい限りだ。(ホワイトハウスの記者会証を持つ記者は750人前後、会見室は狭い部屋で49席を分け合っている)。
 問題抱えるNHK
 放送に目を転じると、NHKと政府の癒着が著しい。かんぽの不正を伝える番組を中止(2018年4月)させた張本人である森下俊三氏(当時経営委員長代行)がその後経営委員長に昇格、今回再任された(3/9)。経営委員会が番組には介入してはならないという放送法があるのを無視して菅首相が決定したものである。森下氏は今回問題になっているNTT出身だ。経営委員会の委員長職務代行に選任された村田晃嗣(同志社大教授)は右翼的言辞で知られる。
 一方、市民の間に人気のNHK、有馬嘉男アナ、武田真一アナの降板が発表された。昨年10月首相に選出された初出演(10/26)で、有馬アナは日本学術会議問題について質問を重ねたことが原因で、官邸の怒りを買い、降板につながったといえる。原聖樹政治部長のもとに官邸から𠮟責の電話がかかってきたと伝えられる(週刊文春2/25)
 武田アナの場合は二階博幹事長の出演に際し、「政府のコロナ対策は十分なのか、さらに打つ手があるとすれば、何が必要か」を問いただした。それが二階氏の逆鱗を買ったのだといわれる(2/25週刊文春)。
 NHKスペシャルで「令和未来会議、どうする?東京オリンピック・パラリンピック」という番組があるとTVガイドに載っていた。見ようと思って待ち構えていたところ、内容が全面差し替えになり、「わたしたちの目が危ない」というどうでもいいような番組に差し替えられた。前例のない出来事だ。週刊現代(2/13)が「Nスぺ五輪特集がお蔵入り、局内騒然、官邸の影」、「前田晃伸会長が総理に言われて差し替えたか、忖度したかのどちらかだ」、と報じた。五輪問題のNHKスペシャルは、諸外国からの観客を受け入れないことが決まった後、3月22日にようやく放送されたが、内容は薄いものだった。
 NHKがかくも政府、自民党に屈している姿は、民主主義とは程遠い。
 「東北新社」「NTT」汚職
 ところで最近「東北新社」という会社の汚職が問題になっている。この会社は、テレビ初期に、アメリカから「ハイウエイ・パトロール」など多くのテレビ映画を輸入して、生まれたての日本のテレビ局に売り込んできた会社だ。その後映画の輸入、配給、吹替、字幕、CM制作などを手掛けた。
 1984年からスターチャンネルという映画チャンネルで衛星放送に乗り出した。そして2018年から新たに開局したのがBSの洋画専門「ザ・シネマ4K」、スカパー「囲碁将棋チャンネル」だった。
 菅首相の長男らが、許認可権限を持つ総務省の幹部らと会食したのが、2016年7月、認定を申請したのが同年10月。地上放送、衛星放送などを総合的に所管している総務省に認可するよう協力に働きかけたことは、容易に想像できる。
 「ザ・シネマ4K」の放送は近く姿を消す。申請に虚偽があったとして認可が取り消されるからだ。
 放送・通信の管理監督は独立した第三者委員会が世界の常識
 NHKも民放も衛星放送も放送の許認可権を持っているのは総務省だ。
 日本では当たり前のように放送局が政府(総務省)の傘下に置かれているが、国が放送を直接管理しているのは世界では、中国、ロシア、北朝鮮、ベトナムの4か国だけだ。その他の国々では言論、表現の自由と客観性を保つために放送の許認可は第3者機委員会にゆだねている。アメリカは、連邦通信委員会、イギリスは放送通信庁、韓国は放送委員会などだ。ドイツでは州ごとに市民活動組織、文化芸術団体の代表者が放送局の管理監督にあたっている。付言すれば、イギリス、アメリカをはじめ多くの国で、電話、各種デジタル通信なども、放送に関与する第3者委員会が管掌している。通信放送一体化の時代にふさわしい体制だ。
 今回日本で、衛星放送の会社東北新社とNTTで認可や、制度変更をめぐって汚職が発生しているのは、偶然のことではない。
 恣意的な放送介入多発
 日本では政府がNHKの人事を左右するだけではなく、番組の気に入らないものを排除している。菅首相、二階幹事長らのNHK出演時のアナウンサー更迭問題(前出)にとどまらず安部前首相(当時は内閣副官房長官)ETV2001「問われる戦時性暴力」介入( 20011年1月)、高市早苗元総務相の報道ステーション批判の際、「公平性を欠く放送が繰り返されれば、電波免許を取り上げる」発言(2016年2月)、など政府与党による放送への介入は枚挙にいとまない。
 私は以前から有識者らによる第三者委員会に放送行政をゆだねることを提案してきた。この機会にその実現へ向けて、発言を強めていきたい、
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2021年02月22日

凍結されたトランプツイッター。独首相メルケルの真意

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 トランプが表舞台から去った。議会占拠事件でツイッターが凍結されたことは、さもありなんと思う。その一方弾劾裁判に問われていたトランプ氏に対し、米上院は2月13日無罪を表決した。表決結果が出た。
直後トランプ氏は次のような声明を発表した。
 米国を再び偉大にする素晴らしく歴史的、愛国的運動が始まった。今後数ヵ月内に私は多くのことをあなた方にお伝えする。そして米国の偉大さを達成する旅を皆さんの共に続けることを楽しみにしている」。
 トランプの今後の動きは、アメリカ社会にとって無視できないことも現実だ。
 共和党で弾劾賛成の票を投じたのはわずか7人の共和党議員に留まり、出席議員の2/3にはるかに及ばなかった(有罪支持57票、無罪支持43票)。
 議事堂占拠でトランプツイッター永久凍結
 トランプツイッターの凍結は、トランプ支持派による1月6日の議事堂(キャピトルヒル)占拠事件がきっかけだった。しかしトランプツイッター凍結の動きは早くからあった。
 ツイッター社は昨2020年5月26日、「カリフォルニアの郵便投票は不正の対象になる」とのトランプ投稿に対し、「事実確認が必要だ」との画面をかぶせ、一回クリックしない限り直接文面を見ることができなくなった。その2日後、5月25日のジョージ・フロイド事件でもツイッターはトランプの投稿に対しも、「暴力をたたえる内容は、ツイッターの倫理綱領に違反だ」、かぶせ画面で直接見られない措置をとった。
 その後選挙戦激化とともに、トランプツウィ―トのほとんどが「真偽が疑われる」、「誤解を招く」、「事実確認が必要だ」など、かぶせ画面の対象となった。しかし「大統領としての公職にあり、トランプ発言を社会が知ることも必要だ」としてクリックすれば発言を視聴できる措置をとっていた。トランプツイッターを完全に禁止せよとの意見はツイッター社に繰り返し寄せられていた
 1月6日、トランプの呼びかけに応じた支持者らが米議会に乱入、3時間にわたって占拠する、という事件がおきた。折から議会ではバイデン氏を大統領当選者とする議事が進行中だったが中断、当選確定は7日早朝となった。事実上のクーデターだと意見も根強い。
 米ツイッター社は、1月8日「暴力行為を扇動する恐れがある」としてトランプツイッターのアカウントを永久凍結したと発表した。一方、トランプ支持者の多くがツイッターの代替えとして使うSNSアプリ「パーラー」については、グーグル社が8日、アップル社が9日、凍結、削除した。ツイッター社は永久凍結の理由として、「1月17日も連邦議会や各州議会を襲撃する計画もツイッターなどで拡散されている」ことを明らかにしている。
 CNNが入手したFBI文書によると、大統領就任式以前にトランプ派、急進派(Qアノンなど)が全米50州の州議会を乗っ取り、首都ワシントンでは就任式の20に「武装デモ」の計画があったという。
 言論の自由の侵害には当たらない。
 ところでトランプツイッターの凍結に対し、一部に言論の自由の自由に反するのではないかとの意見が出ている。私はSNSの無制限、無規律な現状を改めためる一環としての「トランプツイッター凍結」が正当であることを主張したい。
巷間誤って伝えられるのは、ドイツのメルケル首相が凍結に異を唱えたという点だ。しかしメケル本人の発言ではなく、報道官によって発言したものであったという。しかもメルケルはトランプの憎悪に満ちた発言、暴力をそそのかす発言を強く批判している。
 ドイツではSNS上でのヘイト発言を規制する場合、連邦刑事庁に該当する犯罪的コンテンツを報告することを義務付ける法改正を昨2020年6月に行った。
 アメリカでは私企業であるSNS各社が、各社ごとの倫理規定に従って「かぶせ」、「削除」、「アカウント禁止」の削除を行っている。
メルケル首相の発言はドイツSNSヘイト対策に公的機関の関与を取り入れている事実を説明したものであった。制度上、違いがあることを指摘したのがメルケル発言であり、国際的には何らかの公的関与が必要であることを訴えたものであった。
 世界に広がるSNS、復権めざすトランプ
 SNSの全世界利用者は最近の調査で世界38億人を突破した(2020.11.19,インスタラボ調査)。
トランプツイッターは虚偽の主張を繰り返したあげく、バイデン新大統領の承認中の米国議会の大衆を扇動し、議事堂占拠をもたらした一種のクーデター行為であった。
 SNSの影響は一国にとどまるものではない。国境を越えて世界に広まる、ヘイトや破壊をどう食い止めるのか、国際的な歯止めが必要となっている。
 トランプに触発された右翼的、破壊的グループはヨーロッパにも、アジアにも根を張っている。
弾劾裁判で無罪を勝ち取ったトランプは、復権を目指す。1月25日フロリダ州パームビーチに事務所を開設した。米CBSの世論調査によると、「トランプが新党を作った場合参加するか」との問いに、共和党支持者の7割が賛意を表したといわれる。
 共和党の主流派は中間選挙でトランプの支持を当てにして擦り寄っている。トランプ自身は2年後どう動くのか明らかにはしていない。共和党内では亀裂が深まっていると伝えられる。
 バイデン新大統領は次々の前政権の誤った政策の急速な是正を図っている。米世論の分裂克服、コロナワクチンの投与拡大、国際社会への復帰と新な国際秩序構築、女性、黒人などの登用などが主な課題だ。
 一方で中国や最近のミャンマー軍部などがSNSを統制する強権政治が見られる。
新たな国際秩序の一環として、SNSが市民の発言の自由を保障する一方、憎悪をあおる行為やテロ行為の手段にならない歯止めを加える方策を見出すことは急務ではないか。
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永久凍結されたトランプツイッター、独メルケル首相の真意

2102 トランプツイッター凍結.docx2102 メルケル.jpg2102 バイデン.jpg
 トランプが表舞台から去った。議会占拠事件でツイッターが凍結されたことは、さもありなんと思う。その一方弾劾裁判に問われていたトランプ氏に対し、米上院は2月13日無罪を表決した。表決結果が出た。
直後トランプ氏は次のような声明を発表した。
 米国を再び偉大にする素晴らしく歴史的、愛国的運動が始まった。今後数ヵ月内に私は多くのことをあなた方にお伝えする。そして米国の偉大さを達成する旅を皆さんの共に続けることを楽しみにしている」。
 トランプの今後の動きは、アメリカ社会にとって無視できないことも現実だ。
 共和党で弾劾賛成の票を投じたのはわずか7人の共和党議員に留まり、出席議員の2/3にはるかに及ばなかった(有罪支持57票、無罪支持43票)。
 議事堂占拠でトランプツイッター永久凍結
トランプツイッターの凍結は、トランプ支持派による1月6日の議事堂(キャピトルヒル)占拠事件がきっかけだった。しかしトランプツイッター凍結の動きは早くからあった。
ツイッター社は昨2020年5月26日、「カリフォルニアの郵便投票は不正の対象になる」とのトランプ投稿に対し、「事実確認が必要だ」との画面をかぶせ、一回クリックしない限り直接文面を見ることができなくなった。その2日後、5月25日のジョージ・フロイド事件でもツイッターはトランプの投稿に対しも、「暴力をたたえる内容は、ツイッターの倫理綱領に違反だ」、かぶせ画面で直接見られない措置をとった。
その後選挙戦激化とともに、トランプツウィ―トのほとんどが「真偽が疑われる」、「誤解を招く」、「事実確認が必要だ」など、かぶせ画面の対象となった。しかし「大統領としての公職にあり、トランプ発言を社会が知ることも必要だ」としてクリックすれば発言を視聴できる措置をとっていた。トランプツイッターを完全に禁止せよとの意見はツイッター社に繰り返し寄せられていた
1月6日、トランプの呼びかけに応じた支持者らが米議会に乱入、3時間にわたって占拠する、という事件がおきた。折から議会ではバイデン氏を大統領当選者とする議事が進行中だったが中断、当選確定は7日早朝となった。事実上のクーデターだと意見も根強い。
米ツイッター社は、1月8日「暴力行為を扇動する恐れがある」としてトランプツイッターのアカウントを永久凍結したと発表した。一方、トランプ支持者の多くがツイッターの代替えとして使うSNSアプリ「パーラー」については、グーグル社が8日、アップル社が9日、凍結、削除した。ツイッター社は永久凍結の理由として、「1月17日も連邦議会や各州議会を襲撃する計画もツイッターなどで拡散されている」ことを明らかにしている。
CNNが入手したFBI文書によると、大統領就任式以前にトランプ派、急進派(Qアノンなど)が全米50州の州議会を乗っ取り、首都ワシントンでは就任式の20に「武装デモ」の計画があったという。
言論の自由の侵害には当たらない。
ところでトランプツイッターの凍結に対し、一部に言論の自由の自由に反するのではないかとの意見が出ている。私はSNSの無制限、無規律な現状を改めためる一環としての「トランプツイッター凍結」が正当であることを主張したい。
巷間誤って伝えられるのは、ドイツのメルケル首相が凍結に異を唱えたという点だ。しかしメケル本人の発言ではなく、報道官によって発言したものであったという。しかもメルケルはトランプの憎悪に満ちた発言、暴力をそそのかす発言を強く批判している。
ドイツではSNS上でのヘイト発言を規制する場合、連邦刑事庁に該当する犯罪的コンテンツを報告することを義務付ける法改正を昨2020年6月に行った。
アメリカでは私企業であるSNS各社が、各社ごとの倫理規定に従って「かぶせ」、「削除」、「アカウント禁止」の削除を行っている。
メルケル首相の発言はドイツSNSヘイト対策に公的機関の関与を取り入れている事実を説明したものであった。制度上、違いがあることを指摘したのがメルケル発言であり、国際的には何らかの公的関与が必要であることを訴えたものであった。
世界に広がるSNS、復権めざすトランプ
SNSの全世界利用者は最近の調査で世界38億人を突破した(2020.11.19,インスタラボ調査)。
トランプツイッターは虚偽の主張を繰り返したあげく、バイデン新大統領の承認中の米国議会の大衆を扇動し、議事堂占拠をもたらした一種のクーデター行為であった。
SNSの影響は一国にとどまるものではない。国境を越えて世界に広まる、ヘイトや破壊をどう食い止めるのか、国際的な歯止めが必要となっている。
トランプに触発された右翼的、破壊的グループはヨーロッパにも、アジアにも根を張っている。
弾劾裁判で無罪を勝ち取ったトランプは、復権を目指す。1月25日フロリダ州パームビーチに事務所を開設した。米CBSの世論調査によると、「トランプが新党を作った場合参加するか」との問いに、共和党支持者の7割が賛意を表したといわれる。
共和党の主流派は中間選挙でトランプの支持を当てにして擦り寄っている。トランプ自身は2年後どう動くのか明らかにはしていない。共和党内では亀裂が深まっていると伝えられる。
バイデン新大統領は次々の前政権の誤った政策の急速な是正を図っている。米世論の分裂克服、コロナワクチンの投与拡大、国際社会への復帰と新な国際秩序構築、女性、黒人などの登用などが主な課題だ。
一方で中国や最近のミャンマー軍部などがSNSを統制する強権政治が見られる。
新たな国際秩序の一環として、SNSが市民の発言の自由を保障する一方、憎悪をあおる行為やテロ行為の手段にならない歯止めを加える方策を見出すことは急務ではないか。
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2021年01月29日

ディズニー+(プラス)、ネット視聴者に過去の名作の差別表現注意

2101 ダンボIMG_0569.jpg2101 ピーターパンIMG_0571.jpg2101 風と共に20150708224443.jpg
 オンライン上で昨年6月定額有料配信(月額700円)を日本でも開始したディズニー+は、
昨年10月差別用語を含む映画の冒頭に視聴者の注意を喚起する表現を入れ始めた。
 「この作品には、人々や文化の否定的な描写や不当な扱いが含まれています。これらの偏見は当時も今も待つがっています」。
 例えば「ピーターパン」では先住民を、蔑称である「レッドスキン」と差別的な呼び方が何回も使われている、としている。「おしゃれキッド」では、つり目で前歯を強調したネコのキャラクターについては「東アジアの人たちを差別するような発言で、固定観念を雇用している」と解説します。この猫は流ちょうではない英語で歌を歌い、箸を使って上手にピアノを弾くシーンもある。「ダンボ」では黒いカラスの集団が、奴隷だったアフリカ系アメリカ人の物まねをして見せる、などの差別的シーンが登場する。
 「わんわん物語」や「ジャングルブック」の作品解説には、最後の部分に次のような一文が加えられた。「この作品は制作された当時のままの状態で公開されています。時代遅れの文化的表現を含む可能性があります」。しかし作品のカットや編集などは一切していない。
 また、ディズニーはアニメ内での喫煙に関する描写に対しても、「煙草に関する描写を含んでいます」との注意書きを入れた。
 
 ワーナーブラザーズも問題表現を含む古いアニメ作品について、開始前の画面で、次のような字幕を入れた。
 「この作品は一時代前の産物です。劇中には、当時のアメリカにおいて蔓延していた特定の民族や人種に対する描写が含まれている可能性があります。これらの描写は当時においても現代においても誤ったものです」。
 このような措置が講じられた原因は、昨年5月の警官による黒人ジョージ・フロイド殺害事件を契機におきた「ブラック・ライブズ・マター」運動の大きなうねりだ。米エンタメ業界は一斉に人種差別的表現を自省し、多様性の反映の模索を目指す動きを広げたのだった。
 ディズニーは「有害な影響を認めてそこから学び、より包括的な未来を共に作るための対話を巻き起こしていきたい」と説明している(京都新聞2020年12月29日)。

 なお、劇場映画の部門でも20世紀Foxの作品をネット配信している「HBOマックス」が、昨年6月以降「風と共に去りぬ」の配信を停止している。HBOマックスの広報担当は「不幸にも米社会で一般的だった民族や人種への偏見の一部を描いている」とその理由を述べている。
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